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ボカロ曲「ロキ」食べてみた

 こんにちは、綿麻(めんま)と申します。

 突然ですが、みなさんはYouTubeやニコニコ動画などで見つけた曲をTwitterで共有するとき、どんな言葉を載せていますか?「この曲はここがこうで...」とか、「この時のここの表現が...!」とか、140字いっぱいになるまで語り尽くしたくなりますよね。はたまた曲が良すぎて全ての語彙力を失い「最高...エモ......」になってしまうこともあるかと思います。

「いつも似たような表現になってしまう!」
「もっと別の言葉で推し曲を語りたい!」

そんなあなたにご提案がございます。


曲の食レポ、してみませんか?


 食レポとは、食べ物の味や香り・食感などを、そのものを食べたことがない人にも魅力が伝わるように詳細にレポートすること。皆さまご存知「お口の中が宝石箱や〜!」のアレです。共有したい曲のリンクとともに食レポをして呟けば、そのツイートを見た人が「美味しそう!」と感じ、その曲を聴きたくなるのではないでしょうか?

 私がこの思いに囚われたのは、今から6年前、「“文学少女”シリーズ」というライトノベルに出会ったのがきっかけでした。
 「心にあるトラウマを抱える男子高校生が、物語を“食べちゃうくらい”深く愛する文学少女と出会い、さまざまな事件の解決の手伝いをするなかで、登場人物それぞれが抱える物語が紐解かれる――」というミステリアス学園コメディなのですが、そこに登場する、文学を主食とする女学生「遠子先輩」の描写にとても憧れたんです。文庫本のページをちぎって食べることが食事となる彼女は、伊藤左千夫の「野菊の墓」という小説の味について、こう語りました。

 「『野菊の墓』は摘み立ての杏(あんず)の味ね。(中略) 夕日に照らされた畦道で、茜色に染まった杏の実を、指先で優しくつまんで口に含み、そぉっと歯を立てる感じなのっ。薄い皮が破けて、やわらかな酸味と幸せな甘さが舌にじんわり染みこんで、切ない苦さに、胸がきゅっと締め付けられるのよ!」 (「“文学少女”と繋がれた愚者(フール)」p.7から引用)

 私も音楽を食べたい!!!
 音楽を食べて栄養摂取したい!!!!!
 好きな曲を味覚で感じたい!!!!!!!

 そして何より、遠子先輩が美味しそうに食べてた野菊の墓を読んでみたくなったのです。食レポにはそういう力がある。曲の食レポ書いて推し曲の再生回数が増えたら最高だな.........。 

 ということで、

曲を食べます!!


 今回食べる曲は、昨年投稿され累計2100万回という驚異の再生回数を突破した、みきとPさんの大人気VOCALOID楽曲「ロキ」

 鏡音リンの機械の声とみきとPさんの人間の声が、ジャキジャキのロックサウンドに乗せて、バンドマン同士のバッチバチの敵意と情熱を歌い上げる。ひとたび耳にすればアドレナリンの放出が止まらなくなる、熱気の籠もった最強にカッコいい曲です! 「最初に食べるなら大好きなボカロの曲を」「たっぷり味わえるよう音の情報量が多そうな曲で」などの観点から選んだ結果、この曲になりました。関連動画も多く投稿されているので、インターネットウォッチャーの方ならこのサムネを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 初めて音楽を食べるということもあり、きちんと味わえるか不安...。なので、5日間連続でロキだけを食べ続けて、味の感じ方を記録することにしました。ここから先、ロキのことを完全に食べ物として認識します。ロキをお聴きいただきながら読むと、より美味しく読めるんじゃないかと思います(聴かなくても特に支障はありません)。よろしくお願いします。

【2秒でわかるルール】
・5日間「ロキ」を食べ物として扱う
・その間に聴いていい音楽は「ロキ」のみとする




〓〓〓〓 「ロキ」食べてみた  〓〓〓〓


1日目

不安と期待に胸を高鳴らせながら、イヤホンを装着し、メモ帳を開きます。よしっ、食べるぞ...!

 全体的に、炭水化物で油っこくて味が濃いという印象ですね。気合いを入れて3時間くらい食べ続けたのですが、食レポ的な表現が全く思い浮かばず、単語羅列の少食な感想となってしまいました...。
 最後の一文、「信者→ジンジャー」ってなんだ。歌詞の語感だけで判断するんじゃない、出直せ。


2日目

 今日も長時間ロキチャレンジと題して、移動中の暇な6時間にロキを食べ続けました。

 ロキを食べることに慣れたのもあってか、前日より文章量が多いですね。声に関しては、声質を手掛かりにそこそこ具体的な味のレポートができたんじゃないでしょうか?
 ジャンキーというのはわりとわかる気がします。実際曲としての中毒性めちゃくちゃ高いですしね!あとバンドマンってめちゃくちゃ外食してそう。マクドナルドとびっくりドンキーにおいての遭遇率高そうだな〜と思うんですが、本物のバンドマンさん、そこのところどうなんでしょうか?
 ところでこの日のメモに「ひじき ニュッ シュパパッ」ってあったのですが、完全に意味がわからなくて困り果てました。何が言いたかったんだろう...?


3日目

 折り返しの3日目、新しい味を求めてロキを聴き続けます。
 そういえば、嗅覚も食を楽しむ上で重要な要素だよなぁ...スーっ...フンッ...スーっ...スンッ......。去年幕張メッセのライブ会場でロキを聴いた時の、あの独特の感情が昂ったにおいの幻影に邪魔されながらも必死に念じ続けました。ロキの実体を思い描け!!!3Dロキを生成しろ!!!
 真っ昼間の地下鉄で、神妙な顔で激しく鼻呼吸を繰り返していたのが私です。不審者になりながら書いた食レポがこちら。

 香りのみを感じようとしたものの、ドレッシングだの燻製だのスパイスだのと、感想がとっ散らかってしまいました。3日間食べ続けているとはいえ、ロキは言わば未知の食べ物。食べ物として具体的な形が伴わないまま香りのみを感じるのは難しいのかもしれませんね。
 反対に、味に関してはかなり具体的に感想を言えるようになってきました。初日からぼんやりと感じていたファストフード的な味の正体は「揚げ物」だったようです。

 普通の食べ物のように香りを感じることは難しくとも、音楽の食レポにしかない良さを見つけました。それは、「食べながらにして調理段階を味わえること」。味と同じくらいの割合で調理法や食材そのもののイメージが浮かぶことが多く、動的でリズムがある音楽を味わうならではの現象だなぁと思いました。まるで料理番組を見てるみたい...!平野レミさんの番組、音楽化して味わうのに向いてそうですね。
 そして、このあたりから脳内BGMで無限に他の曲が流れるようになりました。無意識のうちにロキがゲシュタルト崩壊するのを防ごうとしているのだと思いますが、そんな脳の叫びは無視してロキを食べ続けます。極限までロキに向き合う。そうすることでたどり着ける至福の味があると信じているから...!!


4日目

 とうとう残り2日となりました。ここで私、気づきます。

 「曲の味、実際に食べた食事に影響されるのでは...?」

 実は、ロキだけを食べるとは言ったものの、音楽じゃない普通の食事を摂っていないわけではありませんでした。思い返してみれば、スパイスの味がすると言っていた日にはカレーを食べていたし、濃い味だ〜!と喜んでいた日には濃厚とんこつラーメンを食べていました。

(2日目の夕食 うますぎるカレー)

…いや、本当は薄々気づいていたんです。でも認めたくなかった。なぜなら食べないとお腹が減るから......。
 なので、今日は活動に必要な最低限のエネルギーだけを摂取することにしました。こちらが本日の食事です。

カロリーメイト(プレーン)
ウイダーinゼリー(マスカット味)

 一分の隙もない完璧な食事。実は今回初めてカロリーメイトを食べました。初めてのカロリーメイトは、一瞬お酒の味がしたあと、バニラの香りとほんの少しの虚無を残して、水分を奪って消えていきました。そんなシンプル of シンプルな食事のあとにロキを食べると...?

ロキうめぇ〜〜...!!

 途中で能力者みたいなシェフが登場するレベルのうまさ。雑念(いつもの食事)を排除して食べる素のロキは、やはり塩分多めの濃い味のようです。味の全体像が見えてきて聴くのがより楽しくなってきました。口の中に作った空洞にロキの思念体がある。少しざらついていてしょっぱい。ご飯が欲しくなる味だ。噛むとまだ歯が空振りするけど、明日には食感まで感じられるようになりたいなぁ...。

 カレーとか牛丼とか、メインディッシュとして扱われるようなものを食べなければロキの味に影響は出ないとわかったので、明日からはおにぎりとかを食べようと思います(お腹すいた...)。


5日目(最終日)

 ロキ以外のまともな食事を摂っていなかったからでしょうか、それとも昨夜こたつで爆睡したからでしょうか。風邪を引きました...。のどに強烈な違和感があってもロキなら食べられます。なぜならのどを使わないので!
 ロキの味に影響が出ない程度に、日頃から食べ慣れた質素な食事を摂りつつ、ロキをメインとした食生活を構成しました。

 その日の用事が終わり、喉の痛みを抑えるものを買って帰ろうとGoogle先生に色々聞いていると、

(価格.comマガジンより)

これ知ってる!!!!!ロキで見たところだ!!!!!!(進研ゼミ)

 【よくわかる解説】
ロキの歌詞には以下の流れでスロートコートが登場するよ!
            お茶を濁してちゃ 満足できない
            スタジオに運ばれた スロートコート
            安心不安心 プレッシャーでいっぱい
          「実は昨夜(きのう)から風邪で声が出ません」
           は?          (動画説明文より)

早速買って帰るぞ〜!

スロートコート、高ぇ〜〜〜〜!!!?!?!!!

 成城石井でぶったまげました。1000円以上もする......。
 セレブの世界に軽くカルチャーショックを受けながらも購入し、家で早速飲んでみることに。

 10~15分かけてじっくりと淹れ、茶葉の成分をきちんと出すために最後にティーバッグを絞るんだそうです。

 色はこんな感じ。飲んでみると、カモミールのゆたかな味わいのなかに、ほのかなシナモンの香りと植物由来の優しい甘さ、そして、のどが保護されるようにゆっくりと潤っていくのを感じました。確かにこれはのどに良いわ...。またひとつ新たな体験をしたよ。ありがとうロキ。

 そしてこの日のロキ感想がこちら。

 なんとここで初日に「語感で判断するな」とけなしていた生姜が再登場しました。何度も繰り返し食べ物として味わううちに、「信者 信者」と繰り返す歌詞が「ジンジャー ジンジャー」と咀嚼されてしまったのですね。ピリッとした味わいはロキそのものだし、生姜の味がかなりしっくりきたので「ロキは生姜味」という味覚が固定されました。

 さて、この5日間の積み重ねでロキの味がほぼ1つに定まりましたね!ここで今までのロキの味を振り返り、ロキの食レポ【確定版】をやってみましょう! 

 サクサクの歯ごたえとホクホクのじゃがいも、そして生姜の辛味で舌が痺れる感じ。この刺激がまさに「ロキロキのロックンロール」の力強さになってる!VOCALOIDと人間のデュエットという異質な歌声の組み合わせは、まさに外サクッ 中ホクッの2つの食感を楽しんでるみたい!酸味強めの濃厚ソースは、リンちゃんとみきとPさんがお互いをライバル視したときの火花が飛び散る鋭い味。ギターもベースもドラムも歌声も、曲中すべての要素の主張が強いのに、いや、強いからこそ絶妙なバランスで拮抗状態を保ってる。
 とにかく食べ応えがあって、なんかヤバい成分が入ってるんじゃないかってくらい中毒性が高い!やめられないとまらない。気づけば勝手に体が動き出し、叫びだしたい衝動に駆られるほど無限に食べられる味!!

【まとめ】      

ロキ、おいしい~~~~~~~!!!!!!!








・・・・・・・・





...............はい。

私は今虚空を見つめています。

なぜならお腹が空いているからです。


今までのはすべて、脳の感覚中枢をどうにかバグったことにして書いた無(む)の文章でした。


私はかつて読んだ小説のヒロインではないので、音楽を食べてもお腹は満たされないのです...。





じゃあ、人間として正統な方法で
ロキを食べよう!!!!



なんとしてもロキで腹を満たしてやろう
ではありませんか!!!!






「ロキ」実食

 ということで、「ロキ」 作りました。
 ここからは擬音語ダイジェストでお送りします。


グツグツ......

グシャッッ(やたら曲がるフォーク)

ザッッ

ビャッッッ

ジュワ~~~~~ッッ

ドビャビャビャビャ

_人人人人人人人_
> 本日の主役 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

グゥエ~~~!!!

オラオラ~~~ッッ!!!!(勢いあまって飛び出る乾燥剤)

ロキと同じ紫色だぁあぁァぁ!!!!!!!



デン!デン!デン!!デン!!デン!!!!


ギュエェ~~~~~~!!?!?!??(イントロ)



デーデッデデーデー デーデッデデーデー

♪ BGM : ロキ/みきとP・鏡音リン

ロッキーロッキーのォ~~ロックンロックnローーッッ!!!!



かきなーらーすーエレクトリックギターは~~??



Don't Stop!!!!!!    Don't Stop!!!!!!!!!!!!!




さぁ~⤴君のすべてを~!!! さーらけ出してーみ゛ぃ゛せろよーー!!!


ロキロキのーーー!!!ロックンロックンローーーーrrrッッッ!!!!!


・・・・・・・・





デン!!!!

できました!!!ロキ!!!!!!


でも、何か物足りないような.........?





バン!!!!

 食卓を完全なるロキにするために、オタクが総じて大好きな「作中と全く同じグッズ」を作成しました!!ロキのランチョンマットです!!


 工数の多さ(そんなに多くない)に途中で挫けて刺繍で作り始めたことを後悔したりもしましたが、どうにか完成させました。

 これでロキが完璧に味わえる状態になりましたね。



 コロッケは言わずもがなロキそのものを表現。その手前には、マヨネーズと小魚で、教祖であるロキを崇め沸き立つ「信者(俺ら)」を配置しました。後ろのカラフルな琥珀糖はロキを神々しく照らす照明を、揚げパスタは照明を支える鉄骨をイメージ。プチトマトとレモン(折り紙で代用)を添え、皿の上にアツいライブ会場を出現させました。

 右上の飲み物はもちろんスロートコート。メロンソーダとオロナミンCで、鏡音リンの甘くもジャンキーなシビれる歌声を表現しました。上にチョコアイスを浮かべたのは、鏡音リンとみきとPさんのファンである私が「キメろ Take a "Selfy"」というバチクソにカッコいい歌詞を聴いた時のときめきが、まるでチョコレートのように感じられたからです。



それでは悲願の実食です!!!




 ナイフを通した瞬間のサクッという音!一口齧ればピリリとくる生姜の辛みがシャキシャキ食感とともに楽しめます。これは短冊切りが効を奏したみたい!ピーマン・ベーコン・赤玉ねぎの旨味のなかでキッチリ主張するコショウが酸味の効いた特製ソースとよく合う!味にマンネリがきたら客席のマヨネーズをちょいとつければ、都内ワンルームの片隅で食べるカップ焼そばが頭をよぎります。ソースとマヨネーズはバンドマンの味。


 そしてホクホクのじゃがいもが純粋に美味すぎる...!心なしか紫芋の甘みも感じる気がする。ホクホクだけじゃなく手間かけてマッシュしたトロトロさもあって、かなり新食感のコロッケになってる!街ブラロケで紹介してほしい...すべてのコロッケ好きに教えてあげたい......。
 サビへ入る瞬間、曲が持つ熱気と、すべての楽器や声が合わさり”完全”な音楽となるあの感じがそのまま口の中で展開されている...!見た目もすべて紫色だし、どこからどう見てもロキだ...。


 あと嬉しい想定外だったのが、揚げたパスタむちゃくちゃ美味い...!!歯ごたえが固すぎずちょうど良くて、何よりとっても香ばしい...塩も何もいらんわ...うめぇ...。ライブ終わりに「あぁ、良かったなぁ...」って棒立ちするあの感じ。ここがライブハウスだ...!!メロンソーダは完全にリンちゃんの味がしたし、楽屋裏でスロートコート飲んでるみきとさんが見えた!!



【結論】

本物の食べ物に変換しても、ロキはおいしい!!!!








おわりに

 ここまでお読みくださりありがとうございました。
 楽曲レビューの新しい形としての「食レポ」、いかがだったでしょうか。曲を聴きながらぼんやりと浮かぶ抽象的なイメージを身近な「食」に置き換えて例えると、ただなんとなく聴くだけよりも、より深く曲の世界を”味わえる”のだなぁと実感しました。あと何より共感覚者になったみたいでカッコよくて最高でした。



 最後に、今回作ったロキのレシピをこちらにアップしましたので、ロキを味わいたいロキのオタクはぜひ作ってみてください。今回のようなボカロ曲に限らず、あなたが大好き!!!と思った曲は、ぜひ食レポを添えてツイートしてみてください!!そして、みなさんのオリジナル音楽レシピを教えてくださいね!!




みんなのつくれぽ 待ってるぜ!!!!!!









(※note表紙画像は本家動画様よりお借りしました※)

謝辞 : みきとP様、ろこる様、ヤマハ株式会社様、
    もじワク研究様、価格.com
    クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
    野村美月様、クックパッド株式会社
ありがとうございました。


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