箱を運ぶ

その、箱ってあるじゃないですか。その、2Lペットボトルが6本入ったような、中身で言えば比較的重めな箱。それを、近所のスーパーだからと言って、自分の老化を信じないみたいな感じの勢いをつけて行ってみるんですよ、若いのに。
そのスーパーから帰る時に、行きの過信があるから、誰もいないから逆に見栄張っちゃって、手で持とうとするんですよね、単純に計算すれば、12kgを少し超えるくらいなんですけど。
でも、12kgって普通に重たいので、全然地面に置きながら休んだりして、その歩き続けてきた長さと同じだけの棒を置いてます、っていう感じで測ってる感じを出してたんですよ。
そして、一回長さを見ようとして、そこでしゃがんでからふと「お花見を探さないとな」って言葉が思い浮かんできて、別に木があったとかじゃないから、そこでようやく自分が工場生まれだなってことに気づいたんですよ、なんか。誰もいないのに測ってるってあまりにもお花見すぎて、なんか、お花見じゃないと思っちゃったんですよ。
だから、12kgあって全然体力的に余裕とかじゃないのに、早めのテンポで夏祭り歌いながら歩いたんですよ。そしたら、当然「夏祭り探さないとな」って思ってきて、そこで段々自分の履いてる靴下が気になってきたんですよ、なんか。で、箱があることに気づいて、それを台にして一回見てみると、まぁ自分の知ってる靴下だなって。
でも、そこで知らない靴下を履いてたら、もっと早く帰れたし、雨だったなってそこで確信して、意味があるかわかんないのに、見栄での行動のバフもかかって、コンビニを覗くだけ覗いてから帰ろうと、思ったんですよ。
まぁ帰ろうとするんですけど、もう楽しみを定年後に全部取っておいてるみたいな20代のカップルが向こうから、安心について考えてたんですよ。なんか、「あのカップルは自分に発生してるなぁ」って思って、それをきっかけで口にするものを靴で踏んでるってことに気づいたんですね、だからそのカップルだけは普通に恨んでます、全然安心の話はしてほしくなくて。
あと、その、球児でもないのにおにぎりを食べながら走ってる人とすれ違って、全然カップルの後に何人もすれ違ってこそいたのに、なんか一つ後だな、って思って、そこで偶然、自分が半分高校球児だなって、気づいて、その日初めて頭下げての感謝できそうになってたんですよ、逆にね。
でも、普通に重いもの運んで、その中身が栄養で、それを他人に見せようとしてるって性質として完全に高校球児で、そこで昼間なのに一気に周りの街灯が消えたような気がして、シャワーと一緒に時間が過ぎて行ってる感覚があったんですよ。
だから、土を集めるためにスーパーには2度と行かないと思いながら、小さいギアで自転車を漕ぐ練習をしてる自分を、なるべく上空から見られるように、ってところをモチベーションにしながら、半分高校球児になってしまった体で、まだクイズ番組の感じで間違った選択肢を回答して、笑われきれないんだなって思うと、そのうち最低限の部屋に住むんだろうなって思います。
その日箱を運んでたのは、間違いなくそのおにぎり握ってない方の手に、見えた掃除機を知るためだったなって思います。

ありがとうございました。

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