ごめんなさい。

前回の記事を読んでくれた方には申し訳ないのだけれど、出来に納得がいっていない。
「書きたい」より「読まれたい」が先行した結果、熱が最後まで続かなかった気がしている。

私は作家でもないし、ましてや有名人でもない。
そんな私が他者に向けて仮にも読み物を発信する以上、そこには熱意がなくてはならない、と思う。拙い文章でも、人と共有したいという熱い想いが。

そんな自分の内なる想いが、今一番叫びたがっているもの。それこそが、

…バーチャルYoutuber「歌衣メイカ」の『カタシロ』を観た感想である。

…歌衣メイカという漢のことを初めて知ったのは、昨年の「神域リーグ」だった。
「神域リーグ」とは、バーチャルYoutuber・天開司主催のバーチャルYoutuber達による麻雀大会である。昨年記念すべき第一回だったその大会で、歌衣メイカはなんとMVPに輝く。
最初は決して麻雀が上手いわけではなかった。しかし持ち前の勝負強さと折れない心、プロや友人のアドバイスを聞き成長する素直さ、なにより彼の漢気は、視聴者を魅了していった。
私もそんな視聴者の一人だ。

その後も彼のチャンネルの切り抜きやMZMの動画などで彼の人となりを知っていく中、この「カタシロ」の告知があった。
「カタシロ」はディズム氏による新クトゥルフ神話TRPGの一人用シナリオで、記憶喪失になり入院しているプレイヤーが医師とその子供との対話を通して己の倫理観と向き合うことになる。

漢・歌衣メイカはこの物語で何を考え、最後にどういう選択をするのか。
普段あまりTRPGのリプレイを見ない私だが、「カタシロ」はプレイ時間が短い事もあり、作業用BGMとして再生することにした。

結論から言おう。私はTRPGのリプレイで初めて涙を流した。
この動画に歌衣メイカという漢の生き様が全て詰まっている。ぜひ視聴してほしい。

👊

※ここより下、『カタシロ』及び当該動画のネタバレを含みます。

👊

感想、なんていうのも野暮で烏滸がましいな、という気持ちにすでに少しなってきているが、本当に感じた思いの丈を語らせてほしい。

まず、いきなり少しズレるのだが天城てんのアキラがめちゃくちゃいい。
今回のSKPである天城てんは、歌衣メイカと同じバーチャルYoutuberだ。
おてんばお嬢様という触れ込みなのだが、MZMの動画を見ていると底抜けに良い子だと感じる。

この動画は
「3人で1~31の数字を出し、真ん中の数字を出した人だけがお土産をもらえる」
「数字が被った場合は脱落となり、3人が同じ数字だった場合は誰ももらえない」
という底意地の悪いルールのゲームをする動画なのだが、天城は「必勝法がある！」と言いなんと「31」を宣言する。
もちろん「31」はもっとも高い数字なので、誰とも被るわけがない。逆にいえば、ほぼ必ず「真ん中の数字を出した人」が出来上がる。
…彼女の「必勝法」とは、「誰もお土産を手に入れられない事を回避する方法」だったのだ。なんて良い子なの！

そんな彼女の屈託のない声が、歌衣メイカの病室の隣から聞こえてくるのである。「カタシロ」を知っている人であれば、その声の主がどんな状態かご存知だろう。…これ、やばくね？胸、痛くね？
morohaにもなるよそれは。ごめんな友よ。

👊

「カタシロ」では、プレイヤーにいくつかの思考実験が出題される。思考実験なので正答はなく、メタ的にはプレイヤーの人となりがわかるように、ストーリー的には最後のオチに繋がるようになっている。そしてこの「人となり」という部分において、歌衣メイカは全ての回答で「らしさ」を出してくれた。

顕著だったのが、最初の「囚人のジレンマ」。
正確にはこれは思考実験ではなく、「相手の行動がわからない場合はどちらも自白を選んだ方が良くて不思議だね」の例なのだが、

(一応の解説。
囚人の視点では、相手の行動がわからない。
ただし、相手がもし自白を選んでいた場合、自分が黙秘したら10年懲役になってしまう。
逆に、相手がもし黙秘を選んでいた場合、自白したら0年で釈放される。
なのでシステム的には、どちらの場合も自白した方が得になる。)

これに対して歌衣メイカは即答「黙秘」を選択する。理由を聞かれて、彼はこう答える。

「ダチを落として自分だけ助かろうとは思えない」
「結果自白されても、そいつが出れるならそれでいいのかなって」

…彼の思考には常に熱い血が通っている。
「理屈上何が得か」ではなく、「真の漢ならどうするか」を常に考えている。
その熱が、ファンの心を惹きつけるのだろう。

その後も「テセウスの船」に「想いが大事」、「臓器くじ」には「もし家族がそうなったら俺の臓器を渡す」など、熱い回答が続いた。

👊

いよいよクライマックス。
自分の元の体を、アキラに渡すかどうか。
自分の今の体は、メンテナンスをしたとしてもいつまでも持つ保証はない。
しかし、それでも歌衣メイカは、元の体を差し出す選択をする。

「自分の身内には、自分で(臓器を)提供するっていったんすよねー。もう俺の弟分なんで、身内なんですよ。俺は自分の言ったこと曲げれねぇす」

…か、かっこよすぎないか…？(涙)
しかもアドリブでこんなキレイに伏線回収することある…？

そしてこの後のアキラとの対話も良かった…ちゃんと確認したいことは確認して、アキラと医者のこと気遣ってぼかすところはぼかして…。
初めてアキラを見た時の反応も、少し「あぁ〜」って言った後すぐ「…坊主、会いに来たぞ」っていうのもめっちゃいい。推せる。アニキ…。
アキラの為に泣くのもいい…。

👊

全体通して歌衣メイカの魅力が詰まった一時間半でした。ありがとう…。
今年の神域リーグも感動した…セミファイナル、ファイナルの活躍半端じゃなかった…流石元MVP、持ってる…。

このnoteから歌衣メイカの「カタシロ」を観る人が一人でも増えることを願って。👊