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スプーン作りでマインドフルネス

最近心の調子が悪いとき、酷く疲れたとき、興奮した日の翌日など、ただただスプーンを彫りたくなる。

Googleのアルゴリズムからカトラリー作りの動画をお勧めされて、憧れが募っていた。木そのものと向き合う静かな時間。何も考えずに手仕事に集中できる時間。今の自分が欲しているものに思えた。さらに家は端材だらけだし、近所に銘木の木っ端が手に入る新木場がある。もうやるしかないかなと思っていたところに、100円ショップのセリアでこんなものを見つけた。

https://www.instagram.com/p/CrfmKNfyUx4/

セリアの商品開発のペルソナ設定はどうなってるんだ。私に向けてのラインナップなのか?タイミングに驚きながら購入。まずはこれで練習して、数日後にあるスプーン作りワークショップに参加することにした。

https://www.instagram.com/p/Crs7LP4S17O/




左がセリアのキットで彫ったスプーン(ヒノキ) 右はWSで作ったウォルナット(頭の部分は先生が彫って私達は柄の部分だけ)

電動工具のストレスから開放される

そんなこんなでスプーン作りにすっかりハマってしまった。少し前にトリマーで怖い思いをして、以来なるべく手ノコでできることは手ノコでしている。スプーン作りはOLFAのクラフトナイフと彫刻刀、そして手でのヤスリがけ。電動工具はやはり怖さだったり、音だったり、粉塵だったりが結構なストレスだったんだなと気づいた。手間はかかるけどそれらから開放されて創作できる喜びがある。

過程の中で歩みは見えにくい


初めてイチから作った栗のスプーンは、逆目に苦戦して彫っても彫ってもガタガタ。一生終わらないんじゃないかと思ったけど、気が向いたときにちょこちょこ作業していたらいつの間にか形になった。ヤスリがけのときに特に感じたのだけど、同じように作業していても目に見えて変化、効果が見えてくるのが最後の方に急にくることがある。というか、最終盤までずっと、全然変わってない感じがする。ある時急に、加速がついて仕上がりに近づいた感触が突然現れる。これって、勉強とか、なにかの上達する過程みたいだと思った。(実はヤスリで削っているのは同じ量なのに)目に見える形でそれがわかるのが仕上がりに近づくときになってから。勉強や上達も効果を感じられずに同じところにいるような感じがする時間が長く続いて、ある日ふっと体が軽くなるように階段の上にいた、みたいな。

連珠や将棋をやっていると、自分がどこにいるのか、立ち止まっているのか進んでいるのかわからなくてよく迷子になる。似てるなあ。

栗のスプーン リボスのオイル仕上げ

ベランダに腰掛けて、太陽の光を浴びながらちまちま研磨しているとき、ナイフを走らせているとき、無心になれて体も心もポカポカしていった。考えてみたら、日常はすぐにいろいろな情報を取得しようとしてしまい、何か物事に集中して向き合うことが少ない。情報のデトックスをしながら、木を触り、手触りを感じ、目指す形に向かってそれだけを考えて進む。とてもいい時間を過ごせる気がする。まるでマインドフルネスしてるみたい。今の私が必要としている、贅沢な時間の使い方を手に入れた気がする。


栗スプーンの彫りはじめ

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