ちょっとだけ、ちょっとだけならと、ほんの出来心でエロいアカウントを覗いたのが全ての始まりでした。私のSNSは次第にエロに侵食されてゆき、ついには先ほど、Twitterのおすすめとやら部分に「SEX」の動画が流れてきました。「SEX」ですよ？「SEX」。何やってんだよ。そりゃ私だって「SEX」は好きですよ。でもね、何もTwitterを開いた時に突然「SEX」を観たいほど「SEX」が好きではないですよ。「SEX」は観たい時に観るからいいのであって、Twitter（そういえば、Xと呼んだ方がいいのか？おおん？）に見せられた「SEX」に魅せられるほど私たちは弱い生き物ではない。声高に宣言。男にはそれぞれ「SEX」を観る体勢というのがあってだな。椅子に座ってパソコンで観る者、床に寝転がってスマホで観る者、床に寝転がった状態でパソコンを横に立てて顔と画面を平行に保ったまま観る者、様々だ。その決まった体制で観る「SEX」以外は「SEX」ではなのだ、SNS諸君よ。人様を舐めるんじゃない。これは戦いだ。人類とSNSの。俺はお前たちに見せられた「SEX」じゃ興奮しない。俺は今シラけた顔してガム噛んでるよ。そんなことをSNSに書き込んだら、お前たちは新作のガムの情報でも自慢げに見せつけてくるんじゃないか？ああ、愚か愚か。やってみろよこの野郎。『それにな、もっと言うとな、「SEX」は「観る」もんじゃなくて「する」もんだぜ？』---さらりと眼鏡を外した林田より