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「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきた

ブライアン・イーノの展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきました。

場所は京都中央信用金庫 旧厚生センター。京都駅から徒歩数分の場所で、建物一棟をまるまる使ったインスタレーションになっている。

なかなかすごい体験だった。出張の合間だったので1時間半くらいしか居られなかったのだけれど、これ、後の予定とか全くないときに行ったほうがいいです。

建物は3階建てで、「THE SHIP」「Face to Face」「Light Boxes」「77 MILLION PAINTINGS」というインスタレーションを順々に体験していくんだけど、廊下とか階段とかトイレにもアンビエントが鳴らされていて(これ自体が「The Lighthouse」という作品になっている)、建物全体が”鳴っている”感覚になる。

最初に入った「THE SHIP」は暗闇。目が慣れるのに数分くらいかかるほどの真っ暗な場所に靴を脱いで入る。

「THE SHIP」は音源では当然2chなんだけれど、そのアンビエントが部屋を囲む十数個のスピーカーに立体音響として再構成されて、その中に没入するような感覚になる。

「Face to Face」は、目の前にある3つの顔がピクセル単位で少しずつ移り変わっていく。

「Light Boxes」は、目の前にある立方体の光の色が徐々に変わっていく。この「少しずつ」「徐々に」というのが絶妙な間合いで、ぼぅっと眺めていると、いつの間にか目の前にあるものが全然違うものになっている。目を凝らして集中すればその変化を捉えることもできなくもないんだけれど、座っていると、だんだん心地よくて身体の力が抜けていく。で、ふと目をあげると変わってる。不思議な怖さと心地よさがある。

「77 MILLION PAINTINGS」は最も天井の高い部屋で、やはり暗闇の中に靴を脱いで進む。ソファがいくつかある。大きな木の柱と円錐形の砂山がある。ソファに座って、4種類の光の図像が少しずつ変化していくのをぼぅっと眺める。

ビジュアルのパターンは7700万通りあるのだとか。アンビエントを浴びながら、それを見つめる。寝てしまう人も多いんじゃないかな。場合によってはスタッフが起こしにくると書いてあった。

掲示された注意事項には「作品鑑賞の妨げになるので、喋らないように」「撮影は可、シャッターとフラッシュは禁止」「できるだけ携帯電話の画面の光も灯さないように」とあった。

たしかに、作品の中で流れている時間は日常の時間と全然違うもので、だからそういうのが聴こえてきたら全くもって興醒めだよなあと思う。

入り口にはこんな言葉がある。今回の展示のコンセプトということだと思う。


「ありきたりな日常を手放し、別の世界に身を委ねることで、自分の想像力を自由に発揮することができるのです」

「By allowing ourselves to let go of the world that we have to be part of every day, and to surrender to another kind of world. We’re freeing ourselves to allow our imaginations to be inspired.」

たしかに。

音と光を浴びているうちに、時間の認識が少しずつ引き伸ばされていくような、ちょっとずつ溶けていくような感覚があった。

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