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令和の夏に「愛し君へ」を見返した

親友が最近乙女ゲームにハマっている。彼女は乙女ゲームにハマるまで男女の恋愛物に一切興味がなかったのだが、最近はゲームの影響で興味がわいたようで私に「おすすめの恋愛ドラマを教えてほしい」と聞いてくれた。私はそれが嬉しくて(と言うかドラマという自分の好きな分野だからオタク心が発揮されたんだわ)、彼女にめちゃくちゃ恋愛ドラマを勧めた。彼女がお芝居に関してシビアなのを知っていたので純粋にオススメのドラマと、ラブコメが好きであろう観点からラブコメのオススメを。オススメしたのは「おいおい今は令和だぞ」と言いたくなる2002~2004年代のドラマが多め。あの時代って黄金期じゃない?つい最近の作品でいうと「大豆田とわ子と三人の元夫」とか「凪のお暇」とか。「カルテット」も大好きだったな。

そんな彼女には「まだドラマを見始めたばかりだし……」と思って勧めなかったのだけれど、私がすっさまじく心に残っている作品があります。2004年に放送していたドラマだからもう18年前。だから18年前の記憶なのだけれどラストが大変良かったんですよね。あの演出はドラマ(映像作品)だからこそ出来る事で、舞台で表現するにはやりようはあるけれど……表現するとしても白のカットバック?うん?違うかな?照明のことはあんまりわからないな……とにかく暗転してほしくないんだよな。暗転で終わってほしくない。白い光のまま終わることにこの作品は意味があって、10歳ほどの私は暗転ではなく真っ白の世界のままこの作品が最終回を迎えたことの意味を考えて感動したのです。いや、舞台効果でも真っ白のまま終われるかもしれない。今度大介さんに聞いてみよう。ドラマも一応真っ白の後はちょっとだけ続きあったしね。
何を言ってんのかこの作品を見ないと分からないと思うのですが視聴サービスはFODとかかな、見られるから気になったら見てほしい。原作(さだまさしさん著「解夏」)がある作品で映画もあるけれど映画は見たことないや。今度見てみよう。

と、いうことで。
ドラマを見返してみました。7月31日の1日を「愛し君へ」に費やした。
な、何度か泣いた……。やはりこの作品名作じゃないか……。思い出補正かと思ったらそんなことなかった。ここから先はネタバレにならない感想・所感を書きます。

・泉谷しげる氏のお芝居が良すぎてめちゃくちゃ良い(語彙力)
・毎話ぶっ刺さる台詞が確実にある
・2話の玉木宏氏がかっこよすぎて辛い
・え?玉木宏…………(語彙喪失)
・森山未來氏が菅野美穂氏の弟役って純粋に凄い時代じゃないか?
・高校3年生役の森山未來!!!!?!?!!!?!
・ところで森山未來と玉木宏揃ってるとウォーターボーイズ思い出しちゃうね(古いな)
・これみんなに伝えたいんだけれど藤木直人氏ってラブコメのイメージ強くありませんか?「ナースのお仕事」然り「ギャルサー」然り「ラスト♡シンデレラ」然り「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」然り……そんな人にこそ今作の藤木直人氏の芝居を見てほしい~~~~~
・八千草薫さんのお芝居で毎度泣いてしまうし長崎弁が沁みるし映像で残ってるって本当に有難いですね
・6話のラストの方言返し、泣く
・6話たぶんターニングポイントなんだと思うくらい力作
・7話の冒頭で半月上の三日月浮いてんの死ぬだろ
・10話の演出憎過ぎるだろ……それぞれの写真集の最後のページ、視聴者全員殺す気だろ
・好きだから好きって言えない、言っちゃだめだっての本当に悲しすぎるからやめて
・久しぶりに見返したら「脚本 坂元裕二」で震えた
・ど、どおりで神の脚本じゃないか……
・ただの恋愛ドラマじゃなくて人間ドラマ
・親の視点、子の視点、友人の視点、家族の視点、こどもの視点、おとなの視点、他者の視点が入り組み方が優しくて複雑でかなしい、本当に「悪い人」がいない
・曲の挿入も良すぎるというか曲が良すぎる

超簡単に説明すると「あと三か月で失明するカメラマン」と「彼の弟と親友で、弟の葬式で彼と出会う小児科研修医」のふたりがメインのお話なんですね。私が子供の頃、私にとって最高の娯楽はテレビでした。テレビドラマを見ること。学校から帰ってきたら夕方の再放送で二作品連続。夜は放送中のドラマを見る。子供の時に見たドラマは私の人格形成に大いに影響を与えてくれました。だからこそ女優になる夢を抱いたし、私がもし、何か病気になって役者が出来なくなったらどうするだろうと小さい頃から何度も考えました。今作に出てくる藤木直人氏の演じる俊介のように目が見えなくなったら。声だけでもお仕事が続けられるように頑張りたい。声が出なくなったら。無音作品を作ると思う。学生の時にパントマイムの勉強も少ししたから先生の元を訪ねたいな。耳が聴こえなくなったら。自分で脚本を書いて自分で演じて作品を撮ろう。身体が動かせなくなったら。それでもできる役を演じよう。でもきっと「現実」はそうじゃないと思う、すぐにそうは出来ないと思う。その時の私じゃないとわからないことも沢山ある。実際に、私は今とある病気に直面している。持病だけなら良かったけれど、持病が酷くなったわけではないけれど、「今」の私はとても脆い。

6話に「何もしないことと何もできないことは違う」という台詞がある。私は役者でいたい限り、あり続けたい限り、続けられるように模索したい。役者じゃない人生を歩みたいと思ったら「第二の人生はこの職に就きたい」と決めてさえいるので若干気楽でさえある。
病気になるということは、極端且つ物凄くプラスに考えると、自分のことを見つめなおすチャンスやタイミングなんだと思う。私自身、今自分を見つめなおすチャンスだと思っているし、コロナ禍もそうだ。世界はコロナが流行る前にはもう戻れないだろう。今、新しい世界が始まって2年経つ。そんな中で、私も新しい自分が始まったと思えば病気であることも少し苦しくない。少し、息が出来る。

「愛し君へ」の1話冒頭と作中で「墜落直前の飛行機に乗った恋人から電話がかかってきました。数分後に死を迎えようとしている彼に、あなたはどんな言葉をかけてあげられますか?」という問いかけがある。
人はいつだって今が一番若いし、今を大事に生きてほしい。人は必ず死ぬし、その死はいつ訪れるかわからないからこそやりたいことをやって、大事な人を想いたい。子供の頃にこのドラマに出会えた私は幸せだったろうし、今、令和になって見返しても面白かった。いま、私に必要なドラマだった。

誰か見て、私と語ってくれへん?


↓ここから「愛し君へ」のネタバレあるよ↓


な、なんで避妊せんかった……?避妊してても妊娠する可能性はあるし、妊娠・出産そこも含めて未来を描いていたなら……とも考えるけれど主役の2人はそんなところじゃないだろうし目が見えなくなる病や仕事のことで手一杯だろうから妊娠した下りは必要だったんかな~~~~~~~でも『描いていた未来』は生半可な行動じゃ描けないという描写として必要なのかな。とはいえドラマ版、愛し合っていた描写が殆どないので妊娠した流れを見ると「や、やることはちゃんとやってたんかい」とも思えて嫌いではないです。

あと私の語りたいラストは、俊介は最終回のほんとに最後の最後で完全に目が見えなくなるのだけれど、目を閉じる時、世界が見えなくなる時、ぱっと思いつく表現は黒い・暗い世界じゃん。単純に目を閉じたら暗いし。でもこの作品、目が見えなくなる時、目の前に菅野美穂氏演じる四季がいるんだけれど、目が見えなくなる俊介にずっと泣きながら笑いかけてるんだよね。最後に見せたい景色。どんどん白いもやがかかって見えなくなる世界で最後に見た愛し君。暗転じゃなくて白転(?)で目が見えなくなる描写を描いていていいな~~~いいな~~~~と子供ながらに思いました、視聴当時。紆余曲折あったとはいえ、愛し君がそばにいること。仕事を失って視界も失ったけれど、一筋の光が残っていて、彼にとって世界は明るいのだなと。そう思えたから好きでした。ラストの演出。今見返したらCGが割とチープなんだけれど平成のドラマの味があってそこも含めて良いです。


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