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ヨガ講師を目指したきっかけ



「ヨガ講師を目指したきっかけは?」


そう、聞かれたらこう答えるだろう。


「ダサい自分に痺れを切らしたからです」


というわけで。今宵は私の昔話をします。前置きとして書きますが、ヨガ講師がヨガについて語ると、途端につまらなくなる説があるのでお気をつけて。はたまた、「ヨガ講師」というイメージをぶち壊す内容になりますので、それまた自己責任でよろしくお願いします。
では、話を始めます。


さて、まずは皆さんに質問があります。
皆さんは人生というゲームの中で、
ゲームオーバーしたことがありますか?
はたまた、リセットボタンを押したことはあるでしょうか?

私には、はっきりとあるんですね。あの時、ゲームオーバーをして。あの日に、リセットボタンを押した。そういう日があるのです。

というのも、私には過去に大きな心の病を抱えた時期があり。くる日もくる日も生きることに絶望しながら過ごしていたのです。あの頃は早く亡くなりたいと思って、多めの薬を何度も飲んでみたり、身体中に傷をつけ穴を開けたり、朝の7時から夜の29時まで働いたり、何も悲しくないのに涙が止まらない自分と過ごしていたんですね。暗くなるので端折りますが、そうしてある日、一人暮らしは限界を迎え緊急ドクターストップ。群馬に帰省となったのです。実家の一部屋に収容されることとなりました。それがまさにゲームオーバー。23の冬のことでした。
もう良い大人だというのに。これまでの恋も、愛も、キャリアも、遊びも、友達も、同僚も、仲間も、自分も。これまでの頑張り続けてきた「わたし」がすべて、無駄になった心の命日でした。



それから私は、生きてても死んでてもどっちでもいいような私になり。誰の為にもならない毎日を過ごしたのです。心が寝たきりで、電気や水にお金を使い、温かい部屋で眠らせてもらう人形のようになりました。人生の無駄遣いを長らく続けているあいだ、何も頑張れない自分や、何も頑張らない自分をどんどん嫌いになって、どんどんダサくなって、どんどん太って、どんどん脂っぽくなって、どんどん傷が増えて、どんどんうんざりして、どんどん涙は枯れて、どんどん逃げたくなって、どんどん自分を殺したくなったりしていました。それで、私。どうしちゃったんだろう、私。こんなはずじゃなかったんだけど。どうすればいい。どうすればいいんだ。



そう腐った脳みそに痺れを切らしたある日。
リセットボタンに手を伸ばしたのです。

「私に何か、できることはないの?」




そうして選んだのがヨガ講師でした。ヨガは数年前、「そういや趣味でかじっていたな。」という程度。ですが不思議なことに、他の職業に比べたらなんとなく。「自分にできそうな気がする」ただ、それだけ。されど。
それが最後の光でした。
そして、思い立ってすぐその日のうちに資格講座をしているヨガスタジオに震える声で電話をして、応募をして、翌日には見学に行ったのです。私の気が変わらないうちに。自分の足を止めちゃいけないんだと誰かが言って。



そこで出会ったヨガの先生が、私に向けて放った第一声は今でも忘れません。
「こんにちは。」でも、「初めまして。」
でもなかったのですね。


「あなた?どうしたの?」


そう言われたのです。それは何故かって。それほど私は異常な見た目をしていたからなんですね。薬漬けで、傷だらけで、穴だらけで、むくみと脂と死体臭が滲み出ていたのでしょう。今でもあの日のことは忘れません。



それが私がヨガ講師を目指したきっかけ。



そこから紆余曲折あって7年。月日が経ち私は今も、ヨガ講師をしています。私にとっての天職だと信じて、あれから何度もコンティニューを続け、進化や、ステージクリアを続け、今もなお、ゲームに挑戦し続けています。あの時のわたしが、闇から抜け出そうと、クソみたいな自分に期待したから、今日があるのです。


人はどんなに腐っても、狂っても、涙が枯れて、鎖に巻かれても。諦めなければ、明日は来るのでしょう。逃げて、逃げて、逃げて、逃げても、最後はちゃんと光に向けて踏み出すんだ。それは最後の光じゃない。いつからでもそれが、はじめの一歩になるんだから。




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