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ヴァンパイア:ザ・マスカレード『ニューオリンズ・クロニクル』(4)廃倉庫の死闘

 叛徒の幹部マノンが麻薬「ミッドナイト」の流通を主導していることを知った血盟。売人を尋問して結果得られた、密売拠点であるポンチャートレイン湖畔の廃倉庫に真夜中に向かう。

シーン1:車内

 湖畔の工場地区に向かう途中のバンの車内。荒事には長けていないトレアドールのロジェは、優れた《先覚》のパワーを使って、現場では前衛をつとめるムスタファの感覚を共有することになる。そのムスタファは《隠惑》で倉庫そのものに潜入。そしてアイザックは自らの教団員を引き連れて正面から突入する作戦となった。

シーン2:密売人たち

 目的地である湖畔の倉庫は、長らくまともには使われていない様子で、壁がめくれ、窓は割れ、扉はガタが来ている。しかし、その窓からは蛍光灯の鈍い光が漏れており、中に誰かがいることを示している。

 《不可視の通過》で誰にも見られることなく忍び込んだムスタファは、廃倉庫の1階の広い空間で、密売人が三人、所在なげに誰かを待っている姿を見る。また、2階ではまだ少年とおぼしき売人の仲間が、見張りと通信機器役をいいつけられていた。ムスタファは少年の影に潜んで状況の変化を待つ。ロジェは車内でこの視覚情報を共有して、別働隊のアイザックに通信機で伝えていく。

 まもなく車に乗って現れたのは、全身を刺青で覆ったスキンヘッドの大男だった。背中にはどうやら大型の曲刀を背負っている。密売人とのやりとりから、彼が流通の指揮をとっている模様。そこで、アイザックは敢然と彼との直接接触に挑む。

セト人の戦士アバド

シーン3:死闘

 三人の武装教団員を引き連れたアイザックの登場に、謎のヴァンパイア戦士は曲刀を抜き放ってすぐさま排除に動く。ヴェントルーの《睨視》と、剣士の《蛇眼》の対決。アイザックが戦士の蛇眼の呪いによって金縛りにあってしまい、あわや斬殺の危険。次の瞬間、影に潜んでいたムスタファの狙撃が戦士の背中にヒット。倉庫を舞台に戦いが始まった。

倉庫の死闘

 教団員がヴァンパイアに飛びかかるが、曲刀の一閃で文字通りまっぷたつに(MeleeのMessy Critical)。戦士は挟み撃ちは不利と見て《剛力》のパワーで、一気に2階まで跳躍。ムスタファは撃ち落とそうとするが間一髪間に合わず。窓硝子をやぶって、先程までムスタファが潜んでいた通信室にヴァンパイア戦士は転がり込んでいった。

 敵がしりぞいたのを見たアイザックは配下とともに、他の密売人たちが麻薬の在庫を取りに行った地下室へ。

 ロジェは、ムスタファの視線を通して、感覚共有のパワーを敵ヴァンパイアに投射。2階通信室の様子をキャッチする。そこでは、売人の少年に、敵戦士が自分の脱出後に警報ボタンを押すように命令していた。

 ロジェからのこの緊急情報を聞いたムスタファは、《瞬速》を発動して一瞬で2階室に突入。脱出の間もなく、敵ヴァンパイアは再び剣をかまえてそれに立ち向かう。戦士はセト信徒のアバドと名告った。バヌ・ハキムとセト人の戦士どうしの決闘である。

 《蛇眼》と《剛力》のパワーで、金縛りにして斬殺しようとするアバドに対して、ムスタファは素早く回避しながら銃撃を加える。狭い部屋の中での銃撃は、アバドの胸板を貫いたがしかし、巻き込まれた売人の少年にも命中(Firearms Messy Critical)。出血で少年はみるみる衰弱していく。それに気を取られたのか、次の斬撃はムスタファを切り裂き、片膝をつかせてしまう。強烈なヴァンパイアの腕力による一閃は、部屋の通信機器を破壊。その衝撃で「警報ボタン」が作動。

 1階で轟音とともに大爆発が起き、倉庫はあっというまに炎に包まれた。

  アバドはくずおれたムスタファを尻目に夜の闇へと脱出。アイザックは密売人たちを威圧しながら麻薬在庫を調べようとしたが、事態の急変を知って、密売人たちとともに倉庫を脱出。

 傷を癒やしながら、ムスタファは虫の息の少年を背負って窓からジャンプ。《瞬速》のパワーであぶなげなく着地に成功した。

 こうして、倉庫での戦いは幕を下ろした。

シーン4:公子の勅令

 数晩の後。血盟からの報告を受けた公子アントニオ・カルブラーシは、ニューオリンズ・カマリリャの血族全員を、エリュシオンであるカビルド博物館の夜の画廊に召集した。

ニューオリンズのカマリリャ

 集まった血族たちを前に、トレメール祭儀所長ナイジェルが麻薬「ミッドナイト」が、ヴァンパイアに魔術的な悪影響をおよぼす危険な薬であることを明らかにする。それによると、人間を通じてでも、自ら摂取しても、「ミッドナイト」を血に入れたヴァンパイアは、おそらくは何らかの魔術の触媒のような状態に陥ってしまうというのだ。これは、何者かが無差別に血族を儀式の犠牲者にしようとしている謀略に違いない。

 ここまで聞いた公子アントニオは、PC血盟からの報告とあわせて証拠として、叛徒の幹部でありミニストリー(セト人)の血族である魔女マノンに、ヴァンパイアにとって最大級の処罰である「咎人狩り」を発令した。

 極刑宣告に衝撃を受ける血族たち。アントニオとナイジェルが退室した後、トレアドールのモーゲインとその子ジョシュアは、力の弱いアントニオが自らの権威を高めようと勇み足をしていると非難。一方、ノスフェラトゥの密偵頭エイヴリーは、これははびこっている叛徒勢力の勢いを削ぐ絶好の機会だという。そして、最初にケイティフを捉えてこの騒動の渦中に巻き込まれたPC血盟の動きは、誰もが注目しているのだ、という警句を残してその場を去った。

 かくして、咎人狩りの夜が始まる。

(つづく)

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