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【美術館について(佐塚真啓)_01】

【美術館について(佐塚真啓)_01】

美術館の機能や役割について考えてみる。

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美術館は、人間社会の中で、

自由や公共や価値、そして

過去・現在・未来について考えるための、

重要な装置だと思う。

その装置としての機能が失われている美術館に

存在する意味はあるのか?

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自由という言葉は、大きく2つの意味で使われていると思う。

野放し手放しのような、真っ白な荒野に立って、

勝手に何をしてもいい、と言われた時に感じる自由①。

そしてもう1つは、

この世界にある様々な状況や知識と向き合い、

それを意識し、そこから少し飛び出した時に感じる自由②。

一般的に自由という言葉は、

これらが絡み合った形で使われているように感じる。

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美術を人間社会の特異点として、

崇高なものであってほしいと考えている人は、

自由①についての話を美術を通して語ろうとしているように思う。

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美術を、人間社会への問いかけとして、

有用なものであってほしいと考えている人は、

自由②についての話を美術を通して語ろうとしているように思う。

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この2つの自由①②は全く異なるものだ。

だがどちらも大事であり、

美術は人間の自由に対しての姿勢を体現しているものだと思う。

美術館はこの2つの異なる自由を

どちらも等しく大切にする場所であってもらいたい。

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<つづく>

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少し考えながらちょこちょこ続きを書いていこうと思う。

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【青梅市立美術館を考えるプロジェクト】

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日時:1月28日(日) 13:30~15:00

場所:S&Dたまぐーセンター(青梅市文化交流センター)

アートルーム

https://www.city.ome.tokyo.jp/site/art-museum/73603.html

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【青梅市立美術館への提言書をつくろう】

青梅市立美術館が2024年2月から約3年間、施設改修に伴い休館する。休館後の美術館には、どのような可能性があるのか?どのような美術館になれば、より多くの人にとって有意義なものとなり得るのか?美術館は多くの人に開かれたものであり、社会にとって、もっと重要な場であるはずとの思いから、未来の美術館について提言書をつくる。

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「美術館」について話を進める前に、まず「美術」という言葉が何を指し示すのかを共有する必要があるだろう。「美術」という言葉は明治期につくられ、現在の一般通念としては「視覚芸術・造形芸術」というジャンルを指す言葉とされている。しかし、「美しさ」は視覚的にしか感じられないものではないし、誰かの作った造形物からしか感じられないものでもない。そして、「美術」はそれらを扱う人や物や事だけを指すジャンルでもない。

日常のあらゆるものに「美しさ」は潜んでいて、それに気が付く「術」、気が付いたことを伝える「術」が「美術」である。さらに「美」という文字は、ただ「美しい」という状態だけを指すものではない。物事に向き合い、喜怒哀楽あらゆる方向に心が動いた状態を指し示す象徴として「美」という文字が使われている。心を動かす術、心にまつわる術が「美術」である。

そう考えると「美術史」とは、人間が何に心を動かして来たかの歴史であると言えるし、「美術館」とは、心を動かして生きている人間と、生きてきた人間たちが、出会い交流する館(やかた)である。そのような視点に立つと、全く美術に無関係な人は誰もいない。

現在、「美術」は芸術の一つのジャンルになってしまっている。絵を描いたり、物を作ったりする人や、それを楽しむ人たちだけが関わるジャンルになってしまっている。そうではない、心を動かして生きる全ての人が関わる「美術」と、それらが交わる館(やかた)としての「美術館」について多くの人と考えていきたい。心踊る新たな青梅市立美術館の誕生を望んでいる。

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チラシデザイン:三熊 將嗣

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