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SEIGI個展を終えて

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天候にも恵まれた中、昨日5月3日に催されたSEIGI個展へご来場賜りました皆様、本当にありがとうございました。これもひとえに皆々様のお力添えがあったからこそ、個展は無事に成功したと思っております。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

会場:きらり鎌ケ谷市民会館きらりホール(撮影:SEIGI)

客観的に聞くこと

私は客席で聞くだけでほとんど何もしていなかったのですが(と言っても、全出演団体舞台リハの段階から立ち会い、写真を撮影してツイートしてました。あと舞台上での苦手なトーク!)、帰宅してからどっと疲れが…。きっと精神的なものでしょう。一日であんなに人様とご挨拶することもないですし、自身初めての個展、15年間の集大成というプレッシャーも少なからず感じて終始胃がキリキリしておりました。今回私自身が歌やピアノの演奏側で出演しなかったのは、客席から自作を「客観的に聞くため」でした。作曲家って客観的に聞く姿勢はとても大事です。曲はまるで我が子のように溺愛し心酔してしまうので(もちろん大切ですが)、それと同時に常に批評・批判の精神も持ち合わせていなければいけません。ですから、個展での7団体+ソロ2名(全9)による演奏は、自作を見つめ直す絶好の機会だったわけです。

久々の衣装は黒ワイシャツで(撮影:SEIGI)

各出演団体・出演者への感想

私が各出演団体・出演者への感想を綴るのは大変おこがましいのですが(昨日は感想をお伝えする時間もなかったので)、作編曲者としての視点から少しばかり皆さんへの感謝の気持ちを込めて綴らせてください。

1.Tanto Harmonia【混声】

数年前、団立ち上げ時より積極的に拙作を取り上げていただき、昨年「あふれる」も初演くださいました。たんもにさんは少人数なりにお一人おひとりが歌ってて楽しげだったのが印象的でした。時折目配せしアイコンタクトを取るのも少人数の良さといいますか魅力ですよね。特に「命」は初期のアカペラ曲で、実に懐かしく拝聴させていただきました。「あふれる」再演は嬉しかったですね。ソプラノの最高音であるA音が美しく響いていました。大健闘。真心のこもった演奏をありがとうございました!

Tanto Harmonia

2.合唱団スナップドラゴン【混声】

ジャンニさんからの前説で会場が笑いに包まれ、ネタ合唱曲2曲を仕込みつつ、時かけメドレーで浄化されました。ネタ合唱曲は私の周りはクスクス笑ってましたのでご安心を。これで笑ってくれなかったら個人的に冷や汗ものでした。時かけメドレーは本当に美しかったです。あの編曲は女声・男声の対比をうまく活かしたものだと自負しているので、まるで真琴と千昭が舞台にいる錯覚に陥りました。そのぐらい完成度が高かったです!スナドラさんは、やったらやりっ放しではなく、きちんと綺麗に浄化して次の団体へ舞台を渡す。これって本当に実力や技術がないとなかなかできない事なんですよね。脱帽。

合唱団スナップドラゴン

3.粒谷区合唱団【女声】

少人数ならではの配置(ソプラノを中央に配置)したことで演奏効果が非常に高く感じられました。今回「自由へ」女声版初演という大役でした。オリジナルは混声4部ですが、女声3部ならではの繊細さを活かす手法を模索しました。それはすべて歌のフレーズの始まりはユニゾン(全パート同じ音)で始まり、枝分かれするかのようにハーモニーを構築していくのが特徴です。粒谷区合唱団さんは本当に上手く歌ってくださっていて女声版初演は成功と言えるでしょう。「今、私にできること」の祈り、「アイコトバ」のポップさも非常に愛が感じられる演奏でした!

粒谷区合唱団

4.合唱団イクトゥス【混声】

私のホームとでもいいましょうか、長年一番お付き合いのある合唱団です。私とイクトゥスが共に歩んできた曲を選曲していただきました。「アイコトバ」ピアノ版は、アカペラ版にはない2番があるので、きっと他の出演者の方々は新鮮な気持ちで聞かれたことでしょう。「卒業写真」はピアノ付きですがアカペラで始まりアカペラで終わる。しかも終結部が最大7声にdiv.するので難易度はお高め。上手く決まり音が鳴ってました。今回個展で初お披露目となった唯一の完全新作である「Ave Maria」は皆様からの評判が良かったようでホッとしています。歌ってみたいという声も多数!嬉しい。作曲時初めてのラテン語の扱いには骨が折れました…。トホホ。コレ以外は委嘱の話がない限り個人的にはもう書くことはないと思います(笑。イクトゥスさん、初演の大役お疲れ様でした!

合唱団イクトゥス

★SEIGIトーク

人前でのトークは本当に苦手です。でも個展ですから話さないわけにもいきません。事前に考えてきた話す内容もすっ飛び、もうどうにでもなれ!って感じでした。なのでトークの内容はほぼほぼ記憶にございません。でも客席から皆さんが振ってくださった緑色に輝くペンライトはとても感動しました。だってあの瞬間、あの舞台から見えた景色は私にしか見えなかったわけですから。あと応援のうちわも!(スナドラさんありがとう!)

SEIGIとごろーさんとのトークタイム
緑色のペンライトが美しかった!皆さんありがとう!

5.園 修一【ピアノソロ】

園さんは今回の個展の影の立役者です。まほろばとごろーさん独唱のピアノ伴奏だけでなくピアノソロ、そしてカメラ機材を持参し個展の動画撮影ならびに録音も担当してくださっていました。かなり負担をかけさせてしまった部分もあり、個人的には申し訳なかったなと思っております。反省。「今、私にできること」は園さんによるピアノアレンジで。会場の皆さんを祈りの世界へ導いてくださいました。「Memoria ―回想録―」は、10年前の2012年に作曲活動5周年記念作品として書きましたが、当時一度も演奏することなくお蔵入りに。今回のために改訂版を書き初演していただきました。同じコード進行の上にテーマが3つ出てきます。途中に処女作「Message」の旋律が挿入され、この回想録の意味合いが深まる仕掛けになっています。私が愛するAs-durの響きは如何だったでしょうか。As-dur万歳!園さん初演ありがとうございました!

園 修一

6.宇田川吾郎【バリトン独唱】

個展の企画・運営、そして素敵なきらりホールという会場取りなどその他諸々すべてお一人で担われた主宰であるごろーさん。一番大変だったと思います。感謝してもしきれません。「序 ―友が無くては」は今年1月にごろーさんにより初演。今回は再演でした。八木重吉の「私を、あなたの友にしてください」という想いを汲んで、非常にデリケートな演奏をしてくださったので嬉しかったです。一方「金魚の昼寝」は「ふわふわ ふわりん」という出だしで可愛らしさ抜群の曲を、”ごろーさん”が”ごろーちゃん”に変わって歌いきってくださいました!あんなに楽しそうに歌ってるごろーちゃ…じゃなかった、ごろーさんを見られて幸せでした。

宇田川吾郎

7.まほろば【混声】

爽やかな曲を歌うと映えるのがまほろばさんの良きところ。「君らしく」はアップテンポで言葉の捌きが難しいのによく言葉が聞こえました。「かざみちきっぷ」は委嘱作品ですが、今まで何回も歌っていただき、演奏するごとにクオリティがアップしていました。3番の歌詞は聞き手の解釈によって変わるので聞き手がどう感じたかは知りたいところ。「やがてくる時のために」はバラード調ですが、サビへ辿り着くまでに転調を幾度となく繰り返す曲なのでかなり大変だったかもしれません。しかし全くそんな素振りを感じることはなく、ごく自然と歌われていたので、実力のある方々が集まっているまほろばならではだと思いました。それにしても、まほろば男声陣は少人数なのに本当によく声が通る!(これは以前一緒に出演した副次的文化系合唱祭でも感じたことです。)

まほろば

8.アンサンブル・ソティエ【女声】

「私と小鳥と鈴と」女声版の初演という大役でした。女声版は混声版に比べてかなり旋律の動きが多くなっています。「みんなちがって みんないい」の一節を体現するかのように、ソティエさんの歌声は歓喜に溢れておりました。「ちがって」の「が」1音は女声版のみソプラノがオクターブ上を歌う仕様なので、過去の独唱版や混声版を知っている人にとってはトリッキーだったかも。「アイコトバ」女声版はソティエさんの委嘱曲です。軽快さをイメージした子供のようなポップに跳ねるような歌い方をされていました。ソティエさんたちの新たな一面を見られて嬉しかったです。女声版初演の大役、お疲れ様でした!

アンサンブル・ソティエ

9.Fiamma【混声】

ジャンニさんが指揮をされている合唱団パンドラボックス、合唱楽団the Garden of K、しもつきん合唱団から有志が集まり、この個展のために作ってくださったという特設のFiamma(フィアンマ)さん。委嘱により今まで数多くのアニソンの合唱アレンジを手掛けてきました。「History Maker」は音圧がすごくてびっくり。2群コーラスも私の納得のいく効果が得られてよかったです。「Here」は主人公であるチセの心情が渦巻く葛藤さえも見事に表現された演奏だったと思います。そしてソリストの皆様、とても素晴らしかったです!「炎」はカラ庭さんからの依頼時に、私が好きすぎて「この曲をアレンジできるなら死んでもいいです!」と豪語して依頼主と他のアレンジャーをドン引きさせた過去があります。ごめんなさい。でもありがたいことに、この「炎」アレンジが皆様に好評だったのは嬉しかったですね。あちらにいらっしゃる煉獄さんへ想いはきっと届いたことでしょう…。しみじみ。

Fiamma

ペンライトの是非

合唱の演奏会でペンライトを振るという文化は、副次的文化系合唱祭で知りました。あの時は私は歌い手(2018年、合唱集団なつほたる一期生)で、特に「COSMOS」演奏時に会場一体となって青いペンライトの海原に染まった光景は今も心に残っているのです。作曲家の個展でペンライトを振るという行為は前代未聞だったかもしれませんが、私はこれで良かったと思っています。今回は堅苦しい名ばかりの「個展」から解放され「合唱祭」形式で楽しんでいただくことが、私の願いだったからです。今後、合唱の演奏会でのペンライト文化は増えるかもしれませんね。SEIGIトーク時もそうですが、かなり需要があると思います。全国の合唱団の皆様如何でしょう。面白い、楽しい、美しいの3点が味わえますよ。

最後に皆様へ

個展開催にあたり、主宰の宇田川吾郎先生(主催:56 chorus project)をはじめ、ご出演いただいた演奏者の皆様、ご尽力くださった関係者の皆様、ご来場くださったお客様に心から感謝を申し上げます。バタバタしていてご挨拶が叶わなかった方も多くいらっしゃいます。その点は大変申し訳ありませんでした。ぜひまたの機会に。これからも皆様に素敵な曲をお届けできるよう作曲活動に精進してまいりますので、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。(作詞・作編曲のお仕事も常時承っております!)

リハ中に園さんと(撮影:園 修一)
開演前のテラスにて園さん、そして遠路はるばる長野から駆けつけてくださった合唱指揮者・作曲家の森 雄太先生と(撮影:園 修一)
終演後、最寄り駅の新京成線・初富駅ホームにて、園さん、ごろーさんと(撮影:Mさん)

だいぶ長々と綴ってしまいました。最後までご覧くださりありがとうございました。これを以ってSEIGI個展を終えて皆様へのご挨拶に代えさせていただきます。私は本当に幸せ者です。この15年間に感謝を込めて。

SEIGI


公式ウェブサイト
SeigiSound ~SEIGI's Official Web Site~
https://seigisound.jimdofree.com


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