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瑠璃の部屋80

昨日のレッスンで発表会用の曲を見てくれた。
「そこは弱く」「そこは強くして、もっと強く」

親族旅行で泊まったホテルにマッサージがあった。
時間に行くと従兄弟がいた。
「一緒やな」
俺は手前の部屋、従兄弟は奥の部屋に通された。
「ほな、後でな」

しばらく待っていたら屈強な男が入ってきた。何か準備する人かなと思っていたら、マッサージを始めた。おかま掘られるんじゃないかと思った。日本語が通じない。
「more soft」
「OK」
「more hard」
「OK」
「痛いです」
「…?」
「イギっ!!」
「…?」
マッサージって、こんなに疲れるものだったんだ。

肩を落とすように部屋を出ると、従兄弟が晴れやかな顔で歩いてきた。
「お、男でした?」
「いや、女やったで」
「日本語が通じなくて」
「片言やったけど、通じたで」

何かを失ったわけではないけど、物凄く損をした気分になった。今日はアンサンブルである。