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知り合い主催のスマブラ大会に行ってきた話。

一昨日、知り合いに呼ばれ、とある大会に行ってきた。

なんの前情報もなく、わかっているのは20時という集合時間と場所だけ。

知り合いによると、それは招かれし者だけが参加できる特別な大会らしい。

競技は『大乱闘スマッシュブラザーズ』というゲーム。

僕は絶対に勝ち残ってやろうと決心した。

優勝したあかつきには一生使い切れない額のお金や、人を生き返らせることができる大魔術や、不死になれる薬品が手に入るだろうと予想できた。

なんにせよ、貰えるものはなんでも貰っておきたかった。


僕がこの大会の存在を知り合いから教えてもらったのは、およそ4ヶ月ほど前だった。

絶対に負けたくなかった僕は、恥を忍んで弟に弟子入りすることにした。

弟はスイッチ版のスマブラをやりこんでいた。

兄である僕は弟に、情けないくらいぼこぼこにされながらも、すこしずつ上達していった。

そして大会当日、修行で負ったいくつもの大怪我を隠しながら、ぼくは5分前に会場入りした。


そこには参加者とみられる人たちが、もう何人か着いていた。

全員が目を血走らせ、素振りや受け身の練習をしていた。

そして彼らの中央には、まるで断頭台のような冷たさを放つ『NINTENDO64』が置かれていた。

アルコールやソフトドリンクが提供されていたが、器はすべて人間の頭蓋骨を切り開いたものだった。


しばらくするとゲームマスターが現れ、チーム分けとトーナメント表が発表された。

そうしている間にも、続々と参加者が到着した。

真っ黒な衣装の謎めいた女。全身いたるところに入れ墨の入った男。サイボーグ。凶器のような爪を持つ怪人。盲目の老人……。

彼らはゲームマスターが選りすぐった強者達にほかならなかった。

血湧き肉躍る。全員がそんな大会になる予感を抱いていた。


しかし僕は誰にも負ける気がしなかった。

弟との過酷な修行の日々で負った、数えきれない傷の疼きが僕の背中を押していた。

自チームの順番が巡ってくる。

席につき、コントローラーを構える。

武者震いが全身を駆けていくのがわかった。



結果、初戦敗退。

対戦ありがとうございました。

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