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甘酸っぱいってどんな味だっけ?

母と兄と初めて行く3人での旅行。

新宿から特急に揺られる車内のお供に、と
前日からアップルパイを焼いた。

3人での旅行の始まりとなる車内でのお供に、おやつを差し入れだなんて我れながら可愛いじゃないか。アップルパイの表面に塗った卵黄が、オーブンの中でテカテカになるのを見ながら思う。

焦げないように、と慎重に下の段に置いた黒い天板。設定時間を少し延長することになった。
出来上がったアップルパイは甘さと香ばしさが伝わるいい香りだった。

熱くて触れない天板が冷めるまで少し待って、ホールを8等分に切り分ける。私はきっと一緒には食べられないから母と兄の2切れ分を持って行こうと1番綺麗に焼けて、切りわけられた部分を選ぶ。

百均で以前購入した可愛らしいパガス容器に詰めてみる。けれど、持っていくのは明日。

一旦お皿に入れてて、明日の朝オーブンで少しでもサクサクの状態にしてからタッパーに入れて持って行こう、そう思った。

一緒には食べられない味を私は一味先に味わう。
レモン果汁と三温糖で焼き目を入れたりんごは甘酸っぱくて、パイシートの少し罪深いバターの味わいと合わさって最高だった。

甘酸っぱいってどんな味だっけ?

昔、そんな曲をずっと聴いていた。

付き合いたての甘酸っぱさと少し冷めてしまったアップルパイを恋人との関係性に例えて歌われたその曲を私はやはり恋人と別れそうな時期に聴いていた。

そんな時もあったなあ、と昔の自分を微笑ましく思いながら作る今回のアップルパイは母と兄へ。

年が近い分、何かと対抗意識を持っていた相手。
当時は喧嘩も多くあまりにいちゃんを好きではなかったけれど、今は実家に寄る時に顔を見るのが嬉しい。

母と私は、THE親子。
分かり合えない時もあるし、それでもお互いがお互いを好きだから歩みろうとそれぞれなりのやり方で近づく。そしてまた人間関係腹6分目と気づくのを繰り返す。

きっとこの先も。
甘酸っぱいってどんな味だっけ?

昨日作ったアップルパイ
出来立てよりちょっと冷めてるけど
それがいいんだ一緒には食べれないけれど
食べるところ静かに見ているからさ
大丈夫美味しいはず。

テカテカに輝く卵黄部分
あみあみ🍎

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