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NYの地下鉄について

NYの地下鉄と言えば、映画などで見たことがある人も多いだろう。「危ない」、「汚い」などのイメージもなんとなくついているかもしれない。

が、NYの地下鉄は市民がごく日常的に使っているものだ。NYというと、超お金持ちやセレブも多いイメージだが、ごくふつうの庶民や貧乏な人もいっぱいいる。その理由として、「NY」と聞くとマンハッタンだけ思い浮かべる人が多いが、「NY市」は5つの区(ボロー、borough)から成り立っており、端の方へ行けばマンハッタンよりは家賃も安いし、マンハッタンのすぐ外のニュージャージーや、NY州内の近郊に住み市内へ通う人々もいっぱいいる。ちなみに、昨年以来のコロナで影響を受けた時期は、地下鉄の駅もゴーストタウン化していたようだった。

さて、そんなNY市の地下鉄だが、1回運賃を払えば、基本市内のどこへでも行けるという、一律料金システムを採用している。私がいた最初の頃(1990年代)では、1回1.50ドルだった。その頃はまだメトロカードというものがなく、トークンという、5円玉みたいな色と大きさの専用のコインを購入して、入り口で入れていた。一律料金なので、入るときだけで出るときはカードをスライドするとかタッチするといった動作はない。

さて、1.50ドルだった運賃は今ではなんと2.75ドルまで来ている。デリなどで紙カップのコーヒー一杯が、やはり0.50ドル(50セント)だった時期を知っているが今は1.50~2.00ドルくらいするのか。ちなみに、どこ駅からどこ駅の定期券といったものもなく、1週間か1ヶ月有効のフリーパスを定額で購入する形である。

ちなみに、市バスも同じカードで乗降でき、1回までなら追加料金なしで乗り換えできる。マンハッタンの場合、タテに長いので、タテとヨコの路線を知っていれば、だいたいどこにでも行ける仕組みである。地下鉄もバスも両方Metropolitan Transportation Authority (MTA)という団体が運営している。

さて、NYの地下鉄の楽しみはいくつかあるが、一つはストリート・パフォーマンス。タイムズ・スクエアなどの大きい駅にはかならずいるし、駅のホームや、場合によっては車内で演奏(演技)していることもある。車内ではよく3人組の歌を歌う黒人のファンキーなお兄さんたちに遭遇したが、今はどうしているのだろう。ブレイク・ダンサーもいた。

ストリート・パフォーマンスにオーディションがあるということはご存じだろうか。以前はなかったらしいのだが、希望者は多いしやはり人目につく(人前に立つ)ためか、ちゃんと枠を決め公式なオーディションを行うようになったようだ。なにせ場所柄、ワールドクラスのプロデューサーなどが歩いていてもおかしくない土地である。夢を叶えた人もいるだろう。チャンスは公平に、ということなのだろう。もっと卑近な線では、通りがかりの人々の「投げ銭」が彼らの生活の糧の一部となっていることは間違いないだろう。

NY地下鉄はけっこうヒューマン・オペレーテッド(human operated)である。なにが言いたいかというと、各電車の真ん中あたりに車掌さんが乗っている。日本のような指さし確認はないが、ちゃんと見ていて、ドアが安全に閉められるか確かめている。時刻表というものがあるんだかないんだか知らないが、日本ほど寺家間に厳密でないせいか、ギリギリで乗ろうとすると開けてくれたりすることがある。こうした「人間臭さ」が、NYの魅力の一つとなっている。

「危ない」についてだが、私は地下鉄で危ない目に遭ったことはない。ただし、夜遅くに乗らないとか(24時間走っているため)、人気のないところは避けるといった「常識」は求められる。また、女性のヒールの音は響くし女性だとする分かるので、ヒールは止めるようにといった話を、ごく最初の頃に聞いた気がする。そのためか、NYのワーキングウーマンのスタイルはだいたいスーツに白いスニーカー。なぜ白なのか、分からないがだいたい真っ白なスニーカーを履いている(汚れたら替えるのだろうと思うくらい)。彼女らはバッグの中にパンプスを忍ばせていて、オフィスに着いたら履き替えてファッショナブルになるのである。

ただし、クイーンズとブルックリンの境目あたりであまり電車の来ない線(Gだったと思う)に乗ってしまい、人はいないし待てど暮らせど電車は来ない、という経験をしたことはあった。周辺の方へ行くと、あまり電車の本数はないようである。

合わせて11年くらいいたので、NYの道や地下鉄の地図は頭に入っていたが、さすがに帰国して数年経ったところでそれはなくなってしまった。本帰国後も数回行ってはいるが、お上りさん状態というか、地下鉄の駅から地上に出ると迷わず歩ける(というのが以前の状態)のでなく、まず周囲を見回してしまうようになった。かならず通りの交差点に通りの番号(いわゆる「何丁目」というやつ)は書いてあるので、便利ではあるのだが・・・ やや情けない。

(写真は数年前、グランドセントラル駅の車両。クッションの絵がついた車両にたまたま乗り合わせた。)

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