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いただきます、ごちそうさまでした。



好きな日本語なんて沢山あるけれど、最初に思い浮かぶのは2つのことば。

いただきます と、 ごちそうさま。

食べることが大好きな食いしん坊一家で育ったから、この2つのことばが特に好きなのかもしれません。好きなだけではなく、大切にしていることばです。



オーストラリアでホームステイをしたとき、ご飯を食べ始めるときの挨拶は英語で何て言うの?とホストファザーに聞くと、彼はうーんと考えた後に「ない!」と答えました。

わたしは驚いて、じゃあ食べ終わったときの挨拶は?と続けて聞くと、「Thank you」という回答。

食べ始めるときは、Let's eat!などと言うこともあるそうですが、日本語のいただきますにはきっと変換できないなぁと思ったのでした。

ごちそうさまにもありがとうの気持ちが込められていますが、食事の際に遣う感謝のことばがわざわざ別で用意されていること、なんだかとても好きです。



手を合わせましょう
いただきますを言いましょう

「いただきます!」


わたしのお家では、学校で給食を食べる際に使われていた挨拶をそのまま自宅でも使っていました。いつの間にか簡素化され、はいっ!の合図で手を合わせてから、いただきますを言うようになったけれど。家でも学校でも両手を合わせていただきますを言う習慣があったので、それはもうわたしの身体と心に染みついています。

いつだったか、職場でお弁当を食べる際に手を合わせていただきますと唱えると、ひとりで食べるときもいただきますをしてえらいなぁ。と言われたことがあります。

ひとりだってふたりだって何人だって、いただきますの気持ちは変わらないのにな、と不思議に思いました。それは今でも謎なままです。

フレンチのようにお料理が一皿ずつ順番にテーブルに運ばれてくるスタイルだと、ついその都度手を合わせてしまいます。マナーやお行儀的には間違いなのかもしれないし、さっきも言ったよ〜と一緒に食事をする人にツッコまれがちですが、これはもうやめられそうにありません。ご飯を目の前にすると、右手と左手が磁石のようにくっつく仕様です。


先日、お花見の幹事を務めた際、突然に締めの挨拶を任されました。話すことなんて何も考えていませんでしたが、それならばこの立場を利用してやりたいことをやらせてもらおうと即座に決めたのでした。

宴会の締めの挨拶として、手を鳴らす一本締めが定番です。けれど、わたしにはもっと他に、手を合わせて言いたいことがありました。

お料理を囲ってこそ出来た時間、ご飯を食べながら弾んだ会話。食材に、自然に、作ってくれた人に、運んでくれた人に、用意してくれた人に。

関わったモノコトヒトに感謝の気持ちを込めて、ごちそうさまを、言いたくて。締めの挨拶は、一本締めの代わりに、手を合わせて、「ごちそうさまでした」と、みんなで声を揃えました。

この締めの挨拶は会社の宴会にしては幼稚かな?と少し心配していましたが、みなさんがすんなりと受け入れてくれて嬉しかったなあ。自分が大切にしていることを受け入れてもらえるって嬉しいです。

いい締めの挨拶だったねと言ってもらえたので、ありがとうの気持ちを込めてごちそうさまで締めくくる宴会が増えたらもっと嬉しいです。


本当にこの食いしん坊一家の一味なのか?と疑われるくらい食べることが苦手だった幼少期のわたしは何処へやら。今では食べることが大好きだと公言する程です。

「いただきます」と始めて、「ごちそうさまでした」で終わる食事。

食べることは、生きること。そして食べることは、自分を愛することだと思うのです。おいしいものを食べると、しあわせです。

箸を持つ前に、そして箸を置いた後に両手を合わせてする挨拶には、感謝の気持ちと、食べることで自分を労わる気持ちを込めて。



最後に、この文章を読んでくれたあなたが、おいしい夢を見れますようにと願いを込めて。

いただきます、ごちそうさまでした。



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