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日本のメディアがレイプ神話を助長?! メディアこそ性被害の“真実”を伝えるべき

1996年に放送されたTBSの「真昼の月」というドラマは、日本で唯一、性被害について大々的に取り上げた作品になります。

常磐貴子が演じる主人公女性がレイプ被害を受け、心に深い傷を負い、PTSDなどと戦いながら徐々に復帰していく
一見して被害者の辛い現状を世に伝える、被害者に寄り添った作品かのように見えますが、実はこの作品は性犯罪の事実を大幅に背いており、逆に被害者を追い詰めてしまっている可能性が高いのです。

日本のメディアは性犯罪をレイプ神話に則って報道している

  • 被害者はある日突然襲われる

  • 性犯罪の犯行は暗い夜道や人気のないところで行われる

  • 加害者は面識のない人だ

  • 加害者は性欲が抑えられない、非常識人だ

  • 被害者は被害に遭うのが嫌だからこそ抵抗できる

  • クラブに行ったり派手な服装をしているから襲われる

  • 被害者は派手で露出の多い格好をしている

これらはレイプ神話という、世間が性犯罪に対して抱くイメージであり、真実とはかけ離れた根も葉もない偏見です。

そして紹介した「真昼の月」の主人公がレイプされるシーンの描写ですが

ある日主人公女性が夜道を自転車をこいでいた時、いかついおじさん達が突然出てきて主人公女性を車の中に引きずり入れる。
主人公女性は「やめてえーーー」と必死に抵抗するも加害者達に刃物で脅され、土手でレイプされてしまう。

レイプ神話とぴったんこかんカーン!に描写されていますよね。
これは真昼の月のみならず、他の日本のドラマやAVでも実に多くの日本メディアがレイプ神話に則った描写をしています。

では実際に性被害はどのような現状があるのか?

実際の性被害はレイプ神話からかけ離れている

性犯罪の8割以上が被害者と加害者は面識がある

実はレイプ被害の約8割以上が面識のある人によるものというデータが正式に出ています。面識があるからこそ抵抗できない環境作りをしているのです。

親や友人、知人、上司など被害者が頼らないとやっていけない相手だからこそ抵抗することができないのです。

加害者は計画的に犯行に及んでおり、”いい奴”が多い傾向にある

加害者は社会的に地位が高く、高学歴で頭がいい人が多い傾向があります。過去の事例から国立大学卒業生や医師、会社役員など、自分の地位を上手く利用します。

犯罪心理学と性犯罪を照らし合わせて考えてみると、加害者の巧妙さがわかりやすいです。
①犯行がバレないようにする
②計画的に犯行を実行する
③確実に犯行できる相手を選ぶ

①〜③は犯罪者が犯行に及ぶときに重要視する点と言われ、性犯罪でも加害者はこの3つの点を上手く活かして犯行に及びます。

実際の犯行の手口はこちら!

①犯行がバレないようにする
→「部屋の中や密室を使えば犯行がバレない」 「クラブなどの場所を利用すれば犯行をカモフラージュできる」 「男性経験が少ない子であれば自分が被害に遭ってるのがわからず助けを求められない」
②計画的に犯行を実行する
→「前々からターゲットとコンタクトをとり、弱みを分析して断れない状況を作りだす」
③確実に犯行ができる相手を選ぶ
→「派手な子よりも大人しそうで自己主張が弱い相手であれば加害者のペースに持っていける」

そして加害者は社会的地位が高いため、周囲からの評判はとても良いことが多いのです。

「あんないい奴が性犯罪なんてするわけがない!」と世間が加害者の肩を持ち、被害者が泣き寝入りしている辛い現状があります。

「性的同意」がないものは全て性暴力(性犯罪) 

私がSANE(性暴力被害者支援看護職)として活動している中で、「レイプは力づくで相手をねじ伏せて性行為に及ぶものだから、相手が抵抗してこなければレイプとは言わないのではないか?」と男性から突っ込まれたことがありました。

あちゃあ、、、どっぷりレイプ神話に染まってしまっているなあ、という印象を受けました。
そもそもレイプとは“性的同意”を取れていない状況のことを指します。

性的同意とは

・その相手との性行為を望んでいるか
・性行為をしたい時・場所であるか
・避妊や性感染症予防についてお互い納得ができている方法が取れているか

これに背いているのは全てレイプ・性暴力になります!

相手が抵抗してこないからレイプにならないのではなく、そもそも相手は被害に遭う時は抵抗できない状況であるということを考慮して、自分が加害者にならないようにお互いの意思を重んじることが大切です。

レイプ神話のせいで被害のほとんどが見過ごされている

多くの人が性被害を受けており、もはや人ごとではないと言えます。そして認知された被害はたったの3割程度という悲しい現実もあります。


さらにもっと残酷なことに、性暴力ワンストップ支援センターという性被害の相談場所への相談件数は年間3万件数以上にも及んでいるという、、実際の被害はもっともっと多いのにも関わらずその被害は認知されていないのです。事実上、認知された被害は3割よりももっと少ない数と言えるでしょう。

被害者はレイプ神話のために自分にも非があると思い込み、どこにも相談できなかったり、、、勇気を振り絞って被害相談に行ってもそれが被害と認めてもらえなかったりしています。

上の表は各国のレイプ件数の認知件数になり、注目して欲しいのがスウェーデンです。一見するとレイプの件数があまりにも多くて「怖っ!」て思うかもしれませんが、これは逆で、スウェーデンではちゃんと被害者のことを思った社会システムになっているからこそ性被害が認知されやすいのです。

ちなみに、スウェーデンでは、「性行為をするにあたりお互いにYESと意思表示がなければ全てが強姦罪」になります。

日本はグラフだけでみると性犯罪の少ない平和な国に見えてしまいますが、これはそれだけ性被害が認知されていないということなのです。

性被害のPTSDへの移行は災害の6倍以上 自殺とも強い関連

そして被害者たちの苦しみは被害の後も続きます。PTSDへの移行率は被災者の6倍以上とのデータも出ています。

これは被害者への理解が進んでいないがために被害者への支援体制が整えられていないことや、セカンドレイプが原因であるとされています。

性被害は自殺とも強い関連が調査で示されており、早急にレイプ神話を払拭して被害者達が適切なケアを受けられるようにしなければなりません。

メディアだからこそ真実を届けられる! 真実を伝えて被害者の命を救いましょう!

ここまで日本メディアに対して怒りの内容の記事となってしまいましたが、メディアはそれだけ絶大なる影響力を持っているということです。

今後は是非、メディアがその強い報道力で性犯罪の真実を世に伝え、被害者に救済を与えられる切り札になることを願っています。


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