見出し画像

2024/03/25

村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだ。

この作品が芥川賞を受賞した当時、私は大学生だった。友達にすすめてもらったにも関わらず、ついこの間買った。

あの頃に読んでいたら今どうなっていただろうと思う。大学を卒業してもその友達と連絡を取り合って、たまに会うこともあったのだろうか。あの頃いちばん近くにいたのにどうして疎遠になったんだっけ。就職先が彼女は東京配属、私は神戸配属になって…いつだったかLINEの引き継ぎを失敗して…メールアドレスも電話番号も知っているのに勝手に“疎遠“ってことにした気がする。思い返せば、向こうから連絡がくることは滅多になかった。でも、それが心地よかった。大学時代は特に他人の思い描く“普通“や“私らしさ“を演じて過ごしていたから。こちらから心を開くことのできる唯一の同性だった。彼女となら私は対等にいられた。

私はいま、無性に彼女に会いたい。

何を思ってあの時、私にこの本をすすめてくれたのか知りたい。それ以上に今の彼女を知りたい。何を言っても無駄な気がするけれど会って話さなきゃいけないことがある気もする。
メールをしてみようか。電話だったら出てくれるかな。私のことまだ思い出してくれるかな。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

振り返りnote