パンの中
ある人が言ったんだ
ホールケーキの真ん中が一番美味しい
ってね笑
え?何を根拠に?と思った私はもうちゃんと大人だった
朝ごはんは白湯とバナナとトースト
白湯に真ん中はないなぁ
バナナは…ふさの真ん中からとったバナナを普通に食べてしまったけれどこれは…?
難しい…
パンは一斤で考えたら買うところから始めるのが筋だが、手元には1人で立つこともできない食パン6/1いや1/6かな笑
そんな食パンの真ん中をガブッ
別に美味しくなかったし、普通に食べたかった
パンを傷つけた罪悪感、真ん中をくり抜いた背徳感の味は本来の味を消して喉を通った
んー。
しばらくパンを見て
部屋を歩き回った
今思えば本当によくわからない
よくわからない
気が済むと片手にカメラを持っていた
心底わからない
穴を埋める、覗く、食べさせる
死んだ人は生き返らないように
パンの穴埋めは大変だ
いつもどこかに僕の真ん中をかじっていく奴がいる
そいつの名前は知らないし、大切だと認識していないあれを食って逃げる
増えないし消えない
少しの時間穴の空いた箇所を手で覆い隠しても
熱が蒸発してそこだけ冷たくなっていく
絆創膏は生きたいという気持ちだけでじゅうぶんなんだ
空いた穴はさ、閉じることが全てじゃないよ
空いたまま生きようとする人も大勢いるし
気付いたら塞がってた人もいた
空や海からしたら私は真ん中なのかもしれない
あなたが真ん中なら無くなっていいわけない
きっと私が消える時
それは誰かが生まれる
今日はおいしいパン屋さんに行こうか
ケーキを買いに行こうか悩むところですね
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