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連載小説④漂着ちゃん

 明くる朝、目が覚めると、老婆が私のとなりに眠っていることに気がついた。一瞬ギョッとしたが、体を寄せてみると妙な違和感を覚えた。

 この感触は…?!

 そうだ。私があの女の子を背負った時に感じた感触と同じであった。私は「まさか?!」と思いつつ、老婆の胸に手を伸ばした。

 老婆の胸に手を当て、その鼓動を感じた時、「間違いない!あの女の子だ」と確信した。

 その時である。

「ふふふ、あなたもやっぱり男ですね。老婆とはいえ、女には違いありませんからね…」

「君は老婆なんかじゃないだろう?あの時、私が助けた女の子だろう?」

「いえ、違いますね。まぁ同類には違いありませんが…私はおそらく、あなたが救った女の子の『姉』にあたります」

「バカは休み休み言え。そんなわけはないだろう。だいたい年が離れ過ぎているではないか?」

「バカは休み休みですか…ではお言葉に甘えて。♪バカ(休)・・♪バカ(休)・・♪バカ(休)・・」

「ふざけるな!」

「まぁまぁ、落ち着いてください。では、私の正体をお見せしましょう」

 老婆は両手を顎の下においた。ビリビリっと皮をめくると、そこには女の子がいた。

「驚いた。あなたはそんなに若かったのか?まるでJKじゃないか!」

「JKとは何ですか?」

「知らないのか?」

「はい、存じません。どういう意味でしょうか?」

「女子高校生。若い女の子のことだ」

「高校生という言葉はわかりませんが、若い女の子のことですか。『若い』という意味は分かります。ですが私は若くはないですよ」

「そんなことはないだろう。君は若い」

「ふふふ、若いですか。でももし私が千歳以上年上だとしたらどうでしょう?それでもあなたは私のことを若いと言えるでしょうか?」

「せんさい?千歳とは千年以上生きてきたとでも言うつもりか?」

「生きていたと言えるかどうかは分かりません。ですが、私が生まれたのは千年以上前であることは間違いないようですよ」


つづく


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