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Vol.30 あせる吃音暇人、あるいは「2月27日の狂騒曲」。

第一楽章『2月27日 午前3時7分/前夜のメール送信』

・某ラジオ番組で明晩に放送予定の「モノマネ企画」に、SE込みのモノマネ音声を録り、メールで送る。

第二楽章『2月27日 午後~夕刻/進展』

・番組スタッフさんより、
『「今回の企画は、生放送の電話中継で行う」旨の説明と、「生放送へ電話中継での出演可否の確認」』
…のメールが届く。
・自らのハンディキャップである吃音(注1)の心配が頭をよぎりつつも、 ” 快諾 ” の返信メールを送る。

第三楽章『2月27日 夜/出演前』

・番組スタッフさんより、「最終確認のTEL」が入る。
・その際の電話でのやりとりでは、吃音の症状が ほとんど出ることもなく安堵しているうちに、放送中のスタジオと電話がつながる。

第四楽章『2月27日 夜/電話出演~瓦解~』

スタジオと通話が つながった瞬間、体中を走る ” 吃音の予感 ” 。
・そこから先は、 ” 吃音の症状 ” → ” 緊張 ” → ” 吃音の症状 ” → ” 緊張 ” →…という、『 ” 吃音の症状 ” と ” 緊張 ” が相互に誘発しあう「高速増殖炉」状態』に突入。
・どもりながら懸命に声を発するも、スマホのスピーカーから明らかに伝わる ” スタジオの困惑した空気 ” 。
・それでも何とか出番が終わり、焦りと虚脱感と疲労感(←” 吃音の症状 ” は身体的にもツライのです)を覚えつつ、ふとPCのディスプレイに目をやれば、映し出された放送へのリスナーコメントが「え~と、え~と、ばかりで、内容が全然入ってこない」とか「放送に出てはいけない人」等々。
・次の瞬間、スマホの通話を切り、PCの電源も部屋の明かりも消し、頭からふとんを被り、「なんで、この結果を予想しなかったのか?」「なんで、安請け合いしたのか?」「ただ、電話出演をしてみたかっただけなのに…」「でも、これって放送事故レベルだよね…」と自問自答する私。
・30分ほど過ぎてから番組スタッフさん宛てに、「聞き苦しい内容になってしまったこと」「事前に吃音のリスクを伝えなかったこと」を詫びるメールを送信。

終楽章『2月28日 朝/翌日~いつもの日常~』

・とりあえず、ダメージを受けた自分のメンタルを、これ以上傷つけないように、当分の間 SNS断ちする事を心に決めて、今に至る。

…では、今週の締めの吃音短歌(注2)を。

百人に 一人のしゃべりを さらしつつ 今日も浮き世を サバイバルする

…今回はサバイバルし損ねた話なんですけどね。

【注釈】

注1)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。

注2)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

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