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石を処方する

子供時代、新聞には地元の宝石屋さんの折り込み広告が挟まっていて、特に祖父母の家に行くと独特のアイテムがいっぱい載っていて楽しかったため、私が「切り抜く用」に取っておいてもらっていました。
縁側でひとり黙々と広告を切り取って指に載せて楽しんでいたのだけど、40余年経った今もスクラップブック用にまったく同じことをやっていて、三つ子の魂百までってほんとに私のための言葉なのでは?と思う。

その頃観た『南の島のフローネ』というアニメで、フローネたち子供が両親のためにツリーハウスで過ごす素敵な夜をプレゼントしたらオオカミに襲われ、親御さんが夜じゅう闘いまくるっていう回があって、たぶんその前後で川をさらっている時に家族の誰かが透き通った紅い石を見つけるストーリーだったはずなんだけど、その紅い石が、私が人生でいちばん最初に憧れた「宝石」です。
当時母方の祖父が飲んでいた薬の中に、同じように透明の紅いカプセルに入ったものがあって、薬の皮を剥いて祖父に渡す役目を担っていた私は、いつもそれを最後に飲むようにお願いして手の中に大事にとっていた。(子供がベタベタ触った薬、やだねえ)


時が経って高校時代、同級生が住んでいた横浜元町に遊びに行った時、地元マダムがこぢんまりとやっている、今で言うセレクトショップに立ち寄ると、その方のお古であろうヴィンテージの水晶とシルバーの指輪と、フェイクターコイズのブレスレットが共に500円で売られていました。
当時3000円あったかな?というお小遣いの中から、2つで1000円という高額を払う…!しかも、親の承諾なしにアクセサリーを買うなんて…!!という猛烈な葛藤と緊張の中、震える手でお金を差し出し、無事に購入できたのですが、帰りの東横線でもずっとぶるぶるしていて、帰宅後もなかなか言い出せず。
意を決して見せたら、拍子抜けするくらい軽い反応だった気がするんだけど…。
そんな想いまでして買った指輪の方は、いつの間にかどこかに行ってしまった。
(フェイクターコイズは今も残っている)

それから30年の間に、たくさんの石を買いました。
いっとき「誕生日プレゼントにその人の生まれた日の石を買う」のが自分の中で流行っていて、楽しく調べて贈っていたけどみんなまだ持ってるのかな?(石って手放すの大変そうw)

「フローネの紅い石」に似たのを昔もらって持っているのに
見つからない!(こういうのも石っぽい)
なので、水晶の天使さんと招き猫をご紹介。


スリランカの「石を処方する」という考え方がすごく好きで、状態ややりたいことに応じて身につけたり差し上げたりしています。
あちらでは、懇意の占い師さんがお家ごとにいて、子供が生まれたりするとホロスコープを出してもらうんだって。
それには「3歳で高熱を出すからこの石をつけなさい」みたいなアドバイスが書かれていて、男性も女性もその処方箋に応じて、いつも着けている指輪の石を交換したりするらしい。(そのため石が直接肌に触れるようにデザインされているものが多い)

それを知る前から似たようなことはやっていたけど、それからは一応ちゃんと調べて自分で石を「処方」しています。
例えば今後の展望が知りたかったらハーキマーダイヤモンドを枕の下に敷いて寝たり、ホルモンバランスを整えたかったら(なんだそれ)インカローズを身につけたり、といった具合。
でも大方は、買う時同様「なんか今気になるから」「なんとなく目が合ったから」といった感じですが。

以前スリランカに行った時、ホテルに常駐していた占い師のおじさん(10分でも2時間観ても600円くらいと言われて信用した)が「あなたは左手中指にサファイヤを着けるべし」と言われて翌日早速買いに行ったんだけど、一目惚れした石がまあ高価で、鑑定書もついてるけどほんとかね??となり、それから10年以上「周囲にぐるりとダイヤモンドつけても絶対値段一緒だったのになぜ私はシンプルなデザインにしたのか」と後悔し続けていました。
仲良しの宝石屋さんに「ダイヤぐるりってリフォームしたらいくらくらい?」って訊いたら「頑張って27万」と言われて後悔がさらに倍増。

しかし数年前、新宿のミネラルフェアに連れてってもらったら偶然「スリランカサファイヤフェア」をやっていて、その指輪を見た何人もの本場のプロバイヤーたちに、「ちょっとその石見せて!!」「あなたすごいいい石買った」「スリランカで買ったよ」「どこ!?」「キャンディのお店」「キャンディ!?キャンディのどこ!?」っていうことがあり、その日のおかげで溜飲が下がるというか、よーーーうやく!ダイヤ云々という後悔が晴れる瞬間がやってきましたよ!
あれだけプロに「いい石」って言われるならそれひとつ付いてりゃいいか、と思えるように。
いやでも、過去に戻れるなら絶対ダイヤ付けるんですけど。


安ければ数百円から買える天然石たち。
なんか気になるな、という出逢いがあったら、手にとって調べてみてください。
きっとちいさな妖精たちとお喋りしてるような素敵な気持ちになって、自分でも石を処方できるようになるよ。

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