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科学への信奉の危うさ

 哲学者ニーチェは「神は死んだ」という言葉を放った。科学技術の目覚ましい発達から古代より続いた神への信仰は成り立たなくなったと考えたのである。
 
 けれども台頭した科学は宗教と根本的には同じでないかと彼は考えた。なぜなら両者は西洋に根づく、あらゆる事物には本質があるという考えに基づいているからである。

 また、彼は遠近法的思考の概念を用いて人間は客観的に物事を捉えることはできないとした。これは客観性を自らの正しさの根拠とする科学に一石を投じた。


 このように現代人が信じる科学は絶対的な正しさを持つ存在であるとは限らない。宗教を否定したはずの科学もまた、源は同じでありそれ自体が誤りであれば今ある権威を失いかねない脆さがある。


 人々は何かを信じ過ぎたとき、危うさを伴う。証明できない事象や信じるものと相容れない事象を目の当たりにしたとき、動揺して冷静さを欠いた行動をとる可能性がある。

 例えば資本主義のみが正しい経済のあり方と信じたアメリカかは共産主義と対立し、共産主義国が発展すると脅威を感じた。そしてキューバ危機といった問題を引き起こしてしまった。

 自らのイデオロギーは善、それ以外は悪という二元論に陥りかねないと分かる。


 したがって私たちは科学は一つの考え方にすぎないことを理解し、科学に反する不可思議な現象も冷静に判断できるような寛容さを持つべきである。


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