大学に進み、男子生徒と一緒の教室で学ぶことになった寅子たちをにこやかに迎える花岡。しかしその笑顔からにじみ出るあやしさ、朝ドラ慣れしているわたくしは見逃しませんよ。朝ドラにおいて、第一印象がいい男は悪いやつ。逆に初対面で最悪だった男とはその後恋に落ちがち。この法則、もし朝ドラ検定があったらきっと試験に出ます。

しかしその朝ドラの法則のもっと上をいく展開でしたね、この週。

最初は「女とは一緒に学べない」という自分の意見を隠さずストレートに言う、偏見に満ちた男。でも女子たちと接して気持ちが変わればそのこともストレートに言う、柔軟な男。
「自分でも信じられないが、あの人たちを好きになってしまった。あの人たちは漢だ」
他の人にどう見られるかではなく、自分の信念に沿っているかで物事を判断する轟、かっこいいよ。漢だよ。

そして最初から笑顔がうさんくさかった花岡はやっぱりダメな子だった…と思ったんですが、劣等感を隠すための仮面をいくつも使い分けて違う自分を演じている彼を、簡単に「ダメだなあ」と切り捨てられなくなってしまった。女もつらいけど男もつらい。

そんな花岡と梅子さんの対話シーン、あそこで私、このドラマでいちばん泣いてしまった。
虚勢を張っていた花岡が、梅子さんの前では素直で小さな男の子みたいだった。
梅子さんも、息子に伝えたいのに届かない話を彼に聞いてもらっているみたいで。
みんな弱音を伝え合い、救われていくといいな。