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OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

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OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife
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オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

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[12月17日(土)-18日(日)]企画展「村上雄一・お香と暮らしの道具展」と同時開催「1年を癒やす中国茶と聞香の会」のお知らせ

[12月17日(土)-18日(日)]企画展「村上雄一・お香と暮らしの道具展」と同時開催「1年を癒やす中国茶と聞香の会」のお知らせ

香雅堂では12月17日(土)から18日(日)の2日間にわたって、岐阜県は土岐の陶芸家・村上雄一さんによる企画展「村上雄一・お香と暮らしの道具展」を開催します。

また、展示期間中に1日2回「1年を癒やす中国茶と聞香の会」も同時開催。村上さんの作品を手にとって味わいながら、聞香と中国茶、和菓子をお楽しみいただける特別なイベントです。

企画展の概要本展は陶芸家・村上雄一さんをお迎えし、お香立てや香炉

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香道は 敷居が高いけど 面白い

香道は 敷居が高いけど 面白い

みなさんは「香道」というものをご存じでしょうか。
私はまったく知りませんでした。

とあるイラスト投稿サイトを見ていたら、女性がお香を焚いて嗅いでいて、その背景に縦の五本線が繋がったり繋がらなかったりしているものが書かれた紙が宙を舞っているイラストがありました。

綺麗なイラストだったのですが、内容については「これは何を表して?」となりました。
そして、そのイラストのコメントで「図は松風、明石、薄

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香木は化学でどこまで分類できるか──明治大学・本多准教授に聞く

香木は化学でどこまで分類できるか──明治大学・本多准教授に聞く

和の香りの専門店・香雅堂では、代表の山田悠介と会長の山田眞裕が香木の専門家として、香木の鑑定や截香(=カットすること)を手がけています。

なかでも鑑定は非常に難しいものです。豊富な経験と鋭い感覚がなければ、それがどのような香木なのか、もっといえば、そもそも香木なのか否かすら見極めることができません。では、科学の力を借りたらどうでしょうか?

「お香の世界をオープンにすること」を目指す香雅堂では、

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嗅覚低下を予防する「余薫」から考える:香りと健康、コミュニケーションの関係性

嗅覚低下を予防する「余薫」から考える:香りと健康、コミュニケーションの関係性

山田:今回は慶應SDMのKEIO EDGE LAB "CREATIVE LOUNGE"にお邪魔して、お話を伺っていきたいと思います。まず、今回のプロジェクトの全体像について改めて説明していただけますか。

伊藤:はい。一言で言うと、嗅覚低下を予防する習慣型トレーニングシステム「余薫」を制作し、イタリアのミラノサローネに出展するプロジェクトでした。最初に、余薫をお見せしたほうがわかりやすいですかね。

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デンマークの夏の暮らしとお茶とお香

デンマークの夏の暮らしとお茶とお香

強い陽射しに、生ぬるい空気ー8月のデンマークは暑さがぶり返し、もう最後ともなろう夏らしい日々が続いている。デンマークの夏は日本の夏に比べて短く、すぐに寒く、薄暗くなってしまうから、暑いとはいえ貴重な夏日だ。街の人々はそんなデンマークの夏を満喫するべく、アイスクリームショップに行列を作ったり、海に行ったりと思い思いに過ごしている。

冬には葉のついていなかった街の木々も青々と茂っており、道端には雑草

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夏を迎える、涼やかなハーブティーと香袋をつくる──漢方スタイリスト・大塚真喜子さんと

夏を迎える、涼やかなハーブティーと香袋をつくる──漢方スタイリスト・大塚真喜子さんと

和の香りの専門店・香雅堂では、漢方スタイリストとしてハーブティーや漢方茶のブレンドを手がける大塚真喜子さんと一緒に、夏を迎えるにぴったりの涼やかなお茶と香袋を制作しました。その販売を記念して、大塚さんと香雅堂・山田がそれぞれの専門である漢方とお香について、また、今回のコラボレーションについて語り合いました。

漢方からお香に出会う山田:本日は漢方スタイリストの大塚真喜子さんにお店に来ていただきまし

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絶滅危惧種「火道具」を救えるか──香道具ファンドの一年間を振り返る

絶滅危惧種「火道具」を救えるか──香道具ファンドの一年間を振り返る

こんにちは、京都より200年の系譜をもつ香木・香道具店 「麻布 香雅堂」 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっています。

早いもので、「香道具ファンド」の活動がちょうど1年を迎えました。香道具ファンドは、香道具を販売した売上の一部を必ず次の香道具の生産&販売に使用することで、絶滅危惧種としての香道具を守る試みです。

今回は1年の振り返りというこ

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お線香みたいな“香菓子”ができました──OKOLIFE「時鳥」から生まれたお菓子の魅力を、菓子職人・小島直子さんと語り合う

お線香みたいな“香菓子”ができました──OKOLIFE「時鳥」から生まれたお菓子の魅力を、菓子職人・小島直子さんと語り合う

時鳥の声をもう一度聞きたい。そんな思いで日を暮らす情景をイメージしたお香の定期便 OKOLIFEのアイテム「時鳥」。そんな時鳥にぴったりな“香菓子”ができました。お線香にそっくりな、おいしくてかわいいお菓子を手がけてくださったのは、菓子職人の小島直子さん。その発売を記念して、直子さんと香雅堂・山田の二人で、制作のプロセスやお香づくりとのつながりについて語り合いました。二人の対話は、お菓子を開封する

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嶋ゞ・小島直子が切り撮る、香りの手触り

嶋ゞ・小島直子が切り撮る、香りの手触り

毎月オリジナルのお香を10本お届けするサービス「OKOLIFE」。そんなOKOLIFEの連載企画「フォトグラファーが切り撮る、香りの手触り」では、さまざまな分野のクリエイターに、毎月のお香からインスパイアされた写真を自由に撮影していただいています。

今月の撮影に参加してくださったのは、葉山を拠点に和菓子を通して日本のものづくりを伝えていく、嶋ゞの小島直子さんです。6月のOKOLIFE「時鳥」の写

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香道のお稽古とはどのようなものなのか?【7月10日 新しいクラスを開講します!】

香道のお稽古とはどのようなものなのか?【7月10日 新しいクラスを開講します!】

こんにちは、京都より200年の系譜をもつ香木・香道具店 「麻布 香雅堂」 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっています。

お客様とお話ししていると、「香道のお稽古ってどんなことするの?」「どんないいことがあるの?」というご質問をよくいただきます。今日は誠に僭越・恐縮ではありますが、香雅堂・香道に関わって10年強の筆者の個人的な主観に基づいて、回答

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フォトグラファー・春菊が切り撮る、香りの手触り

フォトグラファー・春菊が切り撮る、香りの手触り

毎月オリジナルのお香を10本お届けするサービス「OKOLIFE」。そんなOKOLIFEの連載企画「フォトグラファーが切り撮る、香りの手触り」では、さまざまな分野のクリエイターに、毎月のお香からインスパイアされた写真を自由に撮影していただいています。

今月の撮影に参加してくださったのは、関西をテーマに写真集の制作をされている春菊(しゅんぎく)さんです。5月のOKOLIFE「あやめ御前」の写真と、寄

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【5月20日(金)17:00~イベント】香りのある暮らし~お香体験会~【お気軽に】

【5月20日(金)17:00~イベント】香りのある暮らし~お香体験会~【お気軽に】

こんにちは、京都より200年の系譜をもつ香木・香道具店 「麻布 香雅堂」 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっています。

お香にできることを探り続ける活動「お香をめぐる冒険」(仮)。第1回目は海の見える街のgallery naguさんでお香をてづくりを、第2回目は代官山のBESSさんで暮らしとお香についての体験会をおこないました。

3回目となる

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お香の伝統と現代のくらしの「交差点」でありたい(後編)|山田悠介

お香の伝統と現代のくらしの「交差点」でありたい(後編)|山田悠介

編集者・ライターの小池真幸さんが、「界隈」や「業界」にとらわれず、領域を横断して活動する人びとを紹介する連載「横断者たち」。今回は、和の香りの専門店「麻布 香雅堂」代表取締役社長の山田悠介さんに話を伺いました。江戸寛政年間より200年以上続くお香一家に生まれながら、実は「お香そのもの、めっちゃ好き」ではないという山田さん。後編では、そんな山田さんが、現代のライフスタイルにフィットした「和の香り」の

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