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瑠璃の部屋78

朝、外から子供の笑い声が聞こえてきた。
ドアを開けたら、どこからかラジオの声が聞こえてくる。
途中の駐車場にAQUAが停まっていた、あれ、燃費良いんだよな。
不動産に電話したら録音と同じ声が流れてきたので、またか。と身構えたが「どうされましたか?」と明るい声が返ってきた。ホッとした。なんだか世界から取り残されたような心地がしていたのだ。「お迎えに上がりました。〜国土交通省国土政策局 幽冥推進課〜」の最終巻で主人公が感じたような虚無感。

この本は、大の大人が手にするわけもなさそうな表紙であるが、新着コーナーにあったので手に取ったのがきっかけで、全巻読むに至った。主人公が雄叫びを上げるシーンは衝動的に涙腺が緩んだ、でも一方では、それほどのことか?というのが、その時点の感想。後を読んで理由がわかった。どれほどに、主人公にとって大きな出来事であったのか。

なんか、窓口で男性と館員が口論になってる。新刊をコピーできる枚数で揉めている。彼にとっては、大声を出すほど重要なことなのかも知れない。まだやってる。
これは、長引きそうだ。「もちっと小さな声でお願いします」と他の館員が諭したが「耳が遠いんですよ、何言ってるんですか。言ってることがわかんないよ」・・・ようやく集結した。「だったら手で書けば良いんですね!」
持って行き方が、惚けた時の父に似てる。
窓の外から子供達の明るい声や、車の走る音が聞こえる。そよ風が樹木の葉を揺らして、日の光が葉に反射している。良い天気だ。