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あおのむらさき (詩、朗読)

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過去と云ってしまうには、まだ真新しい言葉たち。 2014→
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2015年9月の記事一覧

連詩「糸」新井隆人×梁川梨里                            

連詩「糸」新井隆人×梁川梨里                          

一本の糸の こちら側と向こう側
世界をふたつに分けようとするちから
一本の糸の こちらの端と向こうの端
二人をひとつにつなげようとするちから
世界は 二人は 一本の糸からはじまる                        (新井)

織り込まれた情報を受け止めきれずに
柔らかな布地に頬をあてる
はじまりが終わるのか、おわりが始まるのか
ただ、幼子のように陽のひかりを吸い込んだ眠りだけは誰に

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視覚、を囲む

視覚、を囲む

しかく(い)箱から箱へ慌ただしく渡るしかく(い)箱の入り口には
しかく(い)箱がついていて
わたしの名前のついた郵便物が
時々入っている
大抵わたしを知らない人の
高揚したフォントは読まずに棄てる
魚の尾と野菜の切れ端と共に
車輪のついた箱で回収されてゆく

わたしも車輪のついた箱で、わたしの家ではない箱に向かい
たいていは目の前の電子式の箱と会話をしている

箱まみれだ
はみださないためには囲わ

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