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ウルトラ忙しい夫と子育て

出張続きだった夫が約3ヶ月半ぶりに家に帰ってきた!

ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」の一味である夫はウルトラ忙しい。6月後半くらいから、プロジェクトが開催される佐賀・御船山楽園や京都・下鴨神社、中部国際空港セントレア、時に秋田や大阪(1日単位で移動することもありもはやどこにいるのか掴みきれなかった)、全国各地を飛び回っていて、家に帰ってくる暇がなかったのだ。夫のGoogle カレンダーをちらっと見せてもらったら、普通にダブルブッキングしているし(東京と佐賀とか)、3人分!?と思うほど予定が詰まっていて笑った。

その間私は、夫なしで働きながら娘との生活を回し、夫が参加できないチームラボの社員旅行に参加し、娘の1歳の誕生日を祝い、自分の誕生日にはプレート付きのケーキを自ら注文し(実家にて)、娘とカナダを旅行し、なんだか少し、たくましくなったような気がする。

「子育て中、旦那がそんなに家にいなくて、よく怒らないよね?」

子育て中の友人をはじめ夫の会社の同僚たちからもよくそんなことを言われる。実際に私はこの3ヶ月半、共働き・実家が遠い(愛知と愛媛)・核家族(ほぼ母子家庭)の限界を何度も感じ、もし二人目を考えるのならこのままでは不安しかないので、突破口はないか切実に悩み日々模索している。でも、夫に対する怒りにはつながらない。なぜだろう。

ひとつは、私が夫の仕事を尊敬しているということがあるかもしれない。私はチームラボの作品群が純粋に好きだし、これまで何度も心を動かされてきた。出会った頃から夫はチームラボで、仕事に夢中で、誇りを持っていて、忙しかった。はじめてのデートは22時からだったし、以降平日の夜に一緒にご飯を食べたことはない(!)。

それでも、結婚してからも私は独身時代と変わらず友だちと飲み歩けたし、仕事に打ち込めたし、不満はなかった。子どもが生まれてからも、自分の好きなものだけパパッとつくって食べればいいので、夫のごはんをつくらなくていいのはおそらく楽ちんだ。

ちなみにうちは、共働きなので、家事は女がやるといった概念はなく、お互い得意なことや好きなことを中心にやっている。夫は家にいれば、皿洗いや掃除、時に料理もする。今回夫が出張から帰ってきた日の朝、私は朝から取材があったので、諸々放置してバタバタと家を出た。帰宅すると、保育園の送りや皿洗いだけでなく、ゴミ捨て、掃除機までかけられていて、家がぴかぴかだった。仕事ができる夫は、家でも仕事ができる。「夫、最高!」と褒めちぎって、私はしばらく家事は胡座をかかせてもらおうと思う。

私の夫に対する家庭のスタンスは、期待しすぎず、諦めない。ルールを設けたり家事をきっちり分担して期待をすると、仕事が忙しすぎて遂行されなかった時にがっかりするので、お互いに期待しすぎず、家事育児もできる人ができる時にやる。夫は会社員でウルトラ忙しく、私はフリーランスなので、今はどうしてもその比重が私のほうが大きくなる。かと言って、全部ひとりではできないし、仕方ないと割り切って諦めたくはない。子育ては特に。

夫と娘の成長を共有したいので、離れていても毎日LINEで動画や画像を送っているし(テクノロジー万歳!)、家で待っていてもなかなか会えないので、娘を連れて夫の仕事現場へ会いに行っている。

夏は京都「下鴨神社 糺の森の光の祭」へ、つい先日も夫が足掛け3年関わってきた中部国際空港セントレアにできた複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」のオープン日に、夫の上司に誘ってもらって、夫には内緒で会いに行ってきた。

(テンション高い娘に対して、疲れMAX眠そうな夫…w)

今週末も夫が帰ってきて3ヶ月半ぶりに家族で過ごせる!と思っていたら、さっそく土曜は大阪へ、日曜は佐賀への出張が入ったため、九州・武雄「御船山楽園 かみさまがすまう森」に急遽かつ弾丸で私たちも行くことにした。現地集合・現地解散にはなるけれど、一応少しは家族では過ごせる。夫の仕事中は、娘とふたりで武雄図書館にでも行こう。往復20時間のカナダ-東京間の子連れフライトを経験した今、往復4時間のフライトは怖くない!と言いたいところだけど、そうでもない(笑)。

夫の仕事を現場で体験すると、その作品群に自分が感動するだけでなく、そこに集まる人たちの声を聞いて、私は何もしていないのに、ちょっとだけ誇らしい気持ちになる。私はアナログな出版業界に軸足を置いていて、デジタルやアートの領域は詳しくわからず、その距離感もいいのかもしれない。

娘にも家ではなかなか会えない父の働く姿をできる限り見せたいと思う。娘はいざという時に預けられる場所がなかなかないので、私の仕事現場(取材や打ち合わせ)に連れて行くこともあるし、夫の会社で過ごしたこともある。

(取材現場にて。記事はこちら。photo by Sakie Miura)

娘には自分たちが働く姿を見せながら、世の中にはいろんな仕事があって、かっこいい大人たちがいることを知ってもらいたい。


私の両親はサラリーマンと公務員で、朝も夜も家族みんなでごはんを食べていたし、週末にはキャンプや海やスキーなどのアウトドアに出かけ、家族で過ごすことが当たり前だった。三姉妹で、祖父母も一緒に暮らしていて、いとこ家族やはとこ家族が隣近所に住んでいるので、実家は老若男女、割といつも賑やかだった。

私と同い年のいとこは大人になって、その近所に一軒家を建ててふたりの子育てをしている。実家に帰ると、たくさんの大人の目があるし、子ども同士で遊んでくれるし、なんてパラダイスなんだ!と思う(笑)。でもそこに、私たちの日常はない。私はフリーランスなので、夫の出張中は実家に帰ることもできなくはないけれど、両親とも現役で働いているため平日の昼間、実家は閑散としている(81歳の祖母はいる)。

私たちは東京で暮らすこと・働くことを選んでいる。自分が育ってきた家庭環境や思い描いてきた家族像と現実は異なるけれど、理想と比較して不満を抱いていても何も始まらない。自分たちの持ち場で、自分たちの持ち物で、自分たちの価値観で、自分たちの“家族のかたち”を築いていくしかない。

一個人として何を大事にしたいのか。家族として何を大事にしたいのか。夫が帰ってきてから、これからの子育てのことや暮らしのこと、お互いの仕事のことについて、私自身も考えながら、少しずつ話を重ねている。

夫の忙しさは相変わらずだけど、朝だけでも家にいる今、娘がみかんを皮のままかじって握りしめてラグや服がオレンジに染まったり、高速ハイハイしすぎて顔面から床に突っ込んだり、お風呂上がりにオムツを装着する前におしっこを垂れ流したり、謎の奇声を発したり……ひとりだと「うわああああ」と思うことも、ふたりだと「わははははは」と笑えることが嬉しい。ひとりだと「手が回らず大変」な子育ても、ふたりだと「手の届く幸せ」に変わるのだ。

夫じゃなくても、親でも妹でも友だちでも、とにかく子育ては、物理的にも精神的にも子どもに対して、自分ひとりじゃないと思える環境にあるかどうかが大事な気がする。夫の不在中、保育園の保護者会には次女が、運動会には三女が一緒に参加してくれたのも心強かったし、酔っ払った友人たちが自宅に来てくれたのも嬉しかったし、友だちと子連れでお泊まり会(大家族ごっこ)をしたのも楽しかった。夫婦で閉じずに、子育てしていきたい!

読んでくださりありがとうございます。とても嬉しいです。スキのお礼に出てくるのは、私の好きなおやつです。