夏雲

波紋に映る空が

あの日を思い出させる

遠くへ

ずっと遠くへ行った

茹だるように日陰へ駆け込んで

先ほど買った冷たいアイスを分けて食べた

泣いているようにも見えたその頬に

ふわりと風が吹く

ああ、遠くへ行っちゃうんだなあ

頬を撫でた風がその温もりを帯びて

どこまでいくんだろうなあ

私の知らない街

知る由もない街

アイスで冷えた唇が

「夏だね」

そう呟いた


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