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アーティスト活動で成功する方法#4

第1章 アーティスト活動のレベル

第2章 Lv.0の初心者が成功する方法

第3章 Lv.1の初心者が成功する方法

第4章 Lv.2の初心者が成功する方法

Lv.2:やっと波に乗ってきたかも!赤字だけど…な中堅
【実力】★☆☆~★★☆収益力】★☆☆【充実度】★★☆
「YouTubeの再生数やチャンネル登録者数は3桁以上!」「ライブには家族や友達やファンが来てくれる!」→でも、経済的には赤字な状態の人です。
①歌や演奏は上手くなってきて、ちょこちょこミスするけど聞くに堪えないことはないし、「なんか個性あるよね」と褒められたりファンがついたり。②歌や演奏はかなり上手いけれど「逆に個性がないよね」とけなされたりファンがつかなかったり。……と、2パターンあるかなと思います。

アーティスト活動をはじめて数か月~数年。練習を積んでそこそこ上手くなり、SNS等での発信をがんばり、アーティスト仲間もファンも増え、いろいろ遊んで視野を広げてきたあなたは、「自分がどうなりたいか」がぼんやり分かってきたことと思います。


単純に、もっと上手くなりたい。いい音楽を奏でられるようになりたい。いい音楽をやっている人たちとの縁を深めていきたい。芸術性を高めたい。

もっと多くの人から注目されたい。褒められたい。スポットライトを浴びたい。自分は特別だと感じたい。承認欲求を満たしたい。

自分のなかから湧き出してくる音楽が止まらない。もっと自由に、もっと思い通りに表現したい。自分を見失うほどの何かがある。

音楽以外のことをしている自分が嫌い、この世界の仕組みが嫌い。音楽をやっているときだけ少し楽になる。もっとずっと音楽だけをしていたい。


……人の数だけ答えがあって、どれも間違いではないと思います。

いずれにせよ、次にやるべきは、それぞれの最終的な成功を見据えて、これから自分が進んでいく方向性を「決める」ことです。


私が考える「アーティスト活動の成功」は、ざっくり3段階にわかれます。

Lv.3-1:人生充実してるかも!黒字の中堅エンジョイ勢
Lv.4:アーティスト活動一本で食べていけてるマイナープロ勢
Lv.5:アーティストとして影響力をもつメジャープロ勢

まず、アーティスト活動単体での黒字化は、成功と呼ぶための最低条件だと考えます。ステージに立つのはもちろん、楽器を買うにも、練習場所を借りるにも、レッスンを受けるにも、お金がかかるからです。

最低限、それらの経費は回収できないと、「アーティスト活動」ではなく「お金をかけて楽しむ趣味」でしかありません。

日々の活動を黒字化させるだけなら、「好きなことを好きなようにやる」というスタンスのままでも、ほんのちょっと工夫するだけ、プラスアルファの努力をするだけで、実現可能です。

では、その先は?

「アーティスト活動にどれだけの収益性を求めるか」、すなわち「プロを目指すかどうか」が重要な分岐点となります。


「私はプロを目指さない」「アーティスト活動で食べていきたいわけではない」と考えている方は、Lv3-1という成功を目指していくことになるでしょう。アーティスト活動以外の収入源を確保し、人生を充実させながら、好きなことを好きなように続けていけばいいと思います。

一方、「私はプロを目指すんだ!」と確信している方は、アーティスト活動をビジネスとし、いかにしてそれで飯を食っていくか考えながら生きていくことになります。

「Lv.3-2:もっと上に行きたい!黒字の中堅ガチ勢」からLv.4、Lv.5へ続くルートを歩んでいくことになりますが、どこが終着点になるかはアーティスト人生を終えるまで…もしかすると、死後さえも分かりません。


どちらが良い、悪いではなく、「自分は何を選びたいか」が重要です。


当たり前のことですが、プロを目指しても、なれない人はたくさんいます。プロを目指していなくても、プロになってしまう人もいます。

ただ、どちらの数が多いかと言われれば、圧倒的に前者です。後者は100万人にひとりの才能をもっているか、時代と運命に愛された特別な少数です。


0.00000001%しかない可能性を、1%まで引き上げるのが「努力」です。いくら努力しても、99%は不可能。それでもやるか、やらないか。

好きなことを好きなようにやるのと、好きなことでビジネスをするのとは、天と地ほどの開きがあります。それでもやりたいか、やりたくないか。


今後、活動を続けていくなかで「やっぱり違った」とルート変更をすることはあるでしょう。それでも、この段階で一度はっきりさせておくことで、すべてのアーティスト活動は成功に近づくと私は考えます。


と、いうことで。

ここからは自身のアーティスト活動の収益性を高めながら、「自分はプロを目指すのか、目指さないのか」「目指せるのか、目指せないのか」を考えましょう。現段階での答えを見いだせれば、Lv2は卒業です。

その決断に至るために、幾つかのアドバイスをお伝えします。

(1)グッズ販売で稼ぐ

アーティスト活動の成果を販売するのは、最もスタンダードな収益化方法のひとつです。販売手段はネットショップでも、手売りでもいいでしょう。ハンドメイド作家なら作品を、バンドならCDを。自分のロゴをあしらったステッカーやタオル、クリアファイルなどを作るのもいいでしょう。


特に音楽は、配信ではたいした利益を出せません。Apple Musicのアーティストへの平均支払い額は、1曲再生されるごとに約0.01円だとか、Spotifyなどのストリーミングサービスでの収益は、1再生あたり0.2円~1.3円だとか言われています。TuneCoreなどのサービスも便利ですが、年額費用がかかる場合が多く、活動状況の不安定なマイナーアーティストには不向きです。

音源配信は、新たなファン層を開拓したり、既存のファンに手軽に聞いてもらったりといった面では有効です。なので費用や作業が負担にならない限りは、配信を行ったほうがいいでしょう。

しかし、音楽系のマイナーアーティストが稼ぐには、2021年4月現在もまだ「CDを売る」ほうが利幅が大きく、簡単です。

合言葉は「ローリスクハイリターン」。できるだけ在庫を抱えないように、初期費用を抑えて、たくさん儲けが出るように動きましょう。


もしあなたがバンドマンなら、まずは「コピーCD in 紙ジャケット」の少数販売から始めることをお勧めします。

たとえばAmazonで50枚入りの音楽用CDを¥1,180で購入し、ウィズさんに紙ジャケットのSタイプ20部(OPP袋付)を¥6,050で発注します。制作にかかる初期費用は合計¥7,230(レコーディング代等含まず)となります。

あとは自宅のPCで音源をコピーし、自らジャケットに封入すれば、それなりにちゃんとした商品の完成です。

これを5曲入¥1,000として販売すると、8枚売れば元が取れ、20枚完売すれば¥12,770の利益となります。レコーディングその他にも費用がかかっていると考えれば、ぎりぎり黒字でしょうか。

思ったように売れなくても、紙ジャケットはかさばらず、破損するリスクもほぼありません。まっさらなCDは、幾らでも他の用途に使えます。「コピーCD in 紙ジャケット」、おすすめです。


もしも「CDを作れば最低100枚は売れる(そのくらいファンがいる)」と確信できるのならば、ジュエルケース入りCDをプレスするのもいいでしょう。

たとえばプラチナディスクさんに国内プレスを200枚発注すると、¥76,120かかります。CDの売価が一枚¥1,000であれば、100枚売れば¥100,000になり、レコーディング費用を含めてなんとか採算が取れるでしょう。

残りは全て利益になります。CDが100枚売れるということは、潜在的に3~10倍のファンがいるはずですから、がんばって売りまくりましょう。

一つ注意点として、「200枚プレスしても300枚プレスしても¥1,000しか変わらないのか。じゃあ300枚プレスしておこう」という考え方はおすすめしません。100枚のジュエルケース入りCDは、100サイズの段ボール一箱分になります。家にあるとかなり邪魔です。

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(画像引用元:楽天市場)

CDを作れば急にファンが増えるわけではありません。

売りきれなかったCDは、今後の人生の足枷になるかもしれません。

あなたのまわりにはいませんか?10年前に若気の至りで作った、既にジャケットは色褪せ、収録楽曲も古く、正直自分でも「今聞くと恥ずかしいな」という状態のCDを、必死に売り続けているアーティストが……。

ゆえにプレスのし過ぎは禁物です。「確実に売れる数の2倍」を上限にプレスすることをお勧めします。


CDについてばかり語りましたが、他のグッズでも同じです。しっかり利益が出るように、万が一売れなくても在庫を抱えなくて済むように、計算したうえでグッズ販売に取り組みましょう。

Suzuriなど、注文を受けてからグッズを制作・自動発送するタイプのネットショップを活用するのもいいでしょう。

「ファンが買いたくなるような物を作る」という視点も重要ですね。

(1)のまとめ

合言葉は「ローリスクハイリターン」。作りたいものを作るのではなく、売れそうなものを売れるだけ作り、確実に稼ぎましょう。

(2)スキルで稼ぐ

もしもあなたに特技があるなら。

たとえば歌が上手い、ギターを演奏するのが上手い、編曲が得意、DTMが得意などのスキルは、稼ぐための手段になります。

合言葉は「使えるものはみな使え」です。


幾つか例を挙げます。

まずは、アーティスト仲間のサポート。普段はソロで弾き語りをしているアーティストも、ワンマンライブなどの大きな舞台では、コーラスやギターサポートを入れることがあります。そういう機会に、自分を使ってほしいと売り込んでみましょう。

講師をするのもおすすめです。自分よりも下手なアーティスト仲間のボイストレーニングを手伝ったり、ギターの弾き方を教えてあげたり、楽曲のアレンジ方法についてアドバイスをしたり。

作詞や作曲、打ち込みの仕事を引き受けるのもいいですね。「作詞は好きだけど作曲は苦手」というアーティスト仲間に曲を提供したり、「弾き語りしている楽曲のバンドアレンジ音源がほしいけど伝手がない」という仲間の楽曲をDTMでアレンジしてあげたり。

他にも色んなパターンが考えられますね。


裏方として経験を積めば、プレイヤーとして表舞台に立った時にも役立つことがあるでしょう。

適性があれば、将来的にプロのバックバンドギタリストになったり、ボイストレーナーになったり、DTMerになったりという可能性も芽生えます。

自分の能力を見極める意味でも、他者にスキルを売るのは悪くありません。

(2)のまとめ

合言葉は「使えるものはみな使え」。自分がこれまでプレイヤーとして培ってきたスキルと経験を活かして、確実に稼ぎましょう。

(3)投げ銭で稼ぐ

NOTEのクリエイターサポート、YouTubeのスーパーチャット、ツイキャスのお茶爆。現在、様々なアプリに、お客さんがアーティストを直接支援できる機能がついています。

これらを活用し、投げ銭を集めまくるのも、一つの方法です。

合言葉は「プライドなんてくそくらえ」。自分の音楽を聴いてほしいだとか、ネタで笑ってほしいだとかの思いはいったん脇に置いて、「お客さんを楽しませること」を最優先にした内容で配信しましょう。


大雑把にいってしまえば、求められるのは「おもてなし」能力です。配信を見てくれたお客さんとの距離を縮め、喜んでいただくのが重要です。

お客さんは御礼として、自分を知ってもらう手段として、お金を投げる。おじさんが推しのキャバ嬢にカバンを買ってあげたり、おばさんが推しのホストの誕生日にシャンパンタワーを贈ったりするのと同じですね。

需要と供給が満たされれば何でもよいのです。


アプリによって、年齢層も文化も違い、求められるものが変わってきます。無理は続きません。「これなら自分でもやれそうだ!」と思えるアプリや方法を選んで、がんばってみましょう。

(3)のまとめ

合言葉は「プライドなんてくそくらえ」。アイドルだろうがシンガーソングライターだろうが関係なく、そのアプリの文化に染まって稼ぎましょう。

(4)クラウドファンディングを活用する

(1)~(3)は、アーティスト活動での収入を増やすためのアドバイスでした。(4)は視点を変えて、支出を減らすためのアドバイスです。

合言葉は「私に投資してください」。


CAMPFIRELikeshareMuevo……。世の中にはたくさんのクラウドファンディングサービスがあります。手数料等の違いはありますが、基本的には「自分が良いと思ったもの」を使えばいいでしょう。

どのサービスを利用するにしても、「目標金額を高くしすぎないこと」と「背伸びしすぎないこと」に気を付けてください。


「やりたいことがありますが、自分のお金だけでは絶対に無理です。助けてください。皆さんお金をください」というスタンスでクラウドファンディングを始めてしまうと、自分もまわりも苦しくなることが多いです。

「これ、自分のお金でもできなくはないけど、ちょっと負担が大きいんですよね。絶対に後悔させないので、先行投資していただけませんか?」くらいのスタンスがよいと思います。


具体的にいえば、もしあなたが10万円の資金を持っているなら、20万円あれば実現できる程度の目標を掲げ、「目標金額20万円」でクラウドファンディングをスタートさせましょう。

クラウドファンディングを100%成功させるのは大変ですが、50%ほど達成するのはそこまで難しくありません。

「50%達成したらOK、もし100%だったら自己資金ゼロで目的のものが作れてラッキー!」くらいのラインで始めることをおすすめします。


肝心の内容は「人生初のMVを撮りたい」とか、「活動〇周年を記念したフルアルバムCDを制作したい」とかになるでしょうか。

何でもいいですが、背伸びしすぎはよくありません。

人生初のMVなのに、超有名スタッフをそろえて超有名スタジオを借りて撮りたい、とか。たかが活動3周年でしかないのに、超有名プロデューサーを迎えて超有名バックバンドメンバーをそろえて録りたい、とか。


無茶な目標設定は、ファンに共感されづらいです。


一般的に、アーティストのファンは、「好きな子ががんばっているから応援したい」というような心を持っています。

「あら、がんばっていて素敵ね」とか「いつもがんばっているんだから、たまにはご褒美が必要よね」とか思わせられるような内容と金額であれば、快く支援してくれるでしょう。

一方、「いやいやそれはちょっと…高望みしすぎじゃない?」とドン引きされてしまうような目標を設定すると、お金を出してもらえないばかりか、ファンを辞められてしまう可能性さえあります。

もっとも、今のあなたを応援してくれているのが「どんなに無謀な目標を設定しても賛美してくれる人」、いわゆる信者であるのなら、上記の内容は無視していただいて結構です。


色々と言いましたが、あなたが既に十分な実績を持ち、多数のファンを抱えているアーティストなら、目標金額を200万円に設定しようが、「小林武史さんをプロデューサーに迎えてフルアルバムを作ってハワイでMV撮りたいです」という内容のクラウドファンディングをしようが問題ありません。

大事なのは、身の丈を考えた行動をすることです。

クラウドファンディングサービスのほとんどは、一度公開した記事を非公開にすることができません。100%達成しようが10%しか達成できなかろうが、その記録は半永久的に残ってしまいます。

数年後、数十年後、「わぁこいつこんなことしてたんだw」と、自分にも他人にも笑われないようなクラウドファンディングをしましょう。

(4)のまとめ

合言葉は「私に投資してください」。今の自分も未来の自分も惨めにならないように、「助けを求める」のではなく「投資を募る」感覚でクラウドファンディングを活用しましょう。

(5)ファンを増やす

(1)~(4)のすべてに言えることですが、出資者=ファンの母数を増やさなければ、十分な資金を得ることはできません。どんな商売でも、自分を応援してくれるファンを増やして、お金を使ってもらうのは、王道ですね。

ファンが増えれば動画の再生回数が増えて広告収入が見込めるし、ライブのチケットノルマもはけるし、いいことしかありません。

しかし、ひとくちにファンといっても、その種類は様々です。ざっくりと『界隈』のファン、『業界』のファン、その他のファンという3種類に分けられると、私は考えます。

合言葉は「人事を尽くして天命を待つ」。種類別にファンを増やす方法やそのメリット・デメリットを解説します。

①『界隈』のファンについて

数か月~数年、真剣に音楽活動をしてきたあなたは、アーティストの属性や地域、店ごとに『界隈』が存在することに気付いているはずです。

たとえば『地下アイドル』のSHOWROOMをいつも見ている人々。『男性シンガーソングライター』のライブに足しげく通う人々。『とあるライブハウス』にしょっちゅう顔を出している人々など。

そういった特定の範囲内の常連さんを、ここでは「『界隈』のファン」と呼びます。


『界隈』のファンを増やすことのメリットは主に三つです。

まず、彼らを味方につける方法は簡単です。その界隈にいればいるほど、同じ界隈のアーティスト同士で絡むほど、たくさん支援してくれます。あなたが「この界隈の一員になろう!」と決意して、地道に活動を続けていけば、よほどの事故を起こさない限り、徐々に認められていくでしょう。

次に、彼らは金払いのいい太客となる可能性が高いです。一般的に日本人は「おらが村」への愛着が強いとされ、「地元の野球チーム」とか「日本代表チーム」だとかを一生懸命応援します。あなたがその対象になれば、グッズを買ったり、配信に投げ銭したり、快くお金を使ってくれるでしょう。

第三に、彼らのほとんどはマナーがいいです。同じ界隈で何年も、何十年も同じようなアーティストを応援してきた彼らは、嫌がられることも喜ばれることもわかっています。あなたが「いいアーティスト」でいる限り、「いいファン」でいてくれることでしょう。


しかし、『界隈』のファンに頼ることのデメリットもあります。

まず、『界隈』に染まることはあなたの自由を奪い、アーティストとしての可能性を狭めるかもしれません。「みんながやっているから、やろう」「みんながやってほしいと言うから、やろう」といった内輪の付き合いを楽しめればいいのですが、「本当はもっとやりたいことがあるんだけど、みんないい顔しないだろうな」と察して、諦めることも増えてくるでしょう。

次に、『界隈』のファンは多くありません。一説によると、関東近郊の女性シンガーソングライター界隈のファン総数は約2000人です。全員を味方につけたとしても、それぞれに生活がありますから、すべてのライブに来てもらえるわけではありません。そのため『界隈』を中心に活動している女性シンガーソングライターは、300人規模のワンマンライブを開催するまでは順調でも、その先へ進むのは難しいと言われることがあります。

何よりも、彼らのほとんどは『界隈』の外に興味がありません。分かりやすい例として、AKB48を卒業したアイドルがソロ活動を始めたとき、グループに所属していたころのファンが全員応援してくれるわけではないですよね。それはきっと、「AKB48の〇〇ちゃん」が好きだったから。同じように、『界隈』で限界を感じたあなたが外に活路を求めはじめると、それまでの『界隈』のファンは離れていく可能性があります。

②『業界』のファンについて

数か月~数年、真剣に音楽活動をしてきたあなたは、業界のプロや元プロに遭遇したことがあるはずです。

若いころにメジャーデビューして、それなりに活躍して、今はライブハウスのオーナーやプロデューサーに落ち着いているおじいちゃんとか。某有名バンドの元メンバー(現在は脱退して別のバンドやソロをやってる)とか。

そんな人々を味方につけられれば、心強いですよね。


業界から評価されるには、技術・才能・個性・容姿など、何らかの秀でた部分が必要になるでしょう。「こいつは面白いぞ」「使えそうだぞ」と感じてもらわなければ、はじまりませんから。

アピールが上手くいけば、何らかの仕事を回してもらえたり、良い条件のライブに出させてもらえたり、美味しい情報を教えてくれたりするでしょう。


しかし、あなたの音楽を聞かせたい相手は、本当に業界のプロですか?

かつてごく普通の子どもだった自分が、たまたまテレビから流れてきたドラマの主題歌に共感して熱狂したように、今もどこかでごく普通の人生を生きている誰かの日々を彩ることを夢見たのではありませんか?


もちろん、業界に認められなければ、ドラマの主題歌に起用されることもないかもしれません。ただ「認められること」を目的にしてしまうと、あなたが本当にやりたいことを見失う可能性があります。

③その他のファンについて

なんとなくインターネットに動画を投稿して、なんとなくライブハウスに出て、なんとなくSNSを頑張っていれば、いつかバズるんじゃないか?

どこかから大量のファンが湧いてきて、自分をスターダムに押し上げてくれるんじゃないか?

……と、思っていませんか。

正直に申し上げましょう。それは難しいです。天文学的な確率です。


『界隈』のファンや『業界』のファンを取り込む方法は、ある程度わかっています。できるかできないか、やりたいかやりたくないかは別として。

しかし、それ以外の一般のファンを増やす方法は、全くわかりません。

同じような曲を作って、同じような場所で、同じようなパフォーマンスをしても、売れる人と売れない人がいます。正解が分かれば誰も苦労しません。

(5)のまとめ

確実に黒字化したいなら、まず『界隈』のファンを掴むべきです。自分がプロの道に進めるかどうか試したいなら、『業界』のファンを増やすことに挑戦すべきです。あとは、「人事を尽くして天命を待つ」だけです。

***

上記5点に注意し、気心の知れたアーティスト仲間を20人、足しげく通ってくれる界隈のファンを30人、親や友人を含めたその他のファンを10人ほど掴めれば、Lv.2の目標の前提条件である『黒字化』は達成できるでしょう。

アーティスト仲間は、純粋なファンとしては数えられません。しかし互いのライブに行き来したり、CDを購入しあったりして絆を深めていくと、サポートや編曲などスキルを売る仕事を得られる可能性が広がります。また、互いのファンが繋がることで、界隈の拡大も見込めます。

一般的なライブ出演のノルマは、小規模なライブバーで5枚、大きめのライブハウスで15枚程度。合計60人のファンがいれば、毎回ノルマ達成&練習費用を賄えるくらいのバックはもらえるでしょう。

60人のファンがいれば、CDやグッズも各30個は売れて、制作費用回収&楽器購入費用を賄えるくらいにはなります。60人が拡散すれば、どんな動画や配信も4桁は超えるようになり、収益性が上がります。クラウドファンディングも50%は達成できて、経費をおさえられるようになり、より余裕を持って、より高い次元で活動できるようになります。


どれだけ努力しても……長くて3年ほど時間をかけても、このラインを達成できないのなら、今後は「アーティスト活動」ではなく「お金をかけて楽しむ趣味」として活動を続けたほうがいいでしょう。

達成できたのなら、Lv.3-1『エンジョイ勢』の道へ進むか、Lv.3-2『プロを目指す道』へ進むか決めるだけです。引き続き頑張ってください!

第5章 Lv.3-1の中堅が成功する方法

第6章 Lv.3-2の中堅が成功する方法

第7章 「平凡なアーティスト」が溢れる時代へ

おまけ

ここから先は、現時点での私の知識に基づき、より具体的な内容(弊誌で取材した方々のグッズショップや、実際に行ったクラウドファンディング等)をご紹介します。

実例を見ることで、より理解を深めていただけると思います。

また、この記事を面白いと思っていただけたら、投げ銭感覚で読者登録していただけると嬉しいです(初月無料です)。

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