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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
内容の詰まった記事を更新していきます。「文系女医の書いて、思うこと。【スタンダード】」とだいたい同… もっと詳しく
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2022年1月の記事一覧

追加接種はオミクロン予防のためという誤解ーパンデミックからエンデミックへ

最近、「新型コロナウイルスがパンデミック(エピデミック)からエンデミックになる」という話を耳にしませんか? エピデミックは、社会の大半の人が感染の影響を受けやすく、感染者の大幅な増減を繰り返しながら流行を続けている状態のこと。パンデミックは「世界的大流行」と翻訳されることもあるとおり、それが特定の国や地域だけでなく世界中に広がっている状態です。 エンデミックって何?では、最後のエンデミックというのは何でしょうか? よく「風土病」という紛らわしい日本語で翻訳されるためにか

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「5歳から打てるようになったけど」続く、子どもの新型コロナワクチン接種への迷いと答え

2021年、わたしのnoteでもっとも読まれた記事は子宮頸がんワクチン問題に関するもので「朝日新聞出版「アエラ」の対応」でした。 2位から4位はすべて子どもの新型コロナワクチンに関する記事でした。本人たちは低リスクなのに「コロナを広げる」として白眼視されてきた子どもたちの健康とワクチンへの関心は高いのに、「接種の判断」の決め手となる情報が足りていないことを改めて感じました。 子どもでは「重症化率が上がっている」というデータさて、日本でもオミクロン株が爆発的に拡大し、5歳か

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ワクチン接種会場に月曜だけ列ができている愛国的理由

追加接種、完了しました!モデルナ製で。 2回目まではファイザー製を打ったので、交差接種です。 組み替えタンパクワクチンやオミクロン対応ワクチンを待つという手もあったのですが、追加接種をしていないとレストランにも美術館にも気軽に入れないので観念しました。 接種会場まではわが家から2分ほど。終了時間の夜8時ギリギリに予約なしの飛び込みでしたが、待っている人もおらず、医師の問診も「この3つにチェックしてください」(←読めとも言われませんでした)「何か聞きたいことはありますか?」

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「交差接種」に関するプロフェッショナル向け情報(5つの重要ポイント)

前回記事では、主にファイザー製もしくはモデルナ製で初期接種(プライマリシリーズ)した一般読者向けに、交差接種を含む追加接種ワクチンの選択の仕方についての解説をしました。 こちらの記事では、プロフェッショナル向けに

ファイザー製やモデルナ製を打った日本人のための追加接種ワクチンの正しい選び方

【写真は仮説のワクチン接種センター】 日本でも前倒しにして始まった新型コロナワクチンの追加接種。2回接種を完了したワクチンの種類に関わらず、追加接種にはどのmRNAワクチンを用いてもいいことが政府からも発表されています。 ファイザー製を2回打った人が多い中、そのままファイザー製での追加接種を希望する人が多いとの報道ですが、ファイザー製3回よりもファイザー製×2回にモデルナ製を追加接種した方が抗体価が上がることについてはもうご存知でしょう。 しかし、モデルナ製ではファイザ

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政権批判、グッズ販売、宗教活動も?反ワクチンデモの今

以前からわたしはワクチンに反対する人のヘイトターゲットで、日本では反ワクチン運動関連の取材を安全に行うのが難しい状況でした。しかし、ドイツではマスクをして顔もよく分からない外国人のわたしに気をとめる人はいません。日本ではなかなか持つことのできない貴重な取材経験を持つことができています。 追加接種しないと外食もできない「2Gプラス」に日本より一足先にオミクロン株が拡大を始めたドイツでは1月7日、追加接種加速のための戦略として、2回の新型コロナワクチン接種を完了した人でも追加接

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ブックレビュー『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』

独バイオベンチャー、ビオンテックの新型コロナワクチン開発のいきさつを描いた新刊『mRNAワクチンの衝撃』。 トルコ系移民の2世としてドイツで育った創業者の医師夫妻ふたりの生い立ちに始まり、当初は共同開発に「ノー」だった巨大製薬会社ファイザーを説き伏せ、その莫大な資本力とグローバルネットワークを元に従来では考えられない「光のスピード」で治験を開始。国を超え利害を超え、他企業や研究所、当局の科学者たちの協力も得ながら1年足らずでワクチンを完成させるまでを描く。 コロナやワクチ

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城と赤死病と栗

年末年始、いかがお過ごしでしたでしょうか。 わたしはコロナからもインターネットからも自由な時間が欲しくて、チェコとの国境に近い東ドイツの森の中で過ごしました。森の中と言っても森の中にある友人の所有する小さなお城です。