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E119: 土曜日のあんぱん

今日は34日目です


自宅から徒歩圏内でおいしいパン屋はたくさんあるのですが、今でも、スーパーで売ってる大手製パン会社の「あんぱん」を見ると、ちょっと胸がときめくんです。

初期の頃、こんな記事を書きました。


さて、細かいことは忘れてしまったのですが、私の通っていた小学校はかなり遠いところにありました。住んでいた地区がちょっと飛び地のようなところで、学校に通いにくかったのです。いろんな事情が重なって、通学が大変だったのです。

余談ですけど、関西人の私に「小学校時代の吉本新喜劇の思い出」があまりないのは、そもそも放送時間に帰宅が間に合ってないからです。


さて、本題に戻ります。
通学が大変になってしまった事情は
完全に大人の勝手な諸事情によるもので、
子供たちに罪はありません。

どういう経緯でそういうことが決まったのかは分かりませんが、

半ドン(死語・笑)の土曜日のみ、お昼ご飯がかなり遅くなる状況を、学校側が配慮して、私の地区の子たちを1つの教室に集めて、あんぱんと牛乳を配ってくれていたんです。
たいていの子は、その場でそれをほおばって、
ちょっとだけお腹を満たしてから帰る。

私が住んでいた地区の子供たちだけ、そんな、ちょっと特別な土曜日を過ごしていました。

そこで配られていた「何の変哲もない袋入りのあんぱん」が、給食のパッサパサのパンと違って、とてもうれしかったを覚えています。

「袋入りのあんぱんと牛乳」

と聞くと、ほとんどの人が刑事ドラマの張り込みを思い出すそうですが、
私はあの特別な土曜日を思い出して、ちょっと昭和にタイムスリップするんです。

そんな「特別な土曜日」は、入学からわずか半年程度で終わってしまいました。

今日から土曜日のパンはありません。
と言われて、がっかりしてしまったのです。


大人になってから
何かの話の流れで、土曜日のパンの話になって
「なんであの制度、なくしちゃったんだろうね?」

と母に言ったら、
「あら、知らないの?私たちが学校に言うたのよ。『特別扱いはやめて、早く帰らせてください』って」

「え?何でやねんな、せっかく学校がパンを配ってくれるのに…」と私。

「こらこら、配ってくれるって、あんたねぇ、あれは私たち保護者がお金払ってたんよ!」と、母は呆れたように言いました。

「へぇ!知らなかった!」

「あんたね、常識で考えてみなさいよ。どこの学校が無償で、それもあんたたちだけ特別に、パンと牛乳を配ってくれるわけ? そんなはずないやないの…」

…確かに、その通りですな。


学校側が子どもたちを気の毒に思って、保護者に提案したのが始まりだけれども、やっぱりこれは特別扱いになる。これは良くないと言うことで、保護者が話し合って、廃止にしてもらった、ということでしょうか?


昭和のゆるーい時代
かわいそうだからとパンを出そうとする学校。
それは特別扱いだからやめましょうと言う保護者。

「土曜日のあんぱん」がなくなったのは残念だけど、なんか、両方素敵だなぁと思います。

令和6年の土曜日、昭和のあの頃を思い出しながら、
スーパーであんぱんと牛乳を買ってみました。

ま、要するにあんぱんが食べたかっただけなんですけどね。

【66日ライラン 34日目】

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