🗻山のアッホ
大スペクタクルで描かれる、息をのむ冒険の幕開け。雪山の孤独なる遭難地で運命が交錯する二人の男女。彼らが偶然触れた古の埋蔵金伝説が、世界を巻き込む秘密結社の暗躍を呼び覚ます。氷に閉ざされた秘密が今、解き放たれる!
山小屋の斧
4月16日
私たちは計画になかった雪に遭遇し、予定より早く羽黒山の山小屋に避難することにした。僕と彼女、二人きりだ。夜が迫る中、外はますます冷え込んできた。
小屋の中は思ったよりも整っていて、幸い十分な薪と食料が残されていた。僕たちは無言で薪ストーブを焚き、体を温め始めた。彼女は少し緊張している様子だったが、僕もそうだった。何か話すことで気を紛らわせようと、古ぼけた棚を漁り始めた。
その時、彼女が何かを見つけた。それは血糊がべったりと付着した斧だった。彼女は悲鳴を上げそうになりながらも、何とか声を押し殺した。
「これ…どうする?」
彼女の問いかけに、僕はただ、首を横に振った。その斧を小屋の外に出す勇気もなく、僕たちはそれを再び棚の奥深くに隠した。
夜は更に深まり、風が小屋を揺さぶる。斧の存在が心のどこかで僕たちを脅かし続けている。誰が使ったのか? なぜこんな場所に?
4月17日
朝が来て、僕たちはようやく昨夜の恐怖から解放されたように感じた。しかし、外はまだ厳しい吹雪で、小屋を出るには無理がある。二日目の朝食後、彼女が突然話し始めた。
「あの斧、見たくない?」
彼女の言葉に心臓が跳ねた。なぜ彼女はそれを追い求めるのか?
僕たちは再び斧を手に取った。よく見ると、柄には刻まれたイニシャルがあった。MC… この小屋をよく使っていたという、あの老夫婦のものだろうか?
彼女が提案した。「警察に通報すべきよ。」
その瞬間、外から人の声が聞こえた。誰かが小屋に近づいている。僕たちは慌てて斧を元の場所に戻し、息を潜めた。
ドアがゆっくりと開いた。外から入ってきたのは、見知らぬ男だった。彼の手には、なぜか写真が握られていた。
「すみません、あなたたちが見ていたこの斧、実は…」
その後の言葉は、僕たちの予想をはるかに超えるものだった。
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