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子どもが不登校になったら、知っておいた方が良いこと

前回のこの記事に反響や質問を頂いたので、不登校の子どもと関わることについて今の私が思うこと、お伝えしたいことを書いておきます。

私はカウンセラーでもなんでもなく、2年半、学校に行けない子どもに向き合い、見守ってきた経験があるというだけの親です。

幸い在宅勤務で時間の融通もつけられたため、2年間、私も娘も、市のカウンセラーさんと月2回の面談を欠かさずしてきました。

自分のモヤモヤや葛藤、ゆるやかに回復期に向かうまでの経緯をカウンセラーさんの傾聴力により言語化できたことで、ストレスを開放しながら自分なりにどうメンタルを整えるか、子どもとどう接すると良いのか、について様々な学びを得たと感じています。

先日も市のカウンセラーさんと話しながら2人で同意したことは ”他人の家の不登校問題に強く口を出すなんて怖くてできない”と言うことです。

なぜなら、その一言で命に関わることもあるからです。

それくらい丁寧に、慎重に接する必要があるケースもあると思っているので、おいそれと詳細な背景を知らないままアドバイスはできません。できるのは経験談に基づいた話をするくらいです。

個人的には ”◯◯すれば不登校はなおる” などといった謳い文句を言う人は全く信用できないと思っています。

必ずしも元の学校に戻ることが最適解ではない場合もあります。

子ども自身が望んで接する場合の医療機関、先生、カウンセラーさん、友人たち以外では、外部の人ができるのは、子どもを見守る親や親族を支えることだけなのです。

ですので、親御さん自身は躊躇わずに早めに外部にヘルプを求めてください。

特定の誰かに依存せず、まずは学校、地域のサポート、意見が合うようであれば親族の方達、友人たちなど、多くの人や仕組みのサポートを少しづつ受けながら、子どもと向き合うことをお勧めします。

不登校自体は恥ずかしいことでもなんでもありません。

不登校そのものはただの現象であり、根本的な問題は子ども本人が、何かしら生きづらさを感じていることだと思っています。

1. 不登校に万能薬はないと心得る

不登校と一言で言っても、子どもの年齢、家庭や学校の環境、きっかけ、子どもの性質によって原因もアプローチも全く違います。

私は娘が不登校になってから、関連する本を色々と読み、コーチングを学び、自分自身も親としてカウンセリングを2年受けました。思春期外来のクリニックにも通いました。

かなりの時間的、精神的リソースを使ったと思います。

自分自身の子どもと、私と同じような立場の親の方と接する中で思ったことは、万人に当てはまる解決へのアプローチとしては、”赤信号を渡ってはいけない”というような、基本的なことしかないと言うことです。

具体的には、”子どもの自己肯定感、自己効力感があるかどうか、子どもの心理的安全性が守られているかどうか、親との関係が適切かどうか"という健全な育ちにおいて最も大事なことになります。

その基本的な必要条件を知った上で、子どもが"学校に行きたくない" と態度や言葉で発したときに親はどう対応するか。

その子の本来もつ性質、傷みなど、背後にあるものを汲み取れるかどうかで、その先の行動が変わってくるのです。

まずは子どもの話を少しづつ聞いて解きほぐしてみる。そこからしか原因を探りようはありません。頭ごなしに親の意見やアドバイスを言うのではなく、まずは頷いて傾聴し、子どもの言葉の真意をを理解しようとしてみてください。

これが私が未だにちゃんとできていないことなのですが(汗)なまじ本などで知識を持ってしまうと、その雛形に自分の子をはめ込んで考えてしまいがちなので、注意して欲しいと思います。

目の前にいる子が、本で読んだ事例と全く同じことなどありえません。似ている傾向があれば参考にしたら良いと思いますが、それぞれ別人格ですので、”本の通りじゃない” と落ち込むこともないのです。

あなたと子どもの、たった一つの親子の最適な関係性を再生するために伴走し、一緒に試行錯誤していくことは時間がかかるかもしれませんが、焦らずにゆっくり進みましょう。

また、無理に聞き出そうとしないでください。いつでも話したいなら話してね、と言う姿勢でいること。話したくないものを聞き出そうとすることは、却って関係を崩しかねません。

良かれと思って”どうしたいの?”と尋ねることで追い詰められたように感じ、傷つく子もいます。

一方で自発的に言語化できたときや、親が自分に関心を持ってくれたことで満足する場合もありますし、自分で解決策にたどり着く場合もあります。

また、不登校、と言う文字通り、今通っている学校に行きたくない、行けなくなってしまった、と言う現象の裏に、本人も言語化できない混乱、葛藤、恐れ、疲れが蓄積している場合があります。

それらが時間をかけて醸成されたものほど、解きほぐすのに時間が必要だと思った方が良いかと思います。

2. 不登校になった場合にすべきこと

いじめなど原因が明確であれば、それを取り除くか、取り除けないならそこから離れる手段を取れるのかを検討するしかありません。

今現在通っている学校、もしくはそこに付随する友人関係などが合わなかっただけであれば、最初は学校に働きかける、もしくは距離をとる、というのが最善かもしれません。

用意された義務教育や学校環境が合わなかっただけなら、それを変えればよいのです(とはいえ、そこに漕ぎ出すまでの葛藤は大変なものですが)

今はオンラインで学べる良質なコンテンツも溢れているので、子ども自身の学びたいという好奇心、成長したいという欲求があれば学ぶことができます。

いずれにしても、最初は担任の先生と連携をとります。教室には行けないけれど保健室や図書室にはいける、また個別でなら授業を受けられる、と言う生徒のために個別に授業をしてくれる先生もいらっしゃいます。

もう学校に行くのはかなり難しい、となった場合、適応指導教室、または教育支援センターというものを利用することもできます。

適応指導教室とは市町村の教育委員会が、長期欠席をしている不登校の小中学生を対象に、学籍のある学校とは別に、市町村の公的な施設のどこかに部屋を用意し、そこで学習の援助をしながら本籍校に復帰できることを目標に運営している教室になります。

ここに参加すると、学校へ登校した事とみなされ、出席扱いにもなります。スタッフは元教員、教員の方が多く、丁寧に運営してくださっている印象です。

また、スクールカウンセラーさんとも定期的に面談できるようになっています。親には話せなくても、カウンセラーさんには自分の内面を話せる子もいますので、子どもが望む場合はカウンセラーさんとの面談を設定してみてください。

また、強調したいのは、親こそ自分のメンタルを整えるため、あるいは自分の既存の価値観を解きほぐすためにもカウンセリングを受けるべき、と言うことです。

面談日が平日の昼間なので、仕事の関係で難しい方もいらっしゃるかもしれませんが、休暇をとってでも受ける価値があると個人的には思いました。

私はシングルマザーかつ、自分の親もいないため、良くも悪くも家庭運営の判断については、ほぼ私が物事を決められる環境でした。

ですが、不登校ばかりは本当に悩みましたし、気持ちを誰かに吐露せずにはいられないほど、ストレスは大きく、徐々に溜まっていきました。

カウンセラーさんと心置きなく話せること。この時ばかりは、相手に時間的、精神的負担をかけずに、仕事として自分の話を定期的に聞いてくれる人がいることの有り難さを、感じずにはいられませんでした。

学校や地区により体制が違うかもしれませんが、義務教育中のサポートはかなり手厚いので、相談してみてください。

3.正しく見守ることの難しさ

不登校が中、長期になりそうな場合に子どもを正しく見守ること。

これが…心身ともに労力と自分のマインドを変えることが必要でした。。

子どものためという言葉を隠れ蓑にした、親の意思だけに基づく行動をとってしまうことは、見守りではありません。

辛い現実を正視したくない、あるいは面倒だからと放置するのとも違います。

苦しんでいる今現在の子どもの心情を理解しつつ、同調しすぎる事なく、子どもが行きたい場所へ向かって伴走すること。

これが見守りだと思っています。

不登校になってしまったというのは、何かしらの原因で子どものエネルギーが切れている状態。今枯渇しているエネルギーを埋めていくには、不登校になった背景を築いた時間が長いほど、長くかかるかもしれません。

丁寧に見守る必要があるからこそ、具体的にどうすれば良いのかを知り、実行していく必要があると思うのです。

親は長年生きているので、ついつい良かれと思って色々とアドバイスをしたくなります。

でも、彼ら自身の人生は彼らのもので、その責任を負うのも彼らです。親子であっても別人格であり、別の人生を辿って辛い思いをしているからには彼らの意思を尊重するべきです。

その時に親がすべきなのは、その選択肢に対してのメリットやデメリットをシェアするくらい。

そして、子ども自身も今はネットで様々な情報が取れるので、まだ日本では学歴がなければ不利益があるということは十分理解しているケースが多いです。(年齢によりますが)

そもそも人と違うことをするのは、まだ同調圧力が強い日本の文化においては、苦しい場合が多いものです。

にも関わらず、学校に行かない、という選択をせざるを得ないほどの苦しさを抱えているのが不登校の子どもの状態です。

親のこれまでの人生が順風満帆であればあるほど、この苦しさを理解し、腹落ちさせるのは難しいのです。

思春期の不登校中の子どもで割とよく聞くケースが、幼児退行という状態なのですが、幼稚園児の時のようにどこにでも母親についていく、みてみて!というなど、ともかく甘えたがることがあります。

また、反対に心を閉ざして部屋に引きこもる、ベッドから出てこない、食事を満足に摂らないなど、他者を寄せ付けない時期もあります。

歯を磨かない、お風呂に入らないなど、自分の身体に対して無関心、無気力になり、セルフネグレクトのようなケースもあるようです。

それは子どもの内面で育ち直しをしている状況にも感じました。また、何をしても許される安心な人かどうか、場所かどうかを確認しているようにも。

つまり、親としては”育て直し”をする必要があるのですよね。

とはいえ、目の前の子どもは赤ちゃんや幼児の時とは違います。。

身体も大きければ、口も達者で知識もありますし、時には暴言を吐いてくる事もあります(泣)

そんな子を目前に育て直し、って言われても。っという心境になるのですが、幼い頃に満たすべき愛情の樽を、改めて満たすことは、多くの場合家庭でしかできません。

愛情の樽を満たすために私がしてきたこと。

子どもを観察し、できたことを気づき、褒め、チャンスがあれば軽いスキンシップをする。一緒に楽しい時間を過ごす。あなたのことを大事に思っているし、大好きだよ、と伝える。

ハグができるといいのですが、大きくなってからだと恥ずかしがる場合は肩を叩く、背中をさする、撫でるなど、子どもを丸ごと受容しているということを言語でも、非言語でも伝えられたらベストです。

少しづつ親子のコミュニケーションが上手く取れるようになったら、生活リズムを整えること、未来のことに目を向けていくと良いと思います。

そのように接するうちに、子どもの心がほぐれ、私の気持ちも理解してくれるようになり、良い方向に向かっています。

他のお子さんが部活や学業に邁進しているのを見聞きすると、焦る気持ちは今でもあります。でも、子ども自身が少しづつでも良い方向に向かっているなら、比較せず、長期的視点で物事を考えるようにしています。

私自身もまだ見守りと寄り添いの途中ですが、自分の仕事や楽しみとのバランスをとりつつ過ごしています。まだ不安がないと言えば嘘になりますが、未来の明るい姿をイメージしつつ、今の子どもの状態にフォーカスして接しています。

家庭の課題は様々なサポートを受けながら、最終的には自分たち自身で解決するしかありません。自分たちらしい家族運営とは何か。それを知るために学んで良かったものの一つはコーチングでしたので、リンクを貼らせて頂きます。

https://familytc.co.jp

何か一つでも悩んでいる親御さんの参考になり、親子で良い方向に進むヒントになれば幸いです。


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