見出し画像

風立ちぬ

先日「風立ちぬ」の原作の方を読了しました。物語は「私」と妻、節子の闘病生活についてのお話です。

節子は結核を患い、「私」は彼女の看病に付き添うのですが、とにかく表情や行動からお互いの意思を読み解こうとする場面がたくさん見受けられました。終始「こんなに深く考える?!」と思うほど登場人物たちの一動作に度々思考を巡らせているシーンが多々あったので、作者はとても思慮深い人なんだなと感じました。けれどその中でも共感するものがあったり、こう言うこと自分も考えてしまうなぁとも思ったり。

例えば、節子が「あら、お父様」とかすかに叫ぶ際に主人公の私(堀辰雄さん)はそれにぎくっとして節子の方に顔を向けるのだけど平然を装いながら、なんと言ったのか尋ねます。作中の私とお父様の関係は良くも悪くもなくなんとも言えない仲です。この時私は、微妙な関係あるいは少し苦手な先輩を街で偶然出くわした際にドキッとするのだけど変な態度だと誤解されないように挨拶しようとする時になんだか似てるなぁと感じました。

この作品を読んでる際、何度も美しい情景が浮かんできて心が浄化された気分になり、たまには作中の「私」のように物事を奥深く考えてみるのもいいものではないかと感じさせられました。一通り読んだだけではまだ完全に考察など消化しきれていないように感じたので、また時間が空いた際に再読してみようと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?