見出し画像

はたらけど髑髏のほうはないがしろ

シリーズ・現代川柳と短文NEO/030

 百瀬は人間の頭蓋骨が透視できる。いや、厳密にはその人の頭蓋骨の形を想像するのが好きなだけだ。当然、隣の席の自分の頭蓋骨なんてとっくに透視されているのだろう、と言うと、だれかれ構わず丸裸にする趣味はない、と一喝された。頭蓋骨を透視することを「裸にする」というニュアンスで捉えているらしい。とまれ、いまこの教室には三十個弱のうら若き頭蓋骨が並んでいる。

【本日の現代川柳】
はたらけど髑髏のほうはないがしろ
/今田健太郎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?