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【第1回】カスタマーサクセスとサブスクリプションモデル

 現代のビジネスにおいて「カスタマーサクセス」はバズワードである。どの顧客もカスタマーサクセスを期待しているし、どの企業もカスタマーサクセスを提供することを目指している。

 「カスタマーサクセス」とは、自社の顧客リストを守り、新たな機会につなげ、顧客の中から生涯を通じて企業やブランドの擁護者(アドボケート)となってくれる人を生み出すものだ。効果的に運用すれば、最大の営業・マーケティングツールになり得る。

●カスタマーサクセスとサブスクリプションモデル
 カスタマーサクセスが普及した背景にサブスクリプション(定期収益)モデルが挙げられる。
※サブスクリプションとは「定期購読、継続購入」を意味し、商品やサービスを所有・購入するのではなく、一定期間利用できる権利に対して料金を支払うビジネスモデルを指す。

 サブスクリプションモデルの魅力や価値とは、インストールベースの総額が増額する部分にある。そのためには、新規顧客の獲得だけでなく、高いリテンション率とアップセルの成果が求められる。
しかしながら、新規顧客獲得コストは非常に高くかかるため、ロイヤルカスタマーが必須である。(一定程度のチャーンレート(解約率)を上回るペースで顧客獲得を続けることは長期的でなく、現実的でもない。
つまり高いロイヤルティを確保するためには、カスタマーサクセスが必須なのである。実際に定期収益モデルがうまくいっている場合、顧客は次の2つの行動を取る。
①あなたの顧客を続ける
②あなたからもっとモノを買う
逆に言うとこの2つどちらかの行動をとってもらえなくなったら経営も立ち行かなくなる。

●2種類のロイヤルティ 
 ここで、ロイヤルティには下記の2種類あるという。
①行動ロイヤルティ
②心理ロイヤルティ
 ロイヤルカスタマーには、そうすべきと考える人(行動または理性の側面/行動ロイヤルティ)と、そのブランドや商品が好きだからという人(心理または感情の側面/心理ロイヤルティ)がいる。
後者(心理ロイヤルティ)の方が、高額な商品を買ってくれるし、他社との競争にさらされることもないし、自社ブランドのアドボケートになってくれる可能性も高いため、ベンダーやブランドとしてはずっと好ましい。
カスタマーサクセスは心理ロイヤルティを高めるための手段なのである。
▼例▼
行動ロイヤルティ:ある主婦がハンク・グロッサリーで買い物をする理由が、家から30マイル以内の場所にパンと牛乳を売っている店が他にないからという場合。
心理ロイヤルティ:娘が高校を卒業した時、ノートパソコンが必要になった。デルの方が機能が優れていて値段も安かったにも関わらず、娘はMacを買うと言って聞かなかった。

●「カスタマーサクセス」の3つの概念
①組織
カスタマーサクセスとは本質的にリテンション率とLTVを最大限引き上げることを目標として、カスタマーエクスペリエンスに特化した組織のことである。これが効率よく出来るだけでサブスクリプション企業は生き残ることが出来るし、市場を支配出来るのはこの点で極めて優れた企業だけだ。

②原理原則
カスタマーサクセスとは新たな原理原則でもある。営業や品質管理やカスタマーサポートといった他の原理原則と同じように、この新たな技術とその実践者の支援と育成を目指して、現場ではグループや討論会、成功事例や会議などとともに、会社の成功に必要な役割が生まれている。

③理念
カスタマーサクセスとは理念でもある。会社全体に普及しなければいけない。どんな組織も肩書も他の組織や役割と切り離した状態では機能できないが、カスタマーサクセスはその最たる例と言える。トップダウンかつ全社的な取り組みこそが、世界に通用するカスタマーサクセスを生み出すのである。

※表紙の本を読んだ個人的なまとめです

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