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(感想)面倒だ。でも掃きだしていくしかない

(以下、筆者Xより転記)

5/15に鑑賞していた映画『水深ゼロメートルから』。高校演劇作品が原作ということを知っていたからか、それっぽい!と思ってしまったのだけども、その高校演劇らしさを残したまま商業映画化されているのは良いことなのではと思う。

水のないプールの、砂まみれになった底を掃除することになった高校生達なのだけど、水泳部のチヅルのキャラクターの突飛さが「高校演劇」ぽくて、プールの底というほぼ動かない場所において、そういう自分から体を動かすキャラクターが話を動かしていく。

ちょっと掃いたところでどうにもならない砂は、横のグラウンドでの野球部の練習からプールに飛んでくる。それだけならまだしも、ホームランボールまで飛んできたりするのだ。困るだけではなく危ない。そんな状況に置かれる女子の姿がわかりやすく提示されている。

チヅルによる「宣戦布告」は、彼女の精一杯の抵抗であるのだが、それを受けた側が痛くかゆくもなかったであろうところは、少し悲しくなってしまった。本人やそれを見ていたココロとミクが楽しそうであったところが救いだが。

飛んでくる砂は掃きだすしかなく、その作業に途方はない。突然の大雨は状況を変えるが、濡れてしまうのだから嬉しくはないかもしれない。けれども雨の中に躍りださんとするミクの姿は凜として力強い。雨は上がるのならば、雨上がりの虹の美しさを期待できるのかもしれない。

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