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キレイゴトのあるセカイ



社会に出て、大人になって気付いたこと。世の中には悪意をもって何かをする人がいて、それを隠すためなら手段を選ばない人もいるということ。

自分を守るために他人の気持ちを簡単に踏みにじれてしまう人がいるんだと知ったとき、自分の生きる世界が汚れていると感じ、絶望しそうでした。

それでも、自分の眼の水晶体だけは濁らせたくない。世界はきっと美しいはずなんだ、と言い聞かせながらもがいた結果、わたしの心は殆ど壊れかけたりもしました。


そんなの綺麗ごとだよ。
理想はそうだけどね。

そんな風に言われることを思ってしまう癖があるようです。そう言われる度、わたしは現実を見ることのできない幼稚な人間だと恥じながらも、理想は希望なのではないかという思いを捨てられないでいました。理想を掲げずして一体何処を目指せばいいのだろうか、と。

綺麗ごとだけで生きていけないことは分かっています。でも、綺麗ごとのない世界は寂しい。理想を語れない世の中なんてつまらない。ずっと、心の中でそう思っていました。




一度壊れかけた部分は、きっと真っさらな状態には戻りません。けれど、はっきりと言えます。これはわたしの芯をつくっている強さです。

傷と呼ぶのは大袈裟に思えてあまり得意ではないけれど、これを傷のようなものとするならば、まじまじと見つめてやっと認識できるくらいの傷跡がそこにはあります。なかったことには出来ない。でも、リカバリーした証です。

目を瞑りたくなるようなこと。耳を塞ぎたくなるような事実。それらがこの世界にあるのは確かです。でも、そこで絶望するのはまだ早いのかもしれません。わたしは知ることが出来ました、そうじゃない世界も在るということを。違う世界を知るために飛び出すことは、逃げなんかじゃない。勇敢なことです。


世界のすべてはきれいで温かくて優しい、あいにくそんな風には思っていません。何も知らない純粋無垢な子どものままでは、大人になれませんでした。

それでも、きれいな世界をきれいなまま見ることが出来るように。そこに在る温かさを温かいと感じ取れるように。受け取った優しさを巡らせられるように。世界がどうであれ、大切なことを大切にしていたい。優しさと強さを信じたい。


いまでも時々打ちひしがれることはあります。でも、もう大丈夫。きれいで温かくて優しい世界もあるということを、ちゃんと知っているから。こんなわたしの思いを聞いて、微笑んでくれる人もいるんだと分かったから。

全部じゃなくたっていい。並べたキレイゴトが、いつか世界をきれいに照らすように。まっすぐ生きていたいなと思うのです。


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