見出し画像

AIDSキャンドルナイトメモリアル2023

概要

 先日、フィリピンのAIDS Candlelight Memorial Day 2023の一環として病院の中庭が飾られていました。そこで、フィリピンにおけるAIDSの現状について簡単にまとめます。

HIVとAIDSについて

 HIVはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)の頭文字を取ったもので、ウイルスの名前です。HIVに感染していても症状が現れない時期があります。その後、HIV感染が進行し免疫力が低下することで健康な人であれば起こらない感染症や合併症を発症するとAIDSが発症したという判断になります。
 HIVに感染していても複数の治療薬があるため、血液中のHIV量を抑えることで他人への感染を防ぐことやAIDSの発症を抑制することができます。なお、感染経路は性行為による感染や血液感染、母子感染が主なものです。

フィリピンにおける概況

 フィリピンでは2010年から2021年にかけて新規感染者は327%増加(2021年に21,400名)、エイズ関連死亡者数は401%増加したとの報告があります。さらに、1984年から2023年までの期間で15-24歳という若い世代がエイズ関連死亡の21%(635名)を占めているそうです。

 2019年にLancet Public Healthに投稿された論文でも対策を講じる重要性を訴えられています。

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-26671830265-2/fulltext


現在の課題

 フィリピンではHIV感染者への差別意識は強く、なかなか検査が実施されていないのが現状であるようです。AIDSを発症してからAIDSをUNICEFは若者が親の同意なしで検査を受けられるようなプロトコルを推進したそうです。しかしながら、治療は親の同意が必要であり若者が治療を受けるのを忌避する要因になっていると言われています。

セレモニーの様子

感想

 サンラザロ病院では小児病棟も成人病棟も多くのAIDS患者さんが入院されています。特に、自分よりも若い世代の子供たちがエイズと合併する結核などに苦しんでいる様子はとても辛いものがあります。
 治療薬によってAIDS発症を防ぐこともできますし、感染を予防する方法も分かっています。それを知らずにAIDSが進行した状態で発見されてしまうことは、少しでも改善すべき課題だと強く感じました。

参考資料


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?