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ランと学びに邁進するはずの休日に現れた、思わぬ誘惑

フルタイムで働きながら資格試験を目指す人にとって、ゴールデンウィークのように休日が多い期間は学びを先に進める絶好の機会である。私も、家族の時間は確保しつつ、1日は中小企業診断士の試験に向けた自分の学びに使わせてもらうことにした。

場所は、都内。朝から晩まで座り通しで勉強するのは体にも良くないし、集中力も持たない。そこで「家とは別の場所で、朝はランニング、午後はみっちり勉強する」というプランを立てた。ランニングステーションを利用して身軽に走り、ラン後はシャワーですっきりする。昼食の後は「ここなら落ち着いて勉強できる」と確信できる場所に移動するというスケジュールだ。もし午後眠くなってしまったときにはコーヒーが紅茶か、カフェイン入りのドリンクを飲めばいい。ランニングも学びもしっかり行うための理想的な計画に思えた。

当日は晴れ。湿度が低く、走るのが気持ちいい気候だ。適度なスピードで2時間ほど走り、疲れつつも心身ともにリフレッシュして切り上げた。そしてシャワーを浴びて「さあこれから勉強だ」と気分を切り替え、ランニングステーションの受付でチェックアウトの手続きをした。

そのとき、思わぬことが起きた。ロッカーの鍵を受け取った店員さんが、カウンターの上に「あるもの」を出して「サンプル品です。良かったらどうぞ!」と声をかけてきたのだ。

その「あるもの」とは、

ビール!

何と絶妙なタイミングで、絶妙なものが。

気温が急に上がっていく季節は、体がまだ順応していないので汗を大量にかく。汗と一緒に塩分も流れ出る。ラン後で体が干上がっているそんな時に、シュワ〜っ!と喉ごし爽やかなビールがポンと差し出されるとは。アサヒビール、恐るべきマーケティングの着眼点だ。

「ありがとうございます。
 でも、これから勉強しなくてはいけませんので」

そう答えて受け取るのを控えるべきなのはわかっていた。

でも、どうしても「ありがとうございます」の後の言葉が出てこなかった。

ロッカーの鍵を返してランニングステーションを後にしたとき、私の手には缶ビールが握られていた。

周辺には大きな公園があり、適度に日陰で風が吹き抜ける場所にベンチが置かれている。元々、そこで昼食を取るつもりにしていたところだ。スケジュールも内容も、まさに計画通り。しかし、左手には予想外のモノがある。

そのあと私がどうしたのか、これ以上は書かない。でも、すこぶるいい1日だった。そしてこの日の勉強は、目標としていたところまでたどり着けなかった。

こんな日もある。資格試験への意識が低いと言われれば、その通りかもしれない。ただ私としては、学びはその周辺に広がる予想外のことも含めて楽しみながら行うものにしていきたいし、なるべくその意識を持ち続けたいと思っている。

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