寂寥感

大音量で寂しさをかき消す。
私にしか聴こえてこない音。
自分だけの寂しさを並べたプレイリスト。
誰にも邪魔はされない、してくれない。
息を吐く。体を起こす。
この場に私の存在を観測できる人間はいない。
そうなると、途端に不安が込み上げる。音も聞こえない程の焦り。
外に出る。ガチャリと音を立てるドア。イヤホンを外す。
小さな音が耳に情報として入り込む
肌が冷気に触れる。確かに生きている。
街の喧騒に会いに行く。
いつものように騒がしく、安心する
「自分が消えても何も変わらないな」
小さく呟く。
しばらくして、孤独なフリが得意な人間は自分だけの世界に戻った。