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部署を作らないがホラクラシーでもない、プロジェクト制・サークル制という新しいカタチの組織デザインで1年間運営してみて

IVRy代表の奥西です。

タイトルでも少し触れていますが、IVRyでは少し変わった組織運営を行っています。
そのため、採用面談や取材等で組織の話をするとインストールコストが少し高いのですが、意図があり行っていることと、これから入ってくるBefore IVRyista(IVRy入社前の方々を無駄にカッコつけて言いました笑)のために、どのような運営を行っているのか?をまとめようと思います。

部署を作らないがホラクラシーでもない、プロジェクト制という新しいカタチの組織デザイン

過去に軽く触れましたが、IVRyではいわゆる営業部や開発部、マーケティンググループといった職能が集まる部署を作らない設計で組織運営を行っています。
一方で、すべてのチーム・組織がフラットというわけではなく、階層を作った組織運営を行っています。

ここまで「意味不明です」といった感じだと思いますが(笑)
単純に、いわゆるプロジェクトチーム(ある目的のために様々な職能が集まったチーム)を複数組成する考え方(以降プロジェクト制と呼ぶ)で、組織運営を行っているということです。
噛み砕いてお伝えすると、RPGの勇者パーティのようなもので、「魔王を倒す」という目的のために集まった最適なメンバー(勇者・戦士・魔法使い・僧侶)のイメージです。

このプロジェクト制の最大のメリットは、短期的な目的に対して、組織の壁がない状態で一丸となって進んでいけることです。
そのため、スタートアップといったあるタイミング(例えば、次の資金調達まで)までに、確実にコミットメントを示さないといけないゲームにおいては、根本的にはかなり有用な組織運営なんじゃないか?と思っています。

プロジェクト制を行う3つの狙い

1つ目は、上述した通り、短期的な目的に対して、最適なチーム作りが実現しやすいため、スタートアップというゲームルールに対して、とても適した構造であるためです。

2つ目は、速度です。私は元エンジニアでプロダクトマネージャーという肩書きで仕事をし続けてきたこともあり、アジャイル開発の思想が根付いています。
プロジェクトマネジメントの基本として、人やチームというものは、短期的なマイルストンは追えるが、長いマイルストンを追うことはとても苦手だと思っています。
プロジェクト(名前から直感的に感じるように、目的が達成されたら、終わりを迎える性質)と名付けた意図からも伝わるように、短期的なスコープでのゴール設定とスプリントで行うものという性質を活かし、組織運営自体がアジャイルに動いていくことを意識しています。

3つ目は、中長期を見据えた際に、組織同士の軋轢が生まれづらい構造を作れるんじゃないか?と考えた点です。
これは自身やIVRy社内のメンバーの過去の経験から感じていたことですが、組織が数百人・数千人となってくると、社内政治やセクショナリズムがはびこり、内向きの仕事(社内説明や調整ごと)がドンドン増えていってしまうことが旧来型の組織設計だと考えています。
IVRyでは、できれば全員が外向きの仕事(顧客やマーケット、新しい技術)の割合が圧倒的に多く、常にコトに向かって働ける環境であり続けたいと考えているため、創業初期から組織が硬直化しない性質を持った組織運営を心がけたいなという狙いを持っています。
プロジェクト制の良いところは、「目的が達成されるとチームが解散すること」であり、常に自分の上司がXXということがなくなることや、今はマーケティングとセールスのちょうど中間の役回りが大事!となったら、2つの職能をそれぞれ持つメンバーが参加するプロジェクトを作ってしまえば良いといった自分たちの組織構造に縛られない自由な運営が可能である点となります。

プロジェクト制を補うサークルという概念

上述した通りにIVRyではプロジェクト制で、約1年間組織運営を行ってきました。
様々な小さな失敗や修正はありましたが、この1年間で組織化(従業員が10名から40名になった上で、更にスケールする準備ができている状態)が実現できはじめ、資金調達も1年で13億円の調達が順調にできました。

このプロジェクト制を組織スケールに耐えられる状態とするために、どうしても必要だと考え、作ったのがサークルという概念です。
サークルの役割は平たく言うと、鍛錬所のようなもので、職能を鍛えるための機関となります。
現状のIVRyでは、エンジニアサークル・セールスサークルといったような職能に紐づけたサークルが存在しています。

プロジェクトとサークルと言う2つの組織役割を作った2つの狙い

サークルを作っている理由は2つで、個人のキャリア育成の観点と評価の観点となります。

先程記載した話に少し戻る部分もありますが、よりコトに向かった仕事を阻む問題として、旧来型の組織における組織長の役割が複雑かつ難易度が高い事業を成長させるという責務人を成長させるという責務の2つの役割を持つ)ということもあると考えています。
この2つは相反するベクトル方向にあることも多く、非常に高いバランス感覚を持って、人員配置やフォローを行う必要が出てきたり、その2つの責務がどちらも得意な人材は希少of希少で、マネジメント人材が足りずに崩壊してしまうケースが多いと考えています。
また、IVRyのプロジェクト制というのは、プロジェクトに目的(具体的にはOKR)を持つため、基本的な力学として、個の成長よりもOKRの達成が優先されるため、個の成長にコミットメントしづらい背景があると考えています。

また、評価という点においても、プロジェクト制のオーナーが営業職能が強い場合、エンジニアの評価を行うことは困難であるため、評価の取り仕切りはサークル側に持たせたほうが現実的なんじゃないか?という考えの結果となります。
※補足ですが、IVRyの場合は、サークルだけではなく、プロジェクトの成果やプロジェクトでのコミットメント、働く仲間からの360度FBを持って、個を評価するようにしています。

そこで、マトリクス組織と同じ発想で、プロジェクトとサークルでコトに向き合う責務とヒトに向き合う責務を分けることにしました。
また、組織という曖昧な言葉を明確に変えることによって、全員の認識が混ざらないようにしている意図もあります。
(マトリクス組織がうまくいかなくなるケースは、縦横違う責務であるはずが、同じGMや部長といった肩書きになってしまうため、なぜか別の責務も求められてしまうことが問題の1つだと考えています。)

実際の運営イメージ

ここまで、組織運営自体の背景や狙いを記載してきましたが、実際どういったイメージなのか?がもう少し具体化されたほうがわかりやすいのかな?と思ったので、プロジェクト構造Qのフローなどを記載したいと思います。

プロジェクト構造

プロジェクト名やOKRは企業秘密であるため、ぼかしを入れてますが、24の子プロジェクトと7個の親プロジェクトが存在しています。

構造を見ていただければわかるように、プロジェクトは親子を持っていて、レポートラインを持つようにしています。
スケールを意識したときに、マネジメントできるプロジェクト数には限りがあるため、構造とレポートラインを持つことによって、スケールに耐えうる設計としています。

IVRy 3Q プロジェクト構造

プロジェクトセグメントの考え方

上述の構造では、ボヤケていますが、Scale, PMF, PoCと3つのセグメントに分けたプロジェクトで運営しています。

IVRy自体はまだまだスケールフェーズで伸び続けていますが、上場後も伸び続ける会社となるためには、本当の意味でのコンパウンドスタートアップ・マルチプロダクトSaaSとなっていく必要があると考えているので、今からたくさんの仕込みを行っています。
※このあたりの細かい情報は、外向きの発信で言うことは少ないと思いますので、ご興味ある方はぜひカジュアル面談のご応募お待ちしています!

このエコスキームがうまくいけば、ずっとPoCをやる人や愛着があるプロダクトだから成長とともに事業フェーズを渡り歩く人など、様々なキャリアデザインをIVRy 1社で経験できると思っているので、IVRyの中での勝ちパターンをより精緻に見つけていきたいなと考えています。

IVRyのイメージする各プロジェクトの役割

Qフロー

Qごとにプロジェクトのクローズと組成を行います。
以下のフローのように、親プロジェクトが組成され、必要があれば子プロジェクトが組成されていく流れとなります。

Qごとの進め方イメージ(毎Qキックオフがあり、第1-2週に行っています)

まだまだ足りないことだらけ。2020~30年代を象徴するソフトウェアカンパニーを一緒に創り上げませんか?

と、ここまで色々と思考に思考を重ねた内容を記載しましたが、はっきり言ってまだまだ足りないことや考え抜けていない箇所は山程あるかと思います。
大局はブレず、目の前のやり方や方法はアジャイルにアジャストしていく進め方で、日本のスモールビジネスや中小企業を中心に、本当にイケてるソフトウェアを届けられる会社を本気で創りたいと思っています。

ぜひここまで読んで、少しでも心が動いてくれた方がいらっしゃいましたら、カジュアル面談やDMなどなんでも良いのでお声かけください!


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