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出産予定日の2日前に、網膜剥離になった話①

タイトル通りの話を延々とする予定なのですが、網膜剥離って、知っていますか。

ボクサーとか格闘技してると結構なる人もいて、放っておくと失明する、あれである。
痛みはなく、自覚症状がないことも多い。

もしかしてボクサーなの?
と思われるかもしれないので念のため言っておくと、私はボクサーではない。

小学校が田んぼの中にぽつ〜んとあるような栃木の田舎町で、感受性を暴走させながら育ち、18歳で上京。
成城石井のプレミアムチーズケーキを一瞬で食べきってルームシェア中の友人に引かれる20代を過ごし、30代には1切れしか食べられなくなり残りは冷凍しがちな、どこにでもいるしがない一般人です。


そう、しがない一般人でも、ボクサーじゃなくても、網膜剥離になるリスクはある。


有名人でいうと、例えば歌手の小林幸子さんが、失明直前で緊急手術したらしい。
網膜剥離でも、進行度によって、緊急性が高いやつと、様子見できるやつがある。

あとは、サンボマスターの山口隆さんとか。

サンボマスターといえば、『ラブソング』、PVの長澤まさみがめちゃくちゃ可愛かったね。
ぱっつん黒髪ロングで温泉お泊まりとか海デートとか彼氏視点で動画撮ったり写真撮ったりふざけたりしてるやつほんと可愛かったよね!!!!?

無心でYouTubeリピート再生してた気がする10年くらい前。可愛すぎて。
(今探したらもう見れなくなっていた)


つまり、とにかく言いたいことは、(特に近視が強めだと)誰にでもリスクはあるということ。



参考までに、私に関して言うと、もともとド近眼(両目0.03)で網膜が楕円に引っ張られ、剥離リスクが高いことは10代から分かっていた。

私をきっかけに母も受診したところ、同様のリスクが発覚し、そのうち父も網膜のレーザー手術をしている。そう、遺伝的要素もある。


たまに飛蚊症(黒い点が見えたり、チカチカ光が見えたりする、網膜剥離の兆候症状)が強く出ることはあっても、定期検査で危ないところは都度対処。
リスクは抱えつつも、網膜と私はほどよくいい関係を築いてきていたつもりだった。



異変が起きたのは、出産予定日2ヶ月ほど前。
左目だけに、水に墨汁を垂らしたような模様が見え始めた。

こういうやつ。

まじで、こんなの。
突然、視界を遮りつつも邪魔しすぎない感じで、こういうやつが現れた。


ちなみにこれ、「墨流し」で画像検索したらドンピシャだったんだけど、癒し動画ってなってるね?
今となっては、個人的には謎に親近感がわく、恐怖動画である。



そういうわけで、やばいと思いつつも、臨月で子連れ里帰りをしてから体も頭もバタバタ。
頭の片隅に常に不安材料として存在していたのに、たかが1回の眼科受診の時間をなかなか作ることができず、気づけば2ヶ月も放置してしまっていたのだった。


2日後の予定日に向けて、念のため…
と、散歩がてら近所の眼科に行ったら、時すでに遅し。

左目の網膜にはしっかり穴があき、自覚症状のない右目も、剥離寸前であることが分かった。

手術は避けられなそうだけど、出産を終えないことにはどうにもならない。
できる限りのことをその場ですぐにやってもらった。

安静にしててね、と先生が言うので、

あの…出産行為は、安静に含まれますか…?

と思わず聞いてしまって、病室がシーンと静まり返った瞬間が忘れられない。

2022年、考えずについ口に出してしまった浅はかな台詞ランキングを作るとしたら、かなり上位に食い込んでくる一言だったと思う。


安静って…なんだろう…。


取り急ぎ、なるべく安静を保ちながら出産するライフハックをググってみたけど、思うようなものにヒットしない。
基本的に命がけで産むんだから、安静って難しいよな…。

過去に、妊娠中に網膜剥離になった人の事例はないか?調べてみるとそこそこ例はある。じゃあ、出産をきっかけに失明した人は?

いきむのはNGじゃないか?と、帝王切開への切り替えも検討したけれど、眼科医いわく、それは不要とのことだった。

そもそも無痛分娩の麻酔とか大丈夫なの?むしろ痛みが和らいで気持ちに余裕ができる方がいい?重いもの持つのNGだけど、赤ちゃんの抱っこは大丈夫?
急にリスク妊婦になったから、今の産院で断られたらどうする?今できることは何か…何かないのか?



もしかしたら失明するかもしれない。

そんな不安がどうしても拭えない。


乳飲み子を抱えて10日間入院する手段があるのか、それとも母乳育児を諦めて母子別離状態してでも目を治すべきなのか、目の手術入院中の、乳腺炎リスクはどうするか…
片目を失明するリスクは具体的にどんなものがあるか、片目で生きていく場合、今の仕事や育児にどんな影響があるのか、子どもたちにはどう説明すればいいのか…

とにかく頭の中をグチャグチャさせながら、意味があるようなないようなことを延々考え続けた。

もちろん、産前に行けたことは不幸中の幸いだ。
産後であれば、今以上に自分のことは後回しになるから、きっとしばらく検査には行かなかったと思う。

もしそうなっていたら…思うと、今想像しても、心底恐ろしい。


②に続く


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