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まえがき

僕の故郷は工場と田んぼしかない東海の田舎町だ。
数年ぶりの故郷は僕の思い描いていた景色からは程遠いものだった。
自転車に乗って駆け抜けたあんなに広かった畦道も田んぼも見窄らしいミニチュアのように感じてひどく現実味がない。
よく「海外にいたあの頃は夢のようだった」と回顧する人がいるが、僕には故郷がいつか見た夢のワンシーンのように感じた。
上京して早3年、故郷を離れ18年以上。
過去を紐解けば留学していたことも海外に駐在していたこともあるが、今は東京に住むただのサラリーマンだ。
僕は何者にもなれなかった。
いつか見た夢は夢のまま、逃げたのは僕だ。
なりたいと思っていた自分は歳をとる度に歪み、原型も分からない。
あの日思い描いていた自分とのギャップに一人苦しむ。

そんな僕の人生に起きた数々の奇譚を若者もすなるnoteといふものに綴ろうと思ふ。
徒然なるままに。

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