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21 Lessons ハラリ著 第Ⅱ部 政治面の課題 要約

こちらは月曜日~金曜日まで開催しているライブ読書会で読む箇所の内容を整理するために作成をした個人的なメモになります。記事タイトルの本の理解の助けになれば幸いです。

ライブ読書会は本を用意してYoutubeライブに接続すれば、誰でも気軽に参加することができます。みんなで本を読むために本の内容について理解が深まり、さらには読書の習慣まで身について行きます。詳細については記事の最後をご参照ください。

第5章 コミュニティ

私たちは人間的な孤独に耐えられません、しかし、何かしらのコミュニティに所属していると孤独を感じないでしょう。

現在はスマホとSNSがあるので、それぞれの個人が様々なコミュニティとつながっているように錯覚します。というのも、Facebookを使えば、顔の見える1000人以上の『友達』を作ることができ、数十の趣味サークルに所属することも可能です。

スマホの電源を付けてFacebookを開けば、タイムラインに友達の投稿が流れてくる。それにコメントをすれば、コメントにいいねがつく。あなたが投稿をすれば、誰かがいいね!を押してくれる。そのため、誰かとつながっているような気になる。これでもう孤独は感じないですむでしょう。

オンラインのコミュニティがあれば、これからは孤独感を感じなくて済むのでしょうか?

Facebookの創業者ザッカーバーグは2017年6月に開催されたコミュニティサミットにて、薬物中毒から全体主義まで、私たちの時代の社会政治的混乱はコミュニティの崩壊による、孤独感によるものが大きいということで、Facebookは新しい機能を実装すると発表しました。その機能とは『コミュニティレコメンド機能』であり、あなたにぴったりのコミュニティを紹介してくれるという機能です。

さて、上記のFacebookによるコミュニティ紹介機能ですが、私は問題が2点あると思います。

1点目はこれが行き過ぎると、私たちの人生が本当にアルゴリズムに決定されるようになるということ。上記の機能はコミュニティの紹介に限定されていますが、いずれ他の事項にも拡張されていきます。そのうち最適な仕事、最適なパートナー、最適な人生の到達点と拡張されていくでしょう。

まぁ、ディストピアですね。

2点目は、結局、Fecebookが紹介するコミュニティはオンライン上のものに過ぎません。オンラインの関係性は、オフラインの関係性に密度では及ばないので、そもそも、この機能が我々の孤独感を埋め合わせることは役に立たないのではないかということです。

友達関係の構築において、経験を共有するというのが関係を作るうえで重要なことの一つです。一緒にご飯を食べたり、旅行をしたり、おしゃべりをしたりと言った思い出が、友達との関係を作るうえで重要になります。これらの経験を共有するためには時間が必要です。このため、本当に関係が濃い友達を作るためには私たちの限られた時間を振り分けていくことになるのです。このため、オンライン上に経験を共有しない友達が1000人いても、近くにいるよく遊ぶ友達1人にはかなわないでしょう。

こう考えると、人間は関係を作るうえでも身体性が重要であるような気がします。一緒に五感を共有することで感情を共有する。そこから共感が生まれると思います。関係の深いコミュニティを作るためには、やはりオフラインでの付き合いが重要であると言えますね。

上記は新型コロナウィルスが流行する前に書かれた著書になります。2022年現在、新型コロナウィルスにより、人間関係の関わりが劇的に変化したので、下記に触れておきます。

新型コロナウィルスの拡散により、友達同士が直接会う機会が劇的に少なくなりました。これは、オフラインの人間関係が強制的に奪われ、人間関係のチャネルがオンライン一択になったと言えます。

実際に、去年から私たちは友達と、ゲームやSNSなどでメタバースと呼ばれる仮想空間で過ごすことが多くなってきました。新型コロナの感染拡大が落ち着いてきた現在でも、私たちの生活は以前のようにメタバースで過ごす時間が多いです。そういった意味では、現在はメタバースとユニバース(現実世界)が私たちの可処分時間を取り合っていきと言えます。

テック企業がメタバース空間へ積極的に投資をしていますので、今後は快適なメタバース空間で過ごすことが多くなるでしょう。それにつれて、ユニバースの人間関係がメタバースのそれに置き換わっていくでしょう。

これはハラリの話とは真逆の議論になります。

さらに技術開発が進めば、人間の五感すらもメタバース上で再現できるようになるでしょう。ただ、私たちは身体があるので、生理欲求を満たさなければなりません。しかし、それ以外の時間はメタバースで過ごすという、昔のネトゲ廃人と呼ばれるような状態に多くの人がなるでしょう。

話はここで終わりません。さらに技術が進み、我々の意識を電子情報としてクラウドにアップロードできるようになった瞬間に、私たちの身体は必要なものではなくかもしれません。おそらく、攻殻機動隊の世界のように身体を捨てて『電脳化』する人達が現れるでしょう。

第6章 文明

現在、世界にはたった一つの文明しかないと考えてよいでしょう。

有史以来、地球上で様々な文明が生まれては消えてきました。それらの一つ一つに、その民族固有の文化があり、アイデンティティをかけて生存競争をしてきたと考えられがちです。しかし、各文明の差は遺伝的特徴に比べて驚くほど差異がない(差異に意味がないと言っているわけではない)。

加えて、各文明は数百年単位で生まれては消えて、さらにその中でも文化が変質していきます。文化が変われば、文明なの社会制度は変わっていきます。

例えば、一神教がわかりやすいでしょう。数千年の伝統がある(と言われる)イスラム教、キリスト教は、特に本質的な普遍の価値観があるわけではない(聖書やコーランは数えきれないほど頻繁に改ざんされている)。要するに、民族固有の本質的な特質というのは虚構でしかないと言えます。

一方、上記のように人類に差異が少ないためにサピエンスは一つのグローバルな文明へと統合に向かっていると言えます。そして、今日では200程度の主権国家に分かれているが、それらの社会制度は驚くほど類似し、一つの国際社会でのルールに従っていると言える。オリンピックができるのが良い例でしょう。

卑近な例でいうと、単一の通貨(米ドル)を信奉し、同じ食べ物(パスタ)を美味しいと感じて、同じ飲み物(ビール)で酔っ払い、同じ音楽(DUB STEP、K-POPなど)を聴いて熱狂できるという時点で、既に世界は統一していると言えるのかもしれません。


第7章 ナショナリズム

過去、ナショナリズムは国民国家を形成し、地域共同体レベルで解決できない問題を解決してきました。

今日の国際情勢では暴力的なナショナリズムの高揚では国家間の分断を招き、最終的には孤立主義に陥った国家間の戦争が起こる可能性が高い。かといって、穏やかなナショナリズムでも、地球規模での問題は解決することはできません。

私たちが直面している地球規模の問題とは3つあります。
1)核の脅威、2)生態系の破壊、3)技術的破壊である。

1)の核の脅威ですが、冷戦体制下の相互確証破壊(MAD)を基盤とした平和体制の構築は狂っていました。冷戦終結後は相互確証破壊という前提が揺らいでいます。

小規模な独裁国家が核を保有し始め、世界中にリスクをばらまかれています。加えて、核弾頭が小型化した結果、移動式の各発射装置ができてしまったため、国家に属さないテロリストが核を発射することが可能になりました。このため、相手国が自滅覚悟では核を発射しないというそもそも前提が崩れてしまいました。このような状況では、ちょっとしたヒューマンエラーで世界大戦が起こりかねません。

2)生態系の破壊については、環境は国家での閉鎖系ではなく地球規模での開放系であることに関係しています。地球の温暖化により、南極の氷が融けて海面が上昇して、東京の一部が水没すると言われています。東京の水没を避けるために、日本のみが二酸化炭素の排出を制限しても、アメリカ合衆国と中国など工業国が二酸化炭素の排出を続ける限りは、温暖化は止まりません。やはり東京は水没します。地球の海、地球の大気、地球の生態系は繋がっているため、世界中の国家が足並みをそろえて、効果的な対策を行うことを今すぐに行うことが求められています。

次に3)技術的破壊ですが、これも世界中の国家及び企業が『一斉』に対応しなければいけない問題です。というのも、ある技術について一つの国が技術開発をやめても、他の国が技術開発を続けた場合、技術開発を続けた国が圧倒的に有利になるからです。

例えば、AIとバイオテクノロジーを組み合わせたサイボーグ兵士の開発を、米国が倫理的な問題から開発中止したとします。しかし、仮想敵国である中国はサイボーグ兵士の開発を続けることでしょう。そのような状況が10年間も続けば、中国は人民解放軍の実働部隊のすべてをサイボーグ兵士に入れ替えることができます。一方、米国の兵士は生身のままです。

その後に米国と中国が戦争した場合、戦場ではサイボーグ兵士 vs 生身の兵士という映画のワンシーンのようになりかねず、映画とは違って一方的な虐殺になるだろう。しかも、サイボーグ兵士は資源の続く限り、補給可能なので中国はほぼ無傷です。一方、米国は多数の死傷者が出る。

そのような敗北を喫した場合、アメリカ議会で何が起こるだろうか?上記のような未来が研究開発を中止した時点で見えています。このため、技術力と資源を保有する国は先を争って技術開発を行います。

しかし、将来的に予期せぬ間違いが起こらないとは限らず、ターミネーターのスカイネットが出てこないとは限らない。このような技術的破壊を防ぐためには、やはり世界中の国家が足並みをそろえて、技術開発を制限する必要があるかもしれない。

このような状況の中で、『我が国は世界イチィィィィィ!』と言っているようなナショナリストは地球規模の問題に対応することができません。

そもそも、ナショナリズムとは、自分の故郷を愛するとともに、自分の国を大事だと思う気持ちを持つことです。そして、ナショナリズムと他国も尊重することは相反しません。私たちは国家という所属共同体を愛するとともに、他の国民を気遣って、サピエンス全体にとって最良の選択をすることが重要になっていきます。

ライブ読書会

毎週月曜日~金曜日 20時からYoutubeライブでライブ読書会を開催しています。

ライブ読書会では私と参加者で、課題本を1週間かけて読んでいきます。一人で読書が難しい方でも、みんなで読めば継続できます。本の内容について、他の人の意見を聞いてみるのも理解する助けになります。

●当日はYoutubeでライブ形式で読書会を行います。

当日の進行は、(10分読書→10分で意見共有)×3セットという流れで1時間程度を予定しています。

参加前に本を読んでいなくてもOKです。ただ、参加する際には課題本を電子版でも紙版でもお手元にご用意ください。

当日に一緒に本を読んで、概要を理解するために役立ててください。もちろん、事前に読んで意見をお持ちの方は、ライブ中にコメントしてくれれば、お答えしていきます。

開催は下記のYoutubeチャンネルで行いますので、事前にチャンネル登録をお願いします。

https://www.youtube.com/channel/UCcOBX1qIPW2RDjUmSUnCNrg

どうぞ、お気軽にご参加ください。

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