Airbnbが地域を破壊する?

最近イギリスの新聞ガーディアンを読むことが多くなってきている。サイトが読みやすくて、良質なリベラルジャーナリズムで、ストレスが少ないのが主な理由なのだが、airbnbと都市の再生であるジェントリフィケーションについて批判キャンペーンを展開してるのに引っかかった。

「ジェントリフィケーションはグローバルな問題だ。解決策を考えよう」

https://www.theguardian.com/cities/2016/sep/29/gentrification-global-problem-better-solution-oliver-wainwright

と言うこれを読んで、少し調べるまで、全然ピンと来ない問題意識だった。が、つらつら考えると、間違いなく東京でも起こっていることで、東京に暮らす若者の生活が苦しい原因にもなっている。

日本の場合は空き家問題の方が社会的にマイナスだと考えられていて、東京の場合は相続対策で入居者のない新築アパートも増加の一途なので、いずれ家賃ももう少し低い水準に落ちつくだろうから問題として意識する必要のないと考えられているのかも知れないが、郊外住宅地の人気が落ちて、比較的収入のあるファミリーや余裕がある高齢者が都心回帰をしている現状はジェントリフィケーションのはじまりで、うかうかしていると収入が少ない層がさらにダメージを受けるかも知れない。

東京でも「学生街」と言われてきたような場所は、昔からの建物に住み続けてきた人たちが多く、都心の便利な場所なのに家賃が安い地域だ。そういう場所でも老朽化で建替だ、大家さんが亡くなって相続だとなると、少しグレードアップした建物にして家賃を上げよう、売ってしまおうとなるのが人情だし、ファミリー層の需要があれば広めの2LDKのマンションを建てようという動きになって当然だ。東京のような都市ではそれは全然悪いことではないのだけど、当然町の様相が変わり、それまでのコミュニティは消える。一時的には経済的余裕のある新住人と安めの賃料に惹かれた意欲的なビジネスが増え、新旧取り混ぜた面白い刺激的な町が生まれることもあるが、じわじわと地域の家賃相場が上がってくると、個人のビジネスは立ちゆかなくなってきて小ぎれいなマンションと大手の店ばかりの町になってしまう。

アムステルダムのような町でAirbnbが引き起こしていること

https://www.theguardian.com/cities/2016/oct/06/the-airbnb-effect-amsterdam-fairbnb-property-prices-communities

「ジェントリフィケーション問題」関連の記事の中で、まずこれが身にしみた。「airbnbが流行ると迷惑な行動をする観光客が増えて地元が迷惑する」まではだいたい予想できて、もっと心を広く持とうと言ってしまったりするのだけど、「一部屋貸せばローンも払える」と踏んだファミリーが増えて、どの家もairbnbやってる状態になって不動産相場がさらに上がる(観光が低迷すればローンが一気に焦げ付く)、さらには民泊用に物件を買う人も出てきて「民泊空き家」も増えて地域人口が減り、普通のファミリー層はマンションが買えなくなると言うことまで起こるとは予想しなかったな。東京下町ネイティブとしてはかなり危機意識を持ちましたね。

計画的な再開発ではないから、流れを変えるのは難しいけど、個人レベルの問題でもあるので、問題意識を持っておくだけでも違うかも知れない。バブルの頃に起こったことと似ているけど、少し違うことがすぐそこの未来に待ってるかも知れない。





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