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愛を続ける努力と家事分担

我が家の家事分担はアンバランスだ。

家事のほぼ全てを夫が担当している。
掃除機をかけるのも、窓拭きも、ワックスがけも、洗濯も、トイレとお風呂掃除も、アイロンがけも、皿洗いも、全て夫だ。
家事以外の家庭内労働、例えば暖炉の準備や片付け、庭掃除、車のメンテ、銀行関係の手続き、草刈り、光熱費の支払い、カード引き落としのチェック、ゴミ出し、水漏れ修理、インテリアの改装、壁のペンキ塗り、薪割り、郵便物のチェック、・・・・
こうしてリストにすると申し訳ないほどに夫ばかりに仕事が集中している。
彼が全部やる理由は ”自分の方が得意だから”。
こっちが多いからそっちがもっとやれ、とは考えていない。彼はお互いが得意なことをやればいいというスタンスでいる。

大雑把に分けると私担当の仕事は料理と買い物リストを書くことと自分の分の洗濯物を畳むことしかない。これだけだと”兼業”主婦でもないなと思う。

私も夫もフルタイムで働き、お互い同じくらい仕事に拘束されている。夫の方が給料が良くペンションももらえるが、仕事のストレスは大きい。
私は楽しく学校で働いて、帰宅するとご飯を作り(それも大抵ワンプレート)、後は自分の趣味や勉強の時間だ。(*アメリカで高校教師をしています)
夫は一日中忙しなく動いている、そうしないと家事は終わらない。
結婚して一度も彼がダラダラしているところを見たことがないが、彼は毎週末私がダラダラしている様子をニコニコと見ている。

こんなにアンバランスだと不平不満が出そうだが、それは全くない。
結婚してからの何年かは私は密かに自分の負担が少ないことを申し訳なく感じ、あれやこれや手伝おうとしたのだが、私に手伝われると彼のストレスが増えることがわかったのでそれもやめた。
今は申し訳なく感じることもなく、ただただ働き者で几帳面な夫に感謝している。

私の唯一の家事、料理をしている私にも彼はこんなふうに言葉をかける。

シマチャン、手伝うことない?何でもするよ。
シマチャン、疲れてるでしょう、今夜は目玉焼きご飯にしようか?
今夜は焼きそばか親子丼?シマチャンが楽なのはどっち?

いつも同じようなやりとりをしているのだが、手伝ってもらうことはないし、夕飯に何を作っても文句は言わず美味しく食べてくれる。
彼も私が ”手伝いはないよ” というのがわかっているし、楽な方を作ってと言われても自分が食べたいものを作るだろうとわかっている。

それでも彼のいつもの言葉の影響力は大きい。
手伝いがいらないことがわかっているので、手伝おうか?と聞くのを辞めてしまっていたら私は唯一の家事ですら面倒になる気がする。
一つしか家事をしないでグータラしている、と思われているのではないか、役に立たないな、とさえ思われているのではないかとパラノイドになりそうだし、今日はすごく疲れているのに料理をせねばいけないと文句を言いたくなるかもしれない。

”手伝おうか”という言葉で彼が私の唯一の仕事を”大きな・大変な”仕事だと思ってくれていることがわかる。

私ももちろん彼が色んな家事をしていると声をかける。
手伝いが必要ならいつでも言ってね
一緒にやろうか?
いつもありがとうね
何か飲み物持ってこようか?
大変だね、本当に感謝してる

家事の分担は自分が何をどれくらいやらないといけないのか、が大切なのではないかもしれない。
その一つ一つがどんなに小さな仕事でも、大切で大変で、誰かがやってくれることで私の時間ができたり幸せを感じることが出来たり安心して眠れたり出来ることに言葉に出して感謝を表したり共感したりすることが重要なのだろう。
実際あまり仲が良くなかった時期はお互いが家事をしていても知らん顔をしていた、それが当たり前だという態度で特に労りの言葉なんかをかけることもなかった。その頃は自分に必要な”家事”をするのは気にならなくても、二人の家事になると面倒だった。


結婚する時に ”愛を続けていくのは努力が必要だからこれからお互い愛し・愛される努力を続けていこう” と言われたことを、毎日夫が
シマチャン、手伝おうか?
と聞くたびに思い出して感謝している。

我が家の家事分担は愛を続ける努力を交互に分担しているようなものなのだろう。

君の手の 温度伝える 金属の 指に暁 約束の石
以前プロポーズをされた時のことを詠んだ短歌だ。
もう結婚してから随分経つが、年が経つごとにちゃんとコミュニケーションをとろうとする努力を意識している。
約束の石はその努力と共にキラキラを増している気がする。

シマフィー

夫の記事、思ったよりもいっぱいあった😂 ↓


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