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GKの声は神の声?~コーチング文字起し~【vol.1 林 彰洋】

皆さんどうも、太古の森と漆黒の獣です。

Jリーグも半分の日程を消化して特殊なレギュレーションに皆さん慣れてきましたかね?(こんなレギュレーション慣れたくないですよね、分かります)今回は久し振りのnote更新になります、久し振りに記事を書きたいな~と思いまして色々考えていたのですが、今年の特殊な環境で良く色々なサポーターから声として上がるのが「ピッチの音が良く聞こえる」という部分、我々サポーターが声を出せないのは残念ですが、この特殊な環境ならではの楽しみですよね、このピッチ上に溢れる音の中で選手や監督の声を拾って記事を書いたら面白いんじゃない?と思ったのですが、当然全部は無理です(笑)
そんな中で自分の経験ポジションであるGKの声だけ拾うのは可能じゃないかと試してみたところ、意外と拾えましたので、それを文字にして起こして、自分なりの解釈で解説してみる事にしました。
当然、これは僕自身の個人的な解釈になりますので、そこはご容赦下さい、あと面白いかどうか分かりません。(笑)


GKを語るときに技術的な部分の他によく言われるのが「コーチング」、最後方にいるからこそ全体を見渡せるGKからの声かけはよく「神の声」と言われます、当然これも大事な技術なのですが、どういった場面でどういう声を出しているかは特にサッカー未経験者の方にはピンと来ないですよね、なのでそこの部分を今回の記事で少しでも感じ取って頂ければなと思います。

今回記事を書くにあたって、「聞き取りが出来る環境の試合」の選定から始めました、リモート応援をしているチームは無理です、DAZNでは実況・解説をオフにする機能は無いので極力静かなスタジアムの試合でないと無理です、となると僕が応援しているFC東京のホームゲームはリモート応援無し、手拍子も少なめで静か、何より聞き慣れたFC東京のGK林選手の声なら聞き取れるなと思い、先日行われた9月23日(水)に行われた第18節vsC大阪とのゲームで聞き取り実行してみました。

林選手には勝手に聞き取っている、真意と違う解釈をしてる可能性がある、間違っている、という部分について先に謝らせて頂きます、林選手ごめんなさい。

そんな林選手の書いたnote宣伝させてください。
GK技術を言語化って非常に難しいのですが、林選手は分かりやすく、上手いです、是非ご一読を!



さて、ここから読む方にご注意頂きたいのは僕が拾った声が全てではないと言う事、90分喋っている中でポイントポイントでピックアップしているという事をご承知下さい、実際はほぼ休みないくらいにGKは喋っています。



前半

※時間は90分表記で記載してます。
※ハッキリ聞き取れていない部分には(?)をつけています。

1:05~ 
「アル!アル!GO!(?)」

C大阪の最終ラインでのボール回しに対して、中盤にいる東京MFのアルトゥール・シルバ選手へ声かけですね、ボールを奪いに行くタイミングや守備のポジショニング、反対サイドにいながらも全体の選手位置を把握しながら声をかけています。

いきなり間が飛びますが、この間も聞き取れない音量レベルなだけでずっと細かく指示を出しています。

ここからは自陣与えたC大阪に対するFKやCKの際のコーチングがこのシーンでは続きます、この後も出てきますが、GKが1番大きく良く喋るのはセットプレイの守備の際の指示出しです。
これはチーム事に攻撃同様にパターン毎、また相手チームによって試合前に形が決まっています、ここでも後ろから全体が見えるGKが基本的にはFPに対して細かく注文し、指示を出します。

20:55~ 
「目離すな!!」
一瞬FPがボールから目を離したんでしょうね、文字通りボールから目を離すなとコーチングしています。
セットプレイを蹴るタイミングは攻撃側によります、この後も散々出てきますが、プレイが止まる一瞬は気が緩みやすい、なので目を離さず集中させる為にGKは目を光らせて声をかけなければいけません。
「タマ!右!右!1個でいい・・・1個で!
FKの壁に入った東京MF三田選手を呼んでいます、立ち位置指示してます、1個で良いというのは壁の枚数ですかね?1枚(1人)で良いという意味か。
「ラインOK!ラインOK!ここでいい!」
最終ラインの位置修正ですね、その位置を最終ラインにしてくれというコーチングです。

FKは何とか自身のセーブでCKに逃れます、余談ですがこのシーンでは飛び込んでくる選手に釣られずに最後までボールの動きを追いかけて我慢した素晴らしいセービングでした。

21:25~
「あい!あい!ショート!ショート!」
C大阪の選手がショートCKを始めそうな素振りをみせたので、味方の選手にショートコーナーが来るぞと警戒を促しています。
「デイェゴちょっと待って!ディエゴちょっと待って!」「GOGOGO!」
C大阪のショートCKに反応した東京FWディエゴ・オリベイラ選手がコーナー付近に応援に行こうとした所を止めます、というのもディエゴ選手はCKの守備の際には「ストーン」という近いほうのゴールポスト付近で相手のCKを跳ね返す役割がある為、ショートCKをするかどうか分からなかったので留めたのだと思います。
実際にC大阪がショートCKをしてきたのでディエゴに行っていいよと直ぐに指示出し。
「アル、ニア!ニア!」
東京MFのアルトゥール・シルバ選手へ空いているスペースを警戒する様に指示出し、スペースを埋める様に入って欲しかったんでしょうか?
「あいだ、あいだ、あいだ!」
これも相手に使われそうなスペースを意識してのコーチングだと思います。

22:00~
「へいへいへい集中しろよ!」「どんだけ(○○?)すんだお前!」

CKの流れから再びC大阪にFKを与えてしまったので、再度集中を促すようにコーチングをしています、セットプレイが続く事で集中が切れがちなチームメイトに檄を飛ばしています、時間帯もC大阪に流れが来ている時間なので耐えどころといった所でチーム全体に危機意識を植え付けるの大事な役割です。
「ディエゴ、ディエゴ・・・」「OKOKディエゴOK!」
特に危険なニアサイド(ボールに近いゴールサイド)に立つディエゴ選手の立ち位置の確認、また聞き取れていませんが他の選手にも細かく指示している様子が見て取れます。
「クリア!」
ボールが蹴られた瞬間のコーチング、味方の選手にクリアする事を促すコーチングです、「そんなことわざわざ言わなくても分かるのでは?」とお思いでしょうが、指差し確認と一緒です、声に出して言うのが大事なのです、これはどこのチームもカテゴリ関係なく聞かれるコーチングですね。
「アキフリー!アキフリー!アキフリー!」
おそらく声からして東京FW永井選手だと思いますが、こぼれたボールを獲りに向かった林選手に対するコーチング、「周りに相手チームの選手がいないから落ち着いて対処して大丈夫だよ」というコーチングですね。
これはGKとしては非常に助かります、ボールを獲りにいく以上視線はボールから動かせませんから、視野外に相手の選手がいないというのが分かれば、落ち着いて対処出来ます、ナイスコーチング。(GKに対するコーチングという事で載せてみました。)

30:58~
「タマ、タマ・・・シュート!」
紛らわしい書き方ですが、中盤でボールを回すC大阪に対して中盤の東京MF三田選手、安部選手にボールを奪う事に関してポジショニングのコーチングですね。

36:40~
「セカンド!セカンド!」
C大阪のスローインの場面、ボールを競ったあとのこぼれ玉に対する反応を促すコーチングですね、ロングボールやクロスボールを競った後にもよく使われるコーチングです(セカンドボールに対してアプローチしろよの略)

37:20~
「なんで~、さっき裏からいってるのにいまとるんだよ~・・・なんで?なんで?さっきと一緒じゃん。」
これは林選手ではなくてFC東京長谷川監督のボヤキ、面白かったので載せてみました、東京の選手がC大阪の選手を倒してファウルになるんですが、長谷川監督的には先ほど同じようなプレイで東京の選手が倒された時は取らなかったでしょ?っていう抗議を主審と4審にしてました。

43:16~
「ナァ~イス!!」
相手に最後まで付いていってシュートブロックしたアルトゥール・シルバ選手に対して労いのコーチングとグータッチ、些細なことですがめちゃくちゃ大事なコーチングです、自分も味方も高まりますし、何より一体感が出ます。

43:25~
「みとけ~みとけ~、アイ!アイ!」
直後のCK、前半終了が近いこのタイミング、絶対に失点したくないですから、手を叩いて味方に集中を促します。
「ディエゴ・・・ディエゴ・・・」
またまたストーンの位置に立つディエゴ選手に対して細かいコーチング、というのもCKの時に広いゴールエリアの全てをGKが全部見るわけにはいきません、そうなるとエリアで分担になりますが、東京はニアポストのエリアはFPに任せる形にしているので、立ち位置は重要な事がコーチングから分かりますね。
「OK見てるよ~、お互いね~、Notホールディング」
これは山本主審の選手に対する牽制のコーチング、「腕を使って相手を妨害したらファウルとるよ~そこ見てるよ~」と両チームの選手にクリーンに競り合うように促している訳です、いいコーチングだったので載せてみました。

はい、前半はここまでです。

後半

※時間は90分表記で記載してます。
※ハッキリ聞き取れていない部分には(?)をつけています。


47:58~
「ナァ~イス、ホタ」
相手のパス回しで上手く進路を消してボールを下げさせた東京DF中村帆高選手に対して、いい守備だったよと褒めのコーチング。

56:20~
「しゃ~!!」
C大阪の決定機に素晴らしいディフェンスでシュートブロックした東京DF渡辺選手を賞賛するコーチングとグータッチ、これ大事。

「近く、近く、近く!」「リョーヤ、リョーヤ、2枚になってる、2枚になって・・・GOGOGOGO!!」
続くCKの守備でショートCKを警戒して見方の選手に近くに立つ様に指示し、中にいる東京DF小川選手にマークの指示を出していたらショートCKを始めたのでショートCK対策で寄せていた安部選手に距離を詰めて獲りに行くように指示という慌しい場面でのコーチング、ホントに気が抜けませんよね。

57:14~
「シュート!シュート!」
安部選手に中盤での守備のポジショニングに対してのコーチング。

57:49~
「リョーヤ、リョーヤ・・・ナァイス」
相手選手の突破に小川選手に対応する指示と、上手く対応した事への褒めのコーチング

69:45~
「ナァ~イス、リョーヤ!」
相手のクロスをブロックした小川選手に褒めのコーチング。

「シュート、シュート前・・・へいへいへい!・・・ディエゴ、ディエゴ・・・」
C大阪のCKもうここら辺は前半からの繰り返しになりますが、一度の沈黙が失点に繋がりかねないのがGKというポジション、同じように何度でも味方に対してコーチングをしていきます。

86:22~
「(?)枚、(?)枚・・・ホタホタ外見とけよ」「OKOKOK・・・アルアルアル(?)・・・リョーヤ、リョーヤ・・・(?)ホタホタホタ」
例のハンド疑惑のあったFKのシーンですね、ここはちょっと聞き取りにくくて文字だけだとなんのこっちゃ分からんですよね(笑)
最初に壁の人数を指示しつつ、中村選手にC大阪の選手がクイックでFKを蹴ってきた時に備えて外側にいる選手を見るように指示、そこから個別に選手に立ち位置を指示しつつ、最後に空いてる部分に中村選手に入ってもらうという流れです、前半の項でも書きましたが、壁の作り方や配置は相手のキッカーや位置によって変わりますが、ある程度は事前に決まっています、例えばこの場面では右利きの柿谷選手が狙いそうな位置に、長身の原選手を配置していますね。

87:45~
「マーク、マーク・・・いいから、いいからマーク確認しろ!!」
上記のプレイでハンドがあったか審判団が確認している間に集中が切れない様に味方へコーチングをします、何回も言いますがこのように長い中断時間明けは、集中が切れがちですので、必要以上でも声をかけて集中と確認を促します。

88:40~
「なんで?どこみてんの?」「おい、やめろやめろやめろ!!」
試合終盤、CKの判定にしつこく抗議する安部選手に対して諌めるコーチング、抗議して覆る事は基本的に無いですし、次のプレイに集中して備えて欲しい、また試合終盤で抗議して無駄なイエローをもらうことを防ぎたいコーチング。
「GOGOGO!シュート!」
CKのこぼれたボールに対して、安部選手に詰めに行くようにコーチング。
「リョーヤ、はやく!リョーヤ、はやく!」
CKの対応でポジションを移動していた小川選手に定位置に戻るようにコーチング、守り切る為に最後の攻防、疲労している味方選手を動かす、集中させる意味でも大きくここはコーチングします。
「クリア!クリア!クリア!」
C大阪のロングスローに対して、ここはハッキリと大きくクリアして欲しいと再確認の意味も込めたコーチング。


はい、これで終了になります。
林選手のコーチングの甲斐もあって、この試合は見事にFC東京が完封勝利を収めました。
皆さん読まれてみて如何だったでしょうか、このようにGKは試合中に沢山のコーチングをしています、他のプレイヤーに比べてプレイ機会が少ないので喋れる、全体が見えやすい、故に全体へ向けてコーチングしていく訳ですね。
林選手は声も良く通りますし、分かり易いコーチングが多かった印象です、C大阪のキム・ジンヒョン選手の声も拾いたかったのですが、彼の声が分からないので無理でした。(笑)
でも個人的には林選手に比べると大人しい印象は受けました、ここら辺は個性だったり、チームのやり方も違うので面白いですね。(コーチングを最小限に抑えるチームもあるでしょう)
また機会と時間があれば別の選手のコーチングも聞いてみたいと思いました、静かなスタジアムあるかな?吹田とか?(笑)
お付き合い頂いた方はありがとうございます、是非これをキッカケに実際のスタジアムで「神たちの声」に耳を傾けて頂ければなと思います!

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