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連載:城東の奇跡~大激戦!東京15区選挙レポート 第6節:告示

 4月16日。いよいよ、衆議院補欠選挙の火ぶたが切られた。

 その日の泉健太代表も駆けつけての第1声は行けなかったものの、夕方に門前仲町での辻元清美代表代行との街宣があるとのことで、現地に駆け付けた。既に選挙ポスターが掲示板に貼りつけられているのを近所で目にした。今回の候補は9人。もともと、下町地盤のこの選挙区は保守系が強いが、第3極、第4極も一定の勢力を得ていることもあり、候補が乱立する傾向にあった。そして自民党候補が不在のこの選挙においては保守系候補や第3,4極の候補が次々と名乗りをあげている。その中では、酒井さんの誠実さがかえって際立っているように映った。

 門前仲町での街宣は、辻元清美さんの応援演説付きとだけあって各地から熱烈な支持者も駆けつけ、街宣風景の配信も行われていた。街宣車が到着し、酒井さんが辻元さんと一緒に出てきた。辻元清美さんは現在参議院議員だが、その前は衆議院議員を長く務めていた。2021年の総選挙で落選したが、翌年「へこたれへん」というスローガンで参議院議員として国政復帰し、知名度や発信力もあって先頃立憲民主党の代表代行に就任したばかりである。そんな辻元さんの演説は何度も耳にして力をもらっていた。告示当日に辻元さんが演説に入ることは、今回の選挙において15区を重点区と位置づけ、相当のテコ入れを図っていた日本維新の会に負けられないという戦闘心を喚起した。

 辻元さんは、「酒井さんを育ててください。私も蓮舫さんも、国会で鍛えられて強くなったんです。」と、新人候補である酒井さんの後押しを呼びかけ、更に、「維新だけはあきませんで」とも話した。2021年の総選挙で、大阪10区において維新の候補に敗北した経験が相当に染みついているのだろう。今回は自民党候補が出馬していない分、維新の会が保守層の受け皿となることも予想される。おまけに維新の会の候補者は、2021年総選挙でもそれなりの惜敗率を誇り、落選後も地道に地元での活動を続けてきた。対して、こちらは区長選に出馬したとは言え、直前に総支部長就任が決定した新人候補で、区内への浸透が維新を含めた他候補と比べると後れを取っている。12日間の選挙戦の中でどれだけ酒井さんの良さを知らしめることができるか。私は危機感を覚えていた。

 初日の街の反応はいまひとつだった。そもそも、選挙を行っていることすら知らない方も多い。もちろん、関心ある方は足を止めたり、ビラを受け取ってくださっているものの、ここで一体何をしているんだというような顔つきの方もいらっしゃる。それはそうだ。不祥事のために、やらなくていい選挙が連続し、区民は疲弊しきっているのだ。しかし、それを今度こそ終わりにしてくれるのは、酒井さんだ。カネや権力欲とは無縁の人だ。ただ、世のため人のため子どものために政治をしたいと志している。こんなにいい人を国会に送り出さない手はない。そのために、私も出来る精一杯のことをしよう。演説を終え、辻元さんと聴衆に頭を下げる酒井さんに拍手を送りながら、私はそう思った。

 翌日。私は、木場の酒井なつみ選挙事務所の扉を叩いた。


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